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子どもお囃子体験会

こんにちは、kuniです。

今回の記事では、子ども向け能楽イベント「子どもお囃子はやし体験会」についてご紹介させていただきます。主催である仁和能楽學舎 にんなのうがくがくしゃは、能楽をもっと身近に感じてもらうことを目的としたイベントやウェビナーを企画・運営しています。

本イベントの主旨は【伝統芸能を五感を通して楽しむ】です。プロ能楽師の先生方とタッグを組み、主に年長クラスの園児を対象に、謡と囃子の音や演奏を体験してもらう内容です。

企画の主旨にご賛同頂き、会の実現に至った2園におけるイベントの様子を、当日の写真やインタビューを交えてお届けいたします。

それでは。

子どもお囃子体験会とは?

まず、能楽の音楽的要素は、うたい囃子はやしがあり、謡は声楽、囃子はいわゆる楽器隊を指します。さらにその中でも、笛方ふえがた小鼓方こつづみがた大鼓方おおつづみがた太鼓方たいこがたと別れていきます。

体験会では、子どもでも比較的扱いやすい大鼓と太鼓の楽器を体験してもらいます。体験後は、笛や小鼓を加えたプロのお囃子方による演奏を聴いてもらいます。

会の最初では、石井流大鼓方の河村眞之介先生より、五人囃子に関するお話をさせて頂きます。お囃子といえば、雛祭りの歌に出てくる五人囃子が有名です。大人よりも子どもの方が馴染みがあるかもしれません。

ちなみに五人囃子は、楽器を持つ高さ順に(右から)笛方 → 小鼓方 → 大鼓方 → 太鼓方、最後に謡と隊列が決まっています。

プロによる演奏は、理屈を超えて子供たちに響き、潜在的な力を輝かせます。

参考:5月に実施したウェビナー

たから幼稚園(@岐阜県美濃加茂市)

たから幼稚園は、歴史と自然が共存するまち岐阜県美濃加茂市にある認定保育園です。地元に愛されながら創園50年を迎え、卒園生は5,000名を数えます。「人としての根っこを育てる」という創園以来変わらぬ理念の下、「絵本の読み聞かせ」と「遊び」を保育の2本の柱とし、本物や自然に触れる体験を数多く提供されています。
たから幼稚園の公式ウェブサイトはコチラ

昨年8月、たから幼稚園における夏休み特別企画と位置づけ「子どもお囃子体験会」が生まれました。体験会には保護者同伴の元、総勢80名の参加がありました。

当時の様子を理事長である則竹ひろみ様にインタビューさせて頂きました。

ー 今回のイベントの満足度はいかがでしたか?

則竹様 満足度は100%です。保護者の方々の反応もポジティブでした。『こういった機会でもなければ日本文化や能にも触れる機会はなかった』『本物に出逢えて良かった』という声を聴けました。

ー 園児の反応はいかがでしたか?

則竹様 お着物を召された先生方を見て、物珍しさと緊張が最初はあったかと思います。会も進み、いざ自分たちが体験する頃にはすっかり緊張も解けていた様子でした。普段と変わらぬ笑顔が印象的でした。

ー 企画主旨に賛同して頂いた理由を教えて下さい

則竹様 まず園の方針である『本物に触れること』に共通していた点に加え、若い世代にきっかけを提供することが大切だと考えたからです。特に、園児は新鮮な気持ちで向き合ってくれたと思います。

ー 伝統芸能の継承と幼児教育に共通点はありますか?

則竹様 園の『人としての根っこを育てる』という理念に則り、心を込めた教育を大切にしています。今回いらっしゃった先生方も、文化の継承といった点で同じような気持ちで稽古にあたられてきたのだと思います。『心を込める』という点で共通点を感じました。

ー 最後に何かメッセージがあればお願いします

則竹様 これまで子どもたちは、五人囃子の世界は童話や絵本にある架空のお話だと思っていたのではないでしょうか。昔、日本に実際にあったんだよということを身をもって体感できたのは今後の財産になると思います。

東春とうしゅん暁幼稚園(@愛知県尾張旭市)

愛知県尾張旭市にある東春暁幼稚園は、1956年に設立された伝統と歴史溢れる幼稚園です。「明るく・強く・正しく・良い子」の教育方針を掲げ、幼稚園という社会の中で、子ども達一人ひとりが自ら考え行動し、人を思いやれる優しい心を持てるよう、子ども達の育成に努められています。
東春暁幼稚園の公式ウェブサイトはコチラ

今年2月、東春暁幼稚園で例年行われる季節行事の一環として「子どもお囃子体験会」を開催しました。3月の雛祭りに向けたムードを盛り上げる一役と、久しぶりの保護者参画イベントとなりました。

イベントについて、企画から携わって頂いた竹内先生に話を聞きました。 

ー 今回のイベントの満足度はいかがでしたか?

竹内様 満足度は非常に高いです。子どもたちも、観に来てくれた保護者も同じ感想だと思います。保護者からは『子どもが楽しそうに演奏している様子を見れて良かった』という声を聴きました。職員一同やって良かったと思っています。

ー 子どもたちからはどのような反応がありましたか?

竹内様 能の世界に触れるのは、ほぼ全員が初めてということもあり『こんな世界があるんだ』という新鮮な反応が多かったと思います。少し前に園で実施した音楽会において大太鼓や小太鼓を触った経験があるため、能の楽器が奏でる音や演奏の違いを楽しんでいる様子でした。

ー 開催にあたり、どのような期待をされていましたか?

竹内様 この2年間は、園の行事が縮小されたり中止になることも多かったため、保護者の方も含めていかに楽しんでもらえることを期待していました。お囃子体験会を通して、子どもが楽器に触れて楽しんでいる様子を見てもらったり、プロの演奏を聴くことができたのもよかったです。

ー 今後実現したいことがあれば教えてください

竹内様 能を含めた日本の伝統文化を楽しんでもらえる機会があったら良いですね。小さい頃にここで経験したことが、大人になってから繋がってくれると嬉しいです。

伝統文化は世界に通じる強い味方

子どもお囃子体験会を通して、改めて能楽が果たす役割を考えるキッカケになりました。これからの子どもたちが活躍する舞台は、日本にとどまらず世界になっていくからこそ、自国の文化に誇りを持つことは重要だと思います。

わたし自身、日本の伝統文化は、外に出て改めてすごいものだと痛感した経験があります。その国ならではの文化の素養があり、誇りを持っているからこそ、自信を持って世界と渡りあえるのではないでしょうか。

世界に通じる強い味方は自国の伝統文化。未来のために、いまだから体験させたい世界です。

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