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バッカスの憂鬱「南フランス AOC GIGONDAS(ジゴンダス)のパワフルな赤ワインに酔いしれる」

 WRC(World Rally Championship/世界ラリー選手権)Rally Monte Carlo(モンテカルロ・ラリー)の取材やモナコの友人宅への来訪などで南フランスへはかなりの頻度で出かけているが、そのたびに素敵なテロワールが数多い南フランスのワインを自分用のお土産として購入し持ち帰っている。

 南フランス系のワインでも個人的には特に力強く個性的なコート・デュ・ローヌの赤ワインが好み。基本的にボディがしっかりとした赤ワインが好きだ。

 かつてはAOCコート・デュ・ローヌ属していたAOC GIGONDAS(ジゴンダス)の赤を開栓したので、そのテイスティングをリポートしたいと思う。

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 "GIGONDAS(ジゴンダス)"とはラテン語で「喜び」や「楽しみ」を意味する「jocunditas」に由来し、古代この地に作られたローマ軍兵士たちのための遊興地が街の起源とされている。ワイン造りはその当時から行われていた。

 GIGONDAS(ジゴンダス)のワイン史を紐解くと、1894年のパリ農業博覧会でこの地のワインが金賞を獲得しているが、当時の村の主要産業はオリーブ栽培であったようだ。しかし1956年にオリーブが霜による大きな被害を受け、オリーブを栽培していた区域にもブドウが植栽されることになった。

 ローヌ地方南部のGIGONDAS(ジゴンダス)は、シャトー・ヌフ・デュ・パプの東20kmに位置し、自然公園ダンテル・ド・モンミラールの丘陵部から麓に広がる村で、その面積の4割以上がブドウ畑である。

 現在GIGONDAS(ジゴンダス)では約1200haの面積にグルナッシュと混醸用のシラーやムールヴェ―ドルを栽培しており、醸造される90%以上が赤ワインで他に少量のロゼワインが生産されている。

 栽培区域はダンテル・ド・モンミラールの西側丘陵部から麓の平野部に広がり、標高は最高で600mほどである。

 GIGONDAS(ジゴンダス)のテロワール(土壌)は"砂利質と赤粘土質の土壌"、"青粘土質の土壌"など、場所によって異なるのが特徴。南東の山側の畑では乾燥して水はけのよいガリック(石灰質の灌木林地帯)、崖のように切り立った岩山から裾野に拡がる畑の土壌には白い石灰岩が目立つ。

 日当たりの良い斜面の畑にはこの石灰岩が反射する日光も差し込み、この地栽培するブドウにより一層凝縮感をもたらしている。また、ローヌ川左岸にあるGIGONDAS(ジゴンダス)の気候は地中海性気候で雨が少なく、年間2800時間と日照時間が長いため、葡萄の糖度が高いのも特徴。

 アッサンブラージュの割合は、グルナッシュは80%まで、シラーとムールヴェードルが15%以上、その他、カリニャンを除くコート・デュ・ローヌ産の品種を10%まで用いることが認められている。

 GIGONDAS(ジゴンダス)の赤ワインの印象を端的に言えば"濃厚でパワフル"。通常アルコール度数が12.5%程のフランスワインのなかでは度数が高いのが特徴で、平均14%の度数となっている。グルナッシュが中心となるワインの味わいは力強く濃厚で、なめらかなタンニンやベリー系のアロマも感じられる。

 GIGONDAS(ジゴンダス)のワインは広域AOC・コート・デュ・ローヌに属していたが、1966年にコートデュローヌ・ヴィラージュに昇格し、1971年にジゴンダス村単独のAOCとして認定された。


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