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Bookレビュー「もっと知りたい伊藤若冲」

(※美術ド素人の私が備忘録的に感想を書くものです。)

もっと知りたい伊藤若冲 改訂版/東京美術


P45 群鶏図

やっぱりすごい。
先日手に取った本よりも大きく載っているのでより迫力がある。
やっぱり眼力(メジカラ)が一級品。
そして、黒がとても高貴で妖艶な黒に見える。
つま先や脚部分の皮膚の質感もリアル。
模様の一つ一つもすごい。適切な言葉が浮かばない。
鶏って、芸術品なんじゃないか。
本物に見えるから、余計そう思ってしまうのだろう。

P31 梅花皓月図

夜なのに、まるで、「この地球上に私一人咲いているワ!!」と言わんばかりの迫力。
枝の力強さと気高さ。月さえ飾りと言っているみたいな梅。
一つ一つの梅花、マスカラもりもりの女性の見開いた眼みたい。
私が花を見ているのか、それとも私が花に見られているのか!?

P37 若冲の言葉

今の画(え)というものは、みな手本をもとに描くばかりで、いまだ物を描けたものを見たことがない。そして技術によって売れることばかりを求めていて、技術以上に進むことができたものがない。自分が人と違っているのはこの点だけなのだ。  大典「藤景和が画の記」より

P36 蓮池遊魚図

魚が水中で泳いでいる姿がありありとわかる。
これってなんの魚?
一匹だけ違う。9匹はアユで、1匹はオイカワというらしい。
何か権力者とその周辺人物を象徴しているのだろうか。
カニ、水草と共に描く図を藻魚図というらしい。
初めはやっぱり魚に注目してしまうが、全体を眺めていると舞台芸術みたいに見える。魚は役者か。
鮮やかな花も描かれていて、竜宮城にも見えてくる。
現代だったら水族館で生きた魚たちを見られるが、昔の人もそんな気持ちで見ていたのだろうか。


言葉もまた美しい

そして、このような美術品に添えられたコメントや美術評論、解説もまた素晴らしい。普段、あまり目にすることがないような特別感と高揚感、美的で陶酔感を誘うような言葉が並ぶ。
言葉だけ読んでいても芸術だと思う。
きっと、それらを書いている人が普段から美的感覚に優れていて感度が高い人なのだろうな、と思う。
私には見えないきらびやかでより微細な世界が見えているのだとも思う。
羨ましい。
至高の美術品と、至高の空間だ。
美術館でも、本でも、そんな世界に少しでも触れられることをありがたく思う。





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