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レビュー「大豆田とわ子と三人の元夫」第7話

「第7話 第2章スタート! 最後の恋のはじまりは突然に」

◯唄の自立ととわ子の背中
とわ子の元を離れ、祖父宅へ引っ越す唄。
広い家に一人、ぽつんと座り食事をとるとわ子の背中が寂しい。
子供の自立と別れ。
とわ子は一人になった。

◯六坊の熱意にみえるもの
六坊はしろくまハウジングの古株社員。
複雑なポジションであるにも関わらず、社長のとわ子が不在時に積極的に指揮をとるなど、影の支え役だ。
しろくまハウジングの買収を目論むマディソンパートナーズ社の、しろくま社員を軽視する発言に対して、怒号をあげる六坊。
六坊「ウチの会社にいるのは、ただただいいものを作りたい、その一心で自分で腕を磨き上げてきた職人なんだ」
年配の六坊が、身を挺して社員と社長を守る。
六坊は分かっていたのだろう、立場上、社長は言いたくても言えないことを。だから、自ら火だるまになったのだ。

打合せ後、全社員の前で謝罪をする六坊に対して、とわ子は称賛し感謝する。
とわ子「面倒上等、厄介上等、それがしろくまの社風です。これからも誠心誠意いいものを作り続けましょう。」

六坊の熱弁はドラマ制作者側の言霊にも見えて、胸が熱くなった。
制作に込める熱意、魂、責任、プライド、覚悟、いろいろなものが感じられる。
過去、買収の危機に遭ったテレビ局の思いも代弁しているのだろうか…。
何れにせよ、多くの人がドラマ制作に関わり、一つ一つの場面を、画角に納まらないところまでも作りこんでいるんだろう。

◯青汁を飲むとわ子と八作。
青汁で苦さを共有したあとに、笑いが生まれる。
酸いも甘いも噛み分ける。
この辺りが元夫婦ではなく、現在も関係が継続している夫婦そのものに見える。

◯とわ子の口元についた青汁の汁に気づき、ティッシュをとった八作。
優しく拭いてあげるのかと思いきや、空野みじん子が漫画で受賞した記念オブジェに気づき、動きが止まる。
とわ子にティッシュを渡す。
八作ーかごめーとわ子。
2人の間には、いつもかごめがいる。
だから、一線は越えない、越えられない。

◯帰り際、玄関で、とわ子を心配する八作。
八作「元気?」
とわ子「・・・」涙を必死にこらえ、じっと八作を見つめる。
八作「ごめんね」
とわ子「ごめんね」
八作「おやすみ」
とわ子「おやすみ」

八作は家を出たあと立ち止まり、とわ子のところへ引き返そうとするが、踵を返して帰途へ。

こんなに難しいシーンあるのかな、というくらい役者の力量が出る場面。
演技によって、演じる役者によっては意味が変わってしまうだろう。

◯小鳥遊との出会い、かごめを失った喪失感
とわ子「すごく孤独です。こんなんだったら、そっちにいってあげたいよって思います。」
誰にも言えなかった気持ちを小鳥遊に吐露するとわ子。

小鳥遊は子どものときから家族介護をしてきた苦労人であり、努力してきた人でもある。
そんな小鳥遊の言葉に自然に誘われるように、とわ子の内に留まっていた思いが、雪解けのように溶け出して流れ出る。
とわ子が涙を見せる唯一のシーンだ(…たぶん)。

小鳥遊「人生って、小説や映画じゃないもん。幸せな結末も悲しい結末もやり残したこともない。あるのは、その人がどういう人だったかということだけです。」
「人生には2つルールがあります。 ”亡くなった人を不幸だと思ってはならない” ”生きている人は幸せを目指さなければならない”」「人は時々寂しくなるけど、人生を楽しめる。楽しんでいいに決まってる。」
小鳥遊はとわ子に寄り添って語りながら、自分自身も諭しているかのようだ。喪失感や絶望の壁に打ち当たる度に何千回、何万回もそう言い聞かせてきたのだろうと思わせる。

◯マディソンパートナーズの部長だった小鳥遊
小鳥遊「昨日お会いしたのはビジネスじゃないですか。これはプライベートでしょ」
仕事とプライベートで全く別の顔を見せる小鳥遊。
サイコパスを思わせるような豹変ぶりに疑心暗鬼になるとわ子。







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