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ワンマングルメNo.76「懐かしき屋台の味 飯田橋 新小川町 中華そば "マルナカ"のチャーシュー麺」

 大手出版取次の東販、凸版印刷本社を擁する出版の町 飯田橋。その中でも目白通りから一本入った新小川町は、版元、編プロ、印刷所、製本所がひしめくコアゾーンとも言えるエリアである。そんな出版文化を支える新小川町に、昔懐かしい屋台の味を彷彿とさせる一杯を提供してくれる老舗 がある。” 中華そば マルナカ " である。

 店内は厨房を囲むL型のカンターのみ。カウンターの隅に陣取りチャーシュー麺(税込750円)の大盛(100円増し)を注文。マルナカは昔から着丼が早い。注文からわずか5分ほどで湯気が漂う丼がカンター上に置かれる。

 丼を手元に降ろし暫し観察。うっすらと脂の輪が浮く澄んだ醤油スープに沈む中太麺、そしてその合間に見え隠れするメンマ、そして4枚のチャーシュー、一枚の海苔と刻みネギのトッピング、シンプルながらも様式美あふれるビジュアル。これぞまさに昭和の男が愛して止まない屋台のラーメン。

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 まずはレンゲでスープを一口含む。鶏とゲンコツという極めてオーソドックスな仕込みを感じさせるしっかりとした旨味の出汁スープに、パンチのある生醤油を合わせたスープは、一口含めば思わず頬がゆるむほど懐かしくも美味な味わい。脳髄がしびれる。

 麺太麺で、つるつるでもっちりとした食感。この麺がまたスープによく合う。渾然一体とはまさにこのこと。西洋風に言えば、完璧なるマリアージュである。

 そしてチャーシュー。チャーシューは肉肉しい煮豚風ではなく完全なチャーシュー。肩肉と思われる赤身でしっかりと作り込まれている。そしてこのチャーシューが麺、スープを完全合体し、一台シンフォニーを奏でる。

 細めのメンマと箸休めの海苔を中間に入れながら、あっという間に完食。

 昭和は遠くなりにけり、しかし新小川町には昭和、屋台の味がしっかりと生き残っていた。嬉しい限りである。

中華そば マルナカ
東京都新宿区新小川町8-4
03-3235-7701


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