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エッセー「バスフィッシング熱風録 三宅島 大路池遠征 Part.3」

 宿から歩くこと約30分、原生林の樹海の中についにその姿を現した大路池。その澄んだ水面下に、黄金の背中を持つという伝説の「ブロンズ・バック」が潜んでいるかと思うと、いてもたってもおられず、そそくさとFenwick FC60のロッドをつなぎアンバサダー5000Cをセットした。

 バークリーのカメレオンラインをガイドに通すと、黒金のジョインテッド・ラパラ11cmをダイレクトノットで取り付ける。これで準備は完了。湖面に突き出た展望桟橋に立つと、記念すべきファーストキャストを投じた。

 FC38に比べ、ややファーストテーパー(先調子)なアクションに設計されたFC60は、キャスティングの面では楽。スナップを利かせたスナップキャストでも軽いルアーを飛ばす事ができる。ラパラは放物線を描き20mほど前方の水面に「ポトリ」と着水した。

 水面の波紋が収まるのを待ち、竿先で糸フケをとり、スウェーデンの名機アンバサダー5000Cのハンドルをゆっくりと回し始めたその時である。

 「バシャッ!」という音とともに、水面のラパラは消え、FC60の繊細なティップが一気に絞りこまれた。

 アンバサダー5000Cのドラッグが「シー」という音をたてて滑って行く。

 まさか一投目でヒットと想定外の展開に、ドラッグを締めるのを忘れていたのだ。

一 気に締めると10LBラインが切れる危険性があるので、倒木に持ち込まれないよう注意深くドラッグを締め上げる。

 やがて桟橋に寄って来たのは38cmのグッドサイズ。黒味がかった緑色の背中が美しい大路池ファーストバスであった。


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