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バッカスの憂鬱「力強く濃厚にしてエレガントな味わい。プリミティーヴォの聖地プーリアの逸品 " Trulli Primitivo Salento Masseria Borgo Dei Trulli(トゥルッリ・プリミティーヴォ・サレント・マッセリア・ボルゴ・デイ・トゥルッリ)"」

 プリミティーヴォはなぜか発作的に呑みたくなる。

 そんな時、もしプリミティーボが入手できない場合には、プリミティーヴォと同じDNAを持つジンファンデルを使ったナパのキャリフォルニアワインを選択するほどである。

 昨日、久々にその発作が起きたので早速プリミティーボを求めワインショップへ。そして選んだのがこのワイン、プリミティーボの聖地とも言えるプーリアもの、Masseria Borgo Dei Trulli(マッセリア・ボルゴ・デイ・トゥルッリ)社の逸品"Trulli Primitivo Salento(トゥルッリ・プリミティーヴォ・サレント)である。

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 醸造元のMasseria Borgo Dei Trulli(マッセリア ボルゴ デイ トゥルッリ)社は、主にDOPプリミティーヴォ・マンドゥーリアの区画に35ヘクタールの畑を所有、展開しているワイナリーである。また、DOPサリーチェ・サレンティーノにも小規模の畑を所有し、主にプリミティーヴォ、ネグロ・アマーロ、マルヴァジア・ネーラが生産している。

 社名はMASSERIA=農地(広い意味では"シャトー、ドメーヌ"を指す)、BORGO=自治区、TRULLI=プーリア州、特に中世ヨーロッパ時代に多くの農作業従事者たちが暮らしていたアルベロベッロ(1996年世界文化遺産登録)の町に広がる伝統家屋に由来する。

 プーリア州のサレントは赤ワインの産出量で名声を誇る地域であり、とりわけプリミティーヴォ種はプーリア州の中で「赤ワインの王様」として位置付けられている。

 余談だが、Masseria Borgo Dei Trulli(マッセリア ボルゴ デイ トゥルッリ)社の親会社はエミリア ロマーニャ州の生産者協同組合のチェヴィコ社である。

 チェヴィコ社は古代ローマ時代からワイン造りが盛んだったエミリア ロマーニャ州の幾つかの生産者協同組合を取りまとめて1963年に設立された。チェヴィッコ社はワイン生産量イタリア国内第2位、バックインボックスではイタリア国内最大手、組合員は4500人を超える大規模生産者である。

 またチェヴィコ社は量だけではなく質も追求する大手メーカーとしても有名で、ブドウ栽培に関しては、自社の栽培技術者が組合員にきめ細かく指導しており、設立当初から化学物質の使用量を減らした持続可能な農法に取り組んでいる。さらにマーケティングにも力を入れており、消費者や顧客の意見を反映させた新たな製品開発のために、最新の設備と技術の導入を積極的に行っている。その結果、製造されるワインの品質は高く、イタリア国内では品質に厳しい事で知られるコープイタリアのPBに採用されるほどの信用を勝ち取っている。

 さて本題、"Trulli Primitivo Salento(トゥルッリ・プリミティーヴォ・サレント)である。

 このワイン、イタリア国内のみならず、海外からもその高い品質を評価されている。2018ヴィンテージが『ルカマローニ2020』で96点を獲得している。さらに日本のサクラアワード2019ではゴールドメダル、ライターや専門家がワインのブラインドテイスティングを行い、80点以上を獲得したワインのみ金賞が与えられるフランスの人気ガイド誌『GILBERT&GAILLARD』2018が主催するコンテストで2018年、2019年の2年連続金賞を受賞している。

 早速開栓しテイスティングしてみる。カラーは濃い目のガーネット。開栓直後から一分ほど開いたあたりのファーストアタックはブラックチェリーやプルーンのボリュームのあるアロマに、アクセントとして白胡椒やスパイスのニュアンスが感じられる。

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 口に含むとプリミティーヴォ特有の力強い果実味が口中全体に広がる。柔らかくまろやかな口当たりで果実本来の甘みが広がる。旨味と果実味が見事に調和した奥行きのある味わいに、熟したタンニンのがアフターを締める。

 パワフルで濃厚でありながらエレガントでフルーティー味わいという二律背反を見事にバランスさせたプーリアの逸品である。


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