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創作

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詩歌、俳句など気まぐれに作っています。
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記事一覧

(創作)何の変哲もない

(創作)何の変哲もない

何の変哲もない
紙片を染めた一滴のインクが
その質量が
その手触りが
たったひとりの心を震わせている

ふと君が 止まった足元 見えた世界

リモコンを 取り上げ直後の ラブシーン それを「気まずい」と 日本語では言う

その辺を通り抜けていく 胸打つビートルズ

朝露一滴 沁み入る珈琲

小さき人の小さな掌の上にいる私

傍らに ちょこんと座る 君がいる

(くのきゅー心の俳句)

(創作)兼業わたし

(創作)兼業わたし

兼業わたし

明るいわたし 暗いわたし
食べるわたし アレ出すわたし
おべっかを言うわたし 嫌悪するわたし
掃除するわたし 掃除されるたわし
真面目なわたし 変人なわたし
お母さんのわたし ひとりのわたし

今日もわたし大変ご苦労さまでした
わたしはわたしを甘やかす
わたしはわたし

春茜 分火たゆたう 帰り道 

(くのきゅー心の俳句)

(創作)春の路

(創作)春の路

今と昔
今と未来

川面のうたかた 
悠久の大地

3年1組の隅っこにいる私 
宇宙の中をすいすい泳ぐ私

風は歌うよ
萌黄色の里山で

鳥は踊るよ
青空のただ中を

あなたのまだまだ小さな右手 
私のそこそこ大きい左手
つないでとことこ 春の路

(創作)僕の憂鬱

(創作)僕の憂鬱

ある日 母さんが友達からもらってきたんだ
「貴重で高いらしい」んだってさ
コーヒー好きの僕だけど
毎日飲んでる僕だけど
だけど飲む気にならないのさ

だからほおっておいたんだ

そしたら見かねた母さん 今度は
いとこのやえちゃんにあげたのさ
「貴重で高いらしい」って
 
なんだそりゃ
なんだそりゃ

春 君は寝てりゃいいのさ
夏 たまに大きなあくびして
秋 忘れたくらいに
冬 おこぼれの愛想振りま

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