カーコラム「ISUZU PF60型ジェミニZZ Rの思い出 Part.12」
PF60型ジェミニのステアリングは、右にややオフセットしている。当然ZZも同様だ。
これは、ラックギヤとピニオンギヤとの位置関係によるもので、その調整のためステアリングシャフトがやや右にオフセットして取り付けられたためだ。
その影響により、ドライビングポジションを確保するのが大変だった。
正しいドライビングポジションは、まずクラッチを床まで踏み込んだ時に左足が完全に伸び切らず、少しゆとりがあるところでシートの前後を合わせ、背中をシートバックに押し付けた状態でステアリングの頂点を握り、腕が完全に伸びきらない状態でシートバックの角度を合わせるのが一般的なセオリーである。
ZZの場合、シートの前後調整に関しては問題はないが、シートバックの角度調整に関してはオフセットしたステアリングが災いし、ステアリングを切り込むと左右の腕の長さに差が生じてしまう。この問題を解決するには、シートバックをほぼ垂直に近い状態まで立て、ステアリングを抱え込むようなポジションをとる事が必要だった。
峠やラリーコースで攻める時は良いが、高速道路をゆったりと流したい時や街中では、かなりドMなポジションである。走るたびに酷い肩こりに悩まされた。
さらに、PF60型ジェミニはペダル類の配置も超タイトだった。ABCペダルの間隔が超狭いのだ。
特にZZは、クラッチペダルの隣に、まるで取って付けたかのようなフットレストが装着されているため、ノーマルに比べ一段とペダル間隔が狭いのだ。
しかし、こうした欠点をも個性と感じさせてしまうのがZZのカリスマカーたる所以。
前傾姿勢でステアリングを抱え込み、狭いペダルを正確に操作して操るPF60型ジェミニZZのドライビングは、極めて味わい深いエンスーな世界であった。
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