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「TRACTION」の訳語に悩んだ件。

久能@経営コーチです。世界で70万部の経営書『TRACTION』の出版を進めているわけですが。

(ビジネ書になってる・・・💦)

TRACITONは「牽引力」だが・・・

まさにタイトルの「TRACTION」という言葉をどう訳そうか、悩んでいたのです。TRACTIONは「トラクション」。辞書では

引っぱること、牽引(けんいん)、牽引力、(道路に対するタイヤ・滑車に対するロープなどの)静止摩擦、交通輸送、収縮、(骨折治療などの)牽引

※weblioより https://ejje.weblio.jp/content/traction

となっており、「引っ張る」「牽引する」という意味合いがあることが分かります。しかし!

リーダーシップとは「引っ張る」ことなのか?

『TRACTION』という本が説明するEOS®(起業家のための経営システム)ではビジョンとトラクションを重視します。ビジョンはビジョンだけでは機能せず、それを実現するためのトラクションが欠けているとただの夢、妄想、世迷い言になってしまいます。

なので実現するための力をトラクションと表現しているのですが、それは牽引力とは違うなーと。そう表現してしまうとリーダーが強力なリーダーシップで組織を引っ張るイメージがあります。リーダーがあらゆる情報を集め、すべての決定を下していく。そんな組織のあり方が目に浮かびます。

果たしてそういう組織は強いのでしょうか?

真のリーダーシップとは自律的に動く組織をデザインすること

私たちはそうは考えません。社長がすべての決定を担っていたら、社長は「仕事してる感」が出るでしょうが、一人に下せる決定の数などたかが知れています。未決定の案件が積み上がり、会社の動きは遅くなるでしょう。社長の稼働時間も際限がなくなってしまいます。

そうではなく、現場の一人ひとりがあるべき決定を下せる組織こそが強いはずで、リーダーの役割とはそれができる組織のあり方を作っていくことなはずですよね。

スカンジナビア航空を建て直したヤン・カールソンの言葉

ちょうど今日読んでいた本『真実の瞬間』ヤン・カールソン著に、まさにそのことについて述べた箇所がありました。

ほとんどの社長は意思決定マシンだった。(中略)事態の全貌を把握しているのは経営者だけだから、重大な意思決定は自ら行わざるを得ない。彼以外だれも状況の全体像をつかんでいないのだから、意思決定を代行することができないのだ。
 そうした機構は一見、社長が企業運営の全責任を負っている体制にみえるが、実際はまるで逆である。彼は最も重要な責務を果たしていない。企業の経営ビジョン実現という職責をないがしろにしているのだ。単に当面する課題について意思決定を行っているにすぎない。

我が意を得たり!でした。ご興味ある経営者は一読を。

この本は顧客サービスについての本かと思いこんでいましたが、優れた経営の書でした。

気になる訳語、タイトルは・・・

出版の話に戻りましょう。TRACTIONを慣行どおり「牽引力」と訳してしまうと、リーダーが一人で引っ張るイメージが抜けない。それだけは避けなければなりませんでした。なので・・・

TRACTION=トラクションとカタカナ表記にすることにしました。実行力というルビも振られると思います。苦渋の決断(笑)だったのですが、組織の一人ひとりが決定をくだし主体的に実行・実現していくイメージをもつ日本語が思い当たらず、それならトラクションという言葉にその意味を持たせていくべきじゃないかと考えた結果です。

というわけで、翻訳書のタイトルも『トラクション』となります。意味不明ですが、よいのです。トラクションの真の意味は、私たちの今後の活動によって徐々に日本のビジネス界に浸透させていく覚悟です。

ちなみに副題もつけています。そちらはもう少し、見ただけで内容が想像できるものになっています。そちらはまた明日や明後日の記事にて笑。

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