英語でアポを取る【元外交官のグローバルキャリア】
英語でのアポの取り付けるのは定型に則るとスムーズです。外務省では海外では特にアポ取りが重要な仕事です。この手法は、ビジネスの世界でも幅広く応用できます。
私は東京のアメリカ大使館の政治部で数えきれない国会議員へのアポ取りをしました。総理や大臣のアポ調整もしました。外務省に入ってからは、アメリカの総領事館の政務班長として、アメリカ人スタッフをこの方式で鍛えました。おかげで連邦議員、州知事や市長のアポを早く確実に埋められました。とりあえず事例としては連邦議員事務所を使ってみます。
日程担当とタグを組むつもりで
アポをとる際の重要人物は、議員事務所の日程調整担当係のscheduler です。企業ならばExecutive Assistantという立場の秘書です。
議員の地元事務所に電話して、その人のメールの連絡先を入手します。
Hello, I am calling from the <Japanese Consulate>. My name is xx. I would like to send in a meeting request and wondered if I can get an email address to send it to. 所属、指名、アポを申し込みたいのでメールアドレスが欲しい、と伝えます。
忙しい先方は、詳細を電話口で聞こうとは思っていません。面談依頼は文章で欲しいので普通はメールアドレスをくれます。What is it regarding? なんのご用件でしょう?くらいは聞かれるかもしれません。
We have a distinguished visitor from Japan that would like to meet Congress Member xxx 日本からの要人が議員とぜひお会いしたく / The Consul General would like to pay a courtesy visit 総領事が表敬訪問をさせていただきたくと短く答えると良いでしょう。
たまに、ウェブサイトのフォームからアポを申し込んでください、と言われることがあります。連邦上院議員事務所に見受けられます。その反応だと、アポが取れる可能性が断然下がります。多数の申し込みに紛れて、返事が3稼働日以上になった経験もあるので、別の人に当たることを考えましょう。
自分の都合よりも相手の立場
面談依頼メールの書き方から具体的な日程調整まで全て相手の立場を考えて行動をしましょう。どういうメールが読みやすくて結果が出やすいか。どのタイミングでメールを出すと読まれる可能性が高いか。どれくらいの時間を置いてフォローアップの連絡をするかの工夫をしましょう。
面談依頼は短く3秒で内容が分かるような書き方にします。先方が上司に指示を仰ぐのに必要な情報を全て面談依頼に含めます。最初からこちら側の略歴を添付しましょう。書類が揃っていると、すぐに対応してもらえる可能性が上がります。
メールは休み明けの朝と休み前の午後を避けて、先方がパソコンに向かっていそうな時間帯に送信しましょう。一読して、依頼を認識してもらえる率を上げるのです。
末尾に「こちらから電話をする」としているので先方にはメールで返信しなくて良い、としています。そう書けばこちらも延々とメール返信を待つ手間が省けます。一応電話番号を書いておけば、先方が連絡を取りたい時にすぐに電話をもらえます。先方がアクションを起こそうとした時に、何かが不足している、探さなくてはいけない、と行動リズムが崩れないことが大切です。
日程を固めるのも焦らない
メールを送信してから最低半日以上時間を空けて電話をかけます。始業、就業間際の電話は避けましょう。電話がつながって、うまくすれば日時がまとまるし、都合がつかない、とお断りの返事をもらえます。いついつに日程会議があるのでそれ以降にご連絡します、と言う答えが多いです。We will get back to you.
こちらは日程表に空白を作りたくなかったり、上司の日程をいつまでも押さえて置けないので気が気ではないです。でもそれはあくまでもこちらの都合です。自分の上司には状況をアップデートして、先方のリズムに合わせて状況確認の連絡をします。上司に言われるがまま Hello, I was wondering if you had any updates on out meeting request. どうなっているんですか、と何度も連絡をするとうるさがられます。電話を通じてどう心象を良く保ち、同時に自分の上司を安心させるかを考えます。
あまりにも返事が引き延ばされる時には、電話で We understand that the Congress Member is very busy. Should we reach out at another time? お忙しいようなのでまたの機会と致しましょうか、と先方に助け舟を出しつつ次のアポに移ります。こちらから面談依頼を撤回した、と言うメールは残さない方がいいでしょう。
お礼と次に繋げる
アポが無事に取れたら、面談後は短い謝礼メールを打っておきましょう。またいつお世話になるかわかりません。
自分が面談に同行する場合には、必ずその人に挨拶をしておきましょう。スタッフとの関係構築が何よりも大切です。次に繋がります。
楽をして実を取る
実際のところ、日本の外交官や駐在員がアポ取りを自分でやることはあまりありません。「よろしくね」とアシスタントや部下に頼んで「どうなっている?」と何度も聞きに行くことの方が多いです。でもこの流れやタイミングを知っていて、うまく指導ができれば俄然自分の仕事も部下の仕事も楽になります。そして突然自分でやらなくてはならない時にも慌てずにいられます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?