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カーコラム「NISSAN BNR32 SKYLINE GT-R 備忘録 Part.4」

 RB26DETTエンジンが搾り出す280PS/6800rpm、36.0kg-m/4400rpmという並外れた出力は、セット荷重750kgのクラッチを介してトランスミッションに伝達される。

 そのハイパワーをデリバリーするトランスミッションには、FS5R30AのモデルNo.05U10が選択された。このミッションは、2速と3速に大容量のダブルシンクロコーンを組み込まれているのが特徴だ。

 しかし、いかにハイパワーなエンジンを搭載していても、それをフルに活かしきれるだけのシャシー性能が伴わなければ新型GT-Rが目指す究極の走りは望めない。 GT-Rのシャシー開発は、それを念頭に置き慎重に進められた。 その結果、走る楽しさ、安定性、安心感、自然な挙動、限界域でのコントロール性、卓越したハンドリングを兼ね備えた、まさに究極のシャシーが完成した。

 まず、その要となるのがサスペンションである。 BNR32型GT-Rの前後サスペンションには、日産御自慢のマルチリンク式が採用された。 これはGT-R以外の8代目スカイランのものと基本的には同一のものである。

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 リヤのマルチリンクはすでにS13型シルビアやセフィーロなどに採用され、その路面追従性及びコントロール性に関して高く評価されていた。 マルチリンク式サスペンションは、仮想キングピン角が任意に設定できるため、最も理想的なステアリング・アクシスが得られるというメリットがある。 そのため、常に安定した接地性を確保する事が可能となり、ハンドリングやトラクションの面では極めて優位なレイアウトといえる。

 しかし、究極の走りを目指した8代目スカイランでは、既存のクルマとは全く異なる次元の操縦安定性及びハンドリング性能が求められた。それを実現するために選択されたのが4輪マルチリンクサスペンションだった。

 フロントのマルチリンクサスペンションは、アッパーリンクハイマウント型ダブルリンク、ツイステッドアッパーリンク、それにサードリンクにより構成され、サスペンションに対する上下の入力と、タイヤの転舵機能とが分離されているので幅広いアライメント設定が可能となる。 そして、GT-Rでは、そのセッティングはさらにリファインされている。 それは、単にバネレートやショックアブソーバーの減衰力の見直しに留まらず、ブッシュやロアアームの材質に至るまでの広範囲にまで及んだ。


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