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いろいろな卒業

毎朝、玄関でワンコを撫でてから家を出る。この日もそう

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リビングの窓を開けるとお向かいの友達と学校に向かって歩いていった。

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いつも出社時間が早い私は、彼女が3年間こんな朝を過ごしてたことを知った。

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窓を閉めて振り返る

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髪色がピンクの奥さんが小さな鏡を見ながらマスカラをのせている。1時間後には「銀シャリ」が着てそうなブルーのスーツに着替えていた。どこに売ってるんだその色?

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コロナ禍の中で行われる卒業式

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密を避けるため在校生は出席せず、卒業生と最小限の来賓のみ
国歌斉唱・校歌斉唱は伴奏が流れるのみで唄わない
もちろん全員マスク着用だ

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式の後半に差し掛かり、在校生が事前に録音した「送辞」が会場に流れる。仕方ないけど味気ないなぁ~と冷めていると、次ぎは卒業生の「答辞」へ

ここで卒業生代表の女子生徒 ・A子ちゃん・B子ちゃんの2人がマイクの前に立ち、原稿を読み始めた途端に会場の空気は一変する。

先に読み始めたA子ちゃんが読む 「答辞」 がとにかく凄いのだ。プロ顔負けの美声、句読点の間、リズムそして抑揚 。

卒業への想いを乗せたバラードを歌い上げるような 答辞に聞き入ってる内、会場からは鼻をすする音が漏れ出し、ついつい私も涙がこみ上げて来た。

しかし涙が溢れる寸前に、答辞はある区切りで B子ちゃんに交代した。

B子ちゃんの読み上げは決して下手でない、間違いなく上手に読んでいる。しかしA子ちゃんが極端に上手過ぎたギャップから私の目からスーっと涙が引いていく。

涙が引いたと思ったら間もなくA子ちゃんが再び読み始める。そして会場が鼻をすすり始め 涙が溢れる前にまたB子ちゃんに交代して涙引く、、みたいな

合計これを3回セット繰り返しまして・・

泣けそうで泣けない、イケそうでイケないこの状況から
神聖な卒業式という場で

「寸止め地獄」

という名作AVを思い出した父親は、私を含めて5人はおったと思う。

あれ?なんだこの話?

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いやいや、時を戻そう

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式の最後は先生・親御さんが両側に花道をつくって拍手で卒業生を送り出した。

娘にとって決して平坦ではなかった中学3年間。こうして友人と共に笑顔で校門を出て行く姿を見れた。会社を休んでまで卒業式に来て本当に良かったと思った。銀シャリもそう言っていた。

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これから出来ること

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早生まれの娘は卒業式の前日が誕生日だった。あっという間に15年も経っていた。

赤ちゃんから大人になるまで
子供が1年成長する度に  親が子にしてあげられる「何か」は確実に減っていく。

ただでさえ父親が娘にしてあげれることは少なくて、最近出来ることと言えば、元気の無い顔を見たら 冷蔵庫にこっそり彼女の好きなアイス(pino)を忍ばせるくらいだ。

きっと高校生になる彼女に してあげれることなんて残ってないだろう。

せめて出来ることなら、
彼女が失敗の方向に進んでも止めることなく、成功に向かってもがく姿を少しだけ離れた場所から見守りたい。

見守り続けたいと思う。

私もそろそろ子育てを卒業する時が近づいてきたのかもしれない。

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先日まで祖母から頂いた入学祝いを「二重まぶた」の美容整形に使うと言っていたのに、通学する高校が遠いため「電動自転車」を買うというマトモな判断を下したそうだ。

親に似ず真面目なやつだなぁ
高須クリニックの方が笑えるのにね、、と悔やみつつ。

これからも少し離れた場所から
奥二重の彼女を見守り続けようと思います。


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