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12年のアルツ観察記録:母は自宅で逝きました(079):2017年2月

発病から8年1ヶ月/死まで4年11ヶ月

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 買ってきた弁当に対し、そのままだと「お金払ったっけ?」を繰り返すので、少し前から、弁当のところに「精算済」のメモを置いているが、少し席を外した隙にどけられる。
 夕食につき、6時前に「6時は早すぎる」と言うと2Fに上がるが数分後に戻る。「しばらく上に行っているって言ったじゃない」と言うと再び上へ。6時半になったので声をかけると「まだ早いって言うかと思って」と言う。憶えていたのか、反芻していたのか。
 6年近く前の父が倒れた時について話す。「お父さんへの対応でまずいことあった?」という話になったので、「救急車は最速で無かったみたい」と言うと、また「残酷な」と怒り出す。耳心地よい話だけが聞きたいなら相手を選んでほしい。
 
2/5
 ヘルパーはIさん。
 ゴミの整理をしているのを母が見て不穏になり「ヘルパー要らない」とか言い出しそうに感じたので、分別基準が昔と全然違うというような話に振って回避。
 地域の話題になり、Iさんと私でガラの悪さについて話していると、母は謎の援護。
 詐欺の電話の話題でまた「かかったことない」と言う。こちらとしても最も苦労した案件の一つ(一群)が、自信たっぷりに無かったことにされるのは、わかっていても腹が立つ。
 母が「もっと労ってほしい」言うと、Iさんは「労っていただいていると思います」言ってくれる。
 多分前世紀のハチミツを廃棄。
 午前中、止めどもなくテレビ。関係も興味も無さそうな内容のものや以前見たものばかり。突っ込むと、母:「上に行く」、私:「行ってもすぐ戻ってくる」、母:「やってみようか」、私:「『やってみようか』自体が消滅するので意味無い」、母:「そこまで言うか」のいつものパターン。よほど酷いことを始めて言われたかのように言うので消耗す。
 
2/11
 当方入浴後、母は喉が痛いので入らないという。やや意志が固めなので体温測定。36.6℃という微妙な温度。まあ仕方ないかと思いつつ。飲み物を飲む。食べ物は要らないと言うが、チーズを出しておくと食べる。こちらが一人で食べたナッツを片付けようとすると食べると言う。歯磨きをして風呂の点検をしているうちに「あたしお風呂入ったっけ?」と言うので、短時間でも入るのを勧めると入る気になり、割合長時間入る。出た後、二度目の歯磨き。二度目であることを言うと、随分と自責的な反応。問題はほぼ無いのでこちら的には全然OKな事例なのだが。他の面倒と比較しても。
 
2/12
 庭仕事から戻ると、昼に半分にしようと思ったデコポンが無くなっている。母は「知らない」から簡単に「来なくていい」に展開する。皮は三角コーナーにあり。ロジックが破綻。どのような所でサポートを望んだところで手続き上は息子達がやることになることなどを言っても、「来なくていい」、「来ないでみたら」、「残酷」を繰り返す。財産管理、社会的責任の状況、もし来なかったら起こりうること(財務・設備・清掃・防犯など)を説明すると突っ伏す。「息子はあんただけじゃない」とまで言う。
 すねていたので買い物は先週に引続き一人。
 
2/20
 ホワイトボードに「パーマ」とあったので、軽い気持ちで「どうするの?」と聞くと、何と「そこが(近所)が無くなっちゃったなら、あっち(商店街方面を指差す)のほうに行く」と言う。何と、旧美容室が無くなったことが頭に入ったというビッグニュース。移転先がどこであるかや3回ほど行ったことは憶えていないが、「一年ほど前に閉じた」と言うと「そんなに経っていないでしょ」と言われ、調べると移転貼紙を見たのが去年の半ばなので、この件だけは記憶で負けてしまった。
 めずらしく布団を敷いてくれている。半分くらいは普段使っているものでないのだが。かえまきのタオルが父の死後初めてはずされていたので、「どうする?」と聞くと、糸通しはやらされたが、結構なスピードでつけてくれる。
 
2/21
 母は、またも「娘がいればいいのに」的不毛のことを言うので、「娘だったら3倍は厳しいし、いろいろ持って行く」と返す。ヘルパーのOさんは「3倍どころじゃないです」と適切な加勢をしてくれる。
 専門医受診同行。
◯報告・質疑
・良い日が4日くらいあった。「知らない」でなく「忘れた」という物言い
・一方で拗ねたり、ムキになったりしがちで「来ないでいい」、「バカにしている」、「酷いことを言う」、「残酷」という発言が見られる
・美容院の移転を記憶していた
・加湿せずに喉の痛みを訴える。起床拒否と入浴拒否が二回ずつ
・みかん、砂糖、菓子、マーガリンの消費大
・食品のラップかけ、袋閉じが雑になった。食器の戻し場所の秩序にやや乱れ
・お金が大きく減ることあり
・その他、外気温に合った服の選択ができない、現実と違うNHK継続視聴の主張、謎の地域愛など
 先生は、基本的に傾聴。美容院の件は驚いた様子。
 反対語テスト。満点。5年前と比べて点数はもちろん筆跡も劣化していない。
 
2/26
 飛行機の音で起きたらしく、6:40頃にシャッターが開くので閉める。「明るいじゃない」と起きる気を見せる。面倒な季節になってきた。
 7:25に起こしにいくと「喉が痛い」と拒否。さっきは起きる気を見せていたこと、必ずおさまることを言い、加湿器をONして起きてもらうことにする。
 下りてくると上機嫌。
 洗面所に行く前に美容院に行く旨伝える。数分後に「何時頃行くの?」と聞かれる。保持というよりは反芻していたのではという気がする。持ち物点検をその後繰り返していたので。

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