エッセー「結果よりも走りにこだわれ」

 峠にはルールはない。もちろん公道だから、センターラインを割らない、前方車を煽らないといった一般交通常識としての最低限のルール&マナーはあるが、後はすべて自由。だから面白い。下手なら下手なりに楽しむことができるし、それをしたり顔で批判するバカもいない。ミスして事故るのもオウンリスク。すべては自分が中心、自分との戦い。

 別に峠でイニシャルDみたいなバトルするのが目的ではない、クルマを意のままにコントロールして自然の産物である峠を気持ちよく駆け抜けたいだけ。峠を征服しようなんて大それた事は考えない。飽くまでも峠で遊ばせて貰っているだけ。

 それが、峠をサーキットと勘違いしてバトルするバカが出てきて事故が増えたから警察が介入して取締りが厳しくなった。だから仕方なく大手をふって峠で全開かませるラリーへとシフトした。自分がモータースポーツを始めた理由はただそれだけ。

 最近の奴らは「初めにモータースポーツありき」の優等生が多いが、その昔はレースにしても、ラリーにしても、ジムカーナにしても、ダートラにしても「走り屋の成れの果て」的な連中が多かった。街中で喧嘩すれば警察に捕まるが、リングの上で殴りあって勝てば称賛され、トロフィーまで貰える、だから仕方なくルールのあるモータースポーツの世界に移行した連中がほとんどだった。

 レーサーだラリーストだ、ジムカーナなんたらじゃ言う前に、胸をはって「走り屋」だって、言えるような奴がモータースポーツやってほしいと思う今日この頃。

 さらに、伝統的なモータースポーツのみならず、これまで邪道と言われてきたドリフト競技までもがいい子チャンになっているのも気に食わない。

 ダークなヒールであるドリフト屋の意地を見せてほしいものだ。

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