ワインショップでお日様のような駐妻たちと【元外交官のグローバルキャリア】
近所にふとグラスワインを飲みに立ち寄る店がある。そんなお店に素敵な仲間たちを集めてみた。いや、正確に言うとえみちゃんのお友達が集まった。
えみちゃんは私の高校の同級生だ。私が8年生の頃から通っていたインターナショナルスクールにえみちゃんは日本人学校の中等部を卒業して転入して来た。在学中はそんなに親交はなかったけど卒業して35年の月日が経ち、高校時代の共通の知り合いに導かれてあれよあれよとお近づきになった。
大人のえみちゃんは、現代の駐妻として海外生活を謳歌してきた。東京に戻ってもその調子でアクティブに知的好奇心を満たしている。
そんなえみちゃんの駐妻時代のお友達や、私が憧れる私立校のママ友は、えみちゃん同様に魅力的な人たちばかりだ。貪欲に軽やかに楽しむことを見つけている。えみちゃんは今、「並んでも買えない」パン屋に勤めている。近所でオープン以来そこで早朝のシフトも厭わずに働いて数年経つ。惰性で嫌々同じ職場に居続ける人がたくさんいる中、五十路過ぎてから、昔からの憧れだった「パン屋さん」に勤めた。
パン屋さんでのバイトの合間に、博物館、映画、読書、と一人でどんどん行動してはその内容をSNSで共有してくれる。のんべんだらりと暮らしていて、一人で美術鑑賞に行くのが億劫な自分にとってはとても刺激になる。今度も美術館に行きたくなったらえみちゃんを誘おう、と思うのが精一杯の行動指針だ。
海外で育った自分の母は、当然ながら駐妻だった。でも私は母より父の働く姿に憧れた。商社マンになりたかった。
えみちゃんとそのお友達の、海外でのお子さんの学校や、ご主人の仕事との関わり方は、うちの母たちのそれとは全然違う。語学に堪能で、しばらく続けていた仕事を辞めて海外で家族を支える事を選んだ聡明な女性達だ。
給与所得者だった頃に夢見ていた専業主婦像がここにあった。なんて活き活きと主体的に生きて暮らしているのだろう。
個人事業主となって私は、イベントを通じて専業主婦コミュニティに入れてもらった。
商社と大使館との付き合い方を、駐妻と戦略を立てている。ポルトガル旅行を組む話をしている。子供もいないのに、えみちゃんのママ友とメキシカンを食べに行く話をしている。
笑顔が絶えないえみちゃんには徳と福がついてくる。お日様のようなえみちゃんに接すると自分の中の善い部分が引き出される気がする。私もえみちゃんのように春風接人でありたい。「自分にも人にも厳しいから」と先輩や同僚に称されてきた私も、えみちゃんの穏やかな空気を感じるとやさしくなれる気がする。
次はえみちゃんとそのお友達や、こんなお日様要素を持っている人たちを集めてポルトガルワインのテイスティング会をやりたい。
11月4日祝日の13時から15時にTOCOTOCOで。
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