見出し画像

12年のアルツ観察記録:母は自宅で逝きました(073):2016年8月

 
発病から7年7ヶ月/死まで5年5ヶ月
 
8/6
 先週廃棄した亡父の靴が玄関に戻されている。袋に入れてゴミ箱に押し込んでその上にもゴミを置いて埋もれさせたのに。「ゴミ」と大書し、シャッター前へ。
 仏間中心に変に整理されているので、何か紛失されているのではと不安。電話下に置いていた電話取説がコタツ上にあったりする。
 不毛な繰り返し多し。怒って腐るのでこちらにはストレスになるが、数分後にはご機嫌なのがよりストレスになる。
 
8/7
 暑いので買物は一人で行く。「昼食を買ってくる」旨メモまで置いたのに、帰ってくるとパンを2枚焼いて朝食と同じ内容を準備している。こちらもさすがに切れて、パンは怒りのあまり握りつぶして(よりによって2枚だ)しまったので捨てる。メモは座布団の下。置き続ければいいだけなのに、泣きたくなる。当人はいじけて弁当も食べずに2Fに篭もる。案の定、エアコンを入れてないのでそれだけは入れてくる。1時間後下りてくる。買ってきた焼きそばでなく、昨日の天丼の残りを食べる。当然一部始終の記憶は揮発している。
 
8/13
 兄が訪問したときエアコンがついていなかったとのこと。その後も目をはなした隙に消してしまったらしい。アイスクリームの消費量も多い様子。
 
8/14
 美容院移転先に初めて連れていく。終了後は電話をもらい迎えに行く。
 17:30頃になると「ビール飲むんでしょ」的な繰り返しになる傾向。飲まなくてもいいし、飲むとしてもつまみなど要らないが、あれこれ言うと、面倒くさい返しが来るので、気力に応じてやり過ごす。
 余計な整理もどきの過程で歯ブラシを捨てられかかる。誰のかなどは一切考えず、純粋に使用感が無い順に残した様子。
 
8/15
 7時頃起きかかるが、もう少し寝ていてもらい、昨日の弁当の残りとパン半分の朝食を用意。7:20頃起きてもらう。
 
8/16
 5:55にトイレに起きたときに寝室から「起きたくない、起きなきゃ」と聞こえたので起きなくていい旨伝える。しかし6:20にシャッターを開ける。閉めに行くと冷房がつけっぱなしで冬のような装備で寝ている。
 コーヒーサーバーが変なところに追いやられているのを探す中で、レンジの下に食品が保存されているのを発見。期限が近いライスを出すとともに4~5年落ちのレトルトカレー2箱・ツナ・昆布につき紙とガムテープでくるんで捨てる。この一帯、定期的チェックを要す。
 専門医受診同行。
◯事前報告・質疑
・リビングと寝室の室温コントロールがまずい
・パン食が多いこと、「今から行く」「ちょっと買ってくる」と言っても待たなくなってきた
・本日、独り言と寝室の出口探しがあった
・先生によると、「混乱しやすい時期」、「一番手のかかる時期」とのこと。これを越えると、個人差はあるが、「鈍くなる」、「自分ですることが無くなってくる」とのこと

 「オリンピックのテレビはもう嫌だ」と私が言うと、母は「オリンピックじゃない」と言い張る。しっかりオリンピックなのだがそう理解していない様子。
 こちらは激しく働いているのに母は呑気にしていることを言うとまた「ほっといたら」みたいなことを言うので、放っておいて起こりうる混乱について語ると2Fでふて寝。エアコンをつけるべきか悩むが、いずれ下りるだろうと放置。実際下りた。
 
8/21
 昨夜は涼しくなる気がしたので、寝室の冷房は28℃とし、夜半過ぎに止めにいく。結果的に正解。
 5:45に雨戸が開く。閉めに行って「薬飲ませる都合とかある」と言うと、「飲まなくていい」と言い出す。
 買物途上で「道が乾いているから最近雨降っていない」理論をかまされる。事実に反するが。
 
8/27
 18時前に2Fに行く。いただいた鰻を切り分けたり温めたりして18:15に呼びに行くとまた「払ったっけ?」ということになり、「もう財産管理はこちらです。お医者さんの指示です」というと、「使うこともある」と返してくる。「何度もこの件を説明済みで、それが憶えられないなら残念ながら財務管理は無理です」という応酬になり、数分不機嫌。
 いつもする食器洗いをしてくれない。「明日やる」と言うが、どうせ明日の朝一もこっちが作業しなければならないので、怒りながらやる。
 「忘れるの忘れないの言ったこと自体忘れる」という現実についての観察を侮辱と受け取ることに暗然とす。「忘れるわけない」と怒って2Fに去る。
 
8/28
 トイレに行く物音で起こされたのが7:20。取り急ぎ起きて食事準備。すぐ来ると思ったが10分後くらいに来る。テーブルにすでに新聞を置いているのに取りに行くなどする。
 古めのゆで卵につき、残せないので食べてほしいと言うが残そうとするので捨てようとすると、捨てるなということを言うが、やがて「自分で捨てる」と言うようになり、論旨に腰砕け傾向。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?