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ITの導入段階を勝手に雑く3段階に分けてみた

やっぱり日本のITの導入度は極めて低いなと思う今日この頃です。
例えば、マイナンバーカードで特別定額給付金を申し込んだら、裏が手作業で、単なるフォームやったんかいと言う事態とか、保健所とか病院でシステムに入力した後で手で書き写してFAXしていた事態とか、ITを使ってるはずなのに、なんかおかしいと言うケースが少なくありません。
そのため、私の方で「Digital」と言う英単語を活用して、デジタイゼーション(Digitization)、デジタライゼーション(Digitalization)、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)、と言う3段階に分けるとわかりやすいかなと思ってまとめてみました。
内容は、あくまで勝手なまとめなので、ご容赦ください。

Gartnerの定義によると、「デジタライゼーションとは、デジタル技術を使用してビジネスモデルを変更し、新しい収益と価値を生み出す機会を提供することです。デジタルビジネスに移行するプロセスです。」と言うことだそうです。

Digitalization is the use of digital technologies to change a business model and provide new revenue and value-producing opportunities; it is the process of moving to a digital business.

個人的には、デジタイゼーションとはデジタルを手段として使うと言うことに留まり、デジタライゼーションとはデジタルによって仕事のやり方を変えることだろうと思います。
雑に言うと、紙をそのままPDFにするとか、郵送やFAXをメールにするとか、エクセル方眼紙を使うとかは、デジタイゼーションでしかないと言うことです。
単に既存の手段をデジタル化しただけのことに、多くのITエンジニアが疑問符を持ったりするのはそれが理由だと思います。
ならデジタライゼーションは何かというと、書面による契約をやめて電子契約にするとか、メールではなくキントーンやSalesforceなどが保健所でやってるシステム化であるとか、GoogleスプレッドシートにAPI経由で自動でデータを集計していくとか、デジタルでなければできない仕事の仕方を推進していくことだろうと思います。

別の切り口で言うと、デジタイゼーションからデジタライゼーションに転換すると言う事は、情報を伝達する社会から、情報を共有(シェア)し繋ぐ(リンク)時代への転換ともいえます。
「メールは情報共有では無く、情報伝達である」って事は、よく講演でも話をしていて、情報って伝達すればするほど分断が起こり全く別の版が多くなるから、出来るだけ同じドキュメントをみんなで編集し、別の版にする時はつながりを持っておくってのが重要です。
まさしくgithubなんかは、ソースコードのシェアとリンクを体現していて、昔よくあった entry-tanaka_ver3.45.0518.ph みたいな編集者とバージョンと時間の書いてあるファイル名のソースコードを消し去り、entry.phとしてひとつのソースコードに履歴というリンクを残し、シェアすることができます。
高速でいつでも使えるインターネットの普及で、電話やFAXのような情報伝達ではなく、常に情報ソースに直接アクセスできることから、情報を容易に共有できる状況になったって事を、デジタライゼーションの文脈では当たり前のこととして受け入れるのが重要なのでしょう。
Suicaとpaypayの違いもそこで、SuicaのようにICカードとリーダーを用意するのではなく、paypayのように常に情報ソースにリアルタイムでアクセスして、QRコードをIDの共有という目的のみに使うという手法も普及してきました。

ただ、ややこしいのがDigitizationもDigitalizationも、Google翻訳すると「デジタル化」って出てきて、それぞれの人の思う「デジタル化」の段階が悲劇的に違うと言うのが、問題だなと思います。

ここまでデジタイゼーションとでデジタライゼーションの話をしてきましたが、デジタル導入の3段階目としての本命は、デジタルトランスフォーメーションでしょう。
バズワードだと思う人も多いと思いますが、少なくとも大企業の経営者まで浸透し始めているワードの中では、最もマシな部類だと思っています。
私の勝手な定義だと、デジタイゼーションとは手段そのままで既存のツールをIT化しただけ、デジタライゼーションとは手段も含めて仕事のやり方を変え、デジタルトランスフォーメーションになるとそもそも仕事やビジネスそのもののあり方を変えるんだろうと思います。

ここからは勝手に、いまデジタイゼーションでしかないことが、デジタライゼーションになり、デジタルトランスフォーメーションになるとどうなるかを、書いてみます。
ぜひ皆さんの考える、アナログからデジタルへの変革の話も書いてもらえると嬉しいです。

特別定額給付金
・アナログ
 身分証を目で確認し、給付希望者の収集は紙の書類を郵送で。資格の有効性や二重支給などを台帳で確認。銀行に行って振り込み手続きをする。
・デジタイゼーション
 マイナンバーカードで本人確認し、フリー入力のフォームでインターネット越しに収集。住民基本台帳システムを目で確認し、支給完了した人をエクセルの一覧表で確認。振り込みデータをシステムに入力し、オンラインバンキングで手動で振り込む。
・デジタライゼーション
 マイナンバーカードで本人確認してポータルにログインし、住民基本台帳システムから世帯情報を取得した上で、画面に表示してチェックボックスで給付希望する世帯の人を選択。申し込みすると、申請済みであることをサブシステムに記録し、同時に振り込みデータを自動生成。銀行に振り込みデータを自動送信し、サブシステムに支給済みであることを記録して、ポータルに振り込み済みであることを表示する。
・デジタルトランスフォーメーション
 必要な人を推定して、自動で電子マネーが増えてる

保健所の感染者集計
・アナログ
 病院が書類に感染者数を記入して保健所にFAXし、それを保健所が別の紙に書き写して都道府県にFAXする
・デジタイゼーション
 病院がシステム入力と並行してPDFを作成し保健所にメールし、それを保健所がエクセルで集計し直して都道府県にメールする
・デジタライゼーション
 病院のシステムから、都道府県のシステムにデータ連携し、リアルタイムにウェブで公開する
・デジタルトランスフォーメーション
 病院の計測装置や個人のスマホなどが連携し、リアルタイムで感染リスクをアプリで確認

航空会社の運行管理
・アナログ
 紙で集計、手で計算
・デジタイゼーション
 エクセルのマクロで自動計算し、それを人が見て承認
・デジタライゼーション
 システムに入力すると、顧客の座席配置や燃料情報、貨物積載情報と紐づけて、自動的に運行情報を作成し共有
・デジタルトランスフォーメーション
 家でVRで旅行してる

契約
・アナログ
 紙に押印する
・デジタイゼーション
 メールで来たPDFを印刷して押印し、スキャンしてPDFにして、メールで返信。原本は後ほどレターパックで送る。
 ちなみに、先進的な会社では、印刷した契約書にロボットが自動で押印している。(→話題の「自動ハンコロボット」、開発担当者に聞いた真意
・デジタライゼーション
 ウェブ上の契約システムで電子署名を行う。場合によってはPDFを作成しタイムスタンプを残しておく
・デジタルトランスフォーメーション
 今のような契約書がなくなりブロックチェーンベースでスマートコントラクトを行う。
 例えば、権利処理の影響で放映できない過去のTV番組みたいなものがなくなり、権利者一人ひとりに数銭単位で視聴数に応じて精算できるようになるかも。

他にもたくさんあると思いますが、長くなるので以上にします。

ちなみに、エッセンシャルマネジメントスクール(EMS)という、本質を学ぶ学校に行っていたという話を、半年前のnoteの記事「〔本質の逆は形式〕エッセンシャルマネジメントスクールのすすめ」で書きました。
いかに、今の世の中が形式的になっているのかが垣間見えるのが、デジタル化の面白いところだと思います。
特別定額給付金も、元々は困った人にいち早くお金を届けることが本質なのに、よくわからないから全員に渡すことになりました。
飛行機についても、本質は移動のもっと奥にあって、人によって違いますが、対面で相手と話したいということが本質なら、そもそもビデオ会議で済んでしまうかもしれません。
ハンコについても、必死で自動押印をするという形式的なところに囚われるのではなくて、「一定の法律的効果を発生させる目的で、相対する当事者の合意によって成立する、法律行為」という本質を、どのようにデジタルで解決するかを考えれば、ロボットを作るという発想にはならないわけです。
いかにも形式的だなと感じますね。

なお、最近、ロボットが大流行です。RPA(ロボットによるプロセス自動化)によるコンピューター操作もすごく需要があります。
ただ、本質を捉えると、ロボットにやらせるのではなく、別のやり方でいいんじゃないの?っていう、形式的になっているプロセスはたくさんあります。
どうせ最新のテクノロジーを使うなら、もっと本質的なところに使いたいものです。

最後に、先ほど紹介したエッセンシャルマネジメントスクール第3期のご紹介です。
私も第1期生として通っていたのですが、完全オンラインで来月から第3期が始まることになり、私ももう一度通うことにしていて、他にもサイボウズ社長の青野さんや、コーチングやNHKの英会話で有名な京都芸術大学副学長の本間正人先生も受講されることになりました。
申し込み期限は、今週末の5月22日(金)ですので、ぜひ一緒に学び、ディスカッションしましょう!
本質行動学を学べる世界で初めての学校Essential Management School
第3期本質行動学基礎原理コース令和2年6月3日開講


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さくらインターネットの社長ほか、アイモバイル、アイプラグの社外取締役、未踏のPMとか、業界団体の理事とか。元は高専でロボコンやっていたエンジニアですが、学生起業していまは経営者です。東証一部上場した経験を生かして、スタートアップの支援や、起業家のメンターなんかもやっています。

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