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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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#映画レビュー

エッセー「ユニバーサル映画 "大アマゾンの半魚人"の想い出」

 「CREATURE FROM THE BLACK LAGOON(邦題:大アマゾンの半魚人)は、ハリウッドのユニバーサル映画が1954年に製作した異色SF映画である。  生れる以前の作品だけに、さすがにリアルタイムでは観ていない。  小学生3年の頃(昭和43年頃)、東京12チャンネルでお昼の洋画劇場とかで放送されたのを観たの最初。  恥ずかしい話だが、町内会の夏のバス旅行で行った三浦海岸で、半魚人ごっこをして遊んでいたら潮に流されて沖に運ばれパニック状態となり、近くのお

再生

エッセー「新感覚ハイブリッドカンフーアクションムービー"Six-String Samurai(シックス-ストリングス・サムライ)"」

1957年、核戦争で敗北を喫したアメリカは、最後の楽園「Last Vegas」を除いてすべて" 赤 "一色に塗り潰されてしまった、という荒唐無稽な設定の迷作、それが 本作" Six Strings Samurai " である。 核戦争後の荒廃した近未来というと不朽の名作 ' Mad Max ' を想起するが、この作品はある意味その数万倍も過激でアナーキーである。 アナーキーと言えばカッコいいが、要はキッチュ、ビザール。簡単に言えばシッチャカメッチャカ。 最後の楽園 " Last Vegas "の支配者である「エルビス」が急逝し、その跡目を継がんとするツワモノ達が全米から" Last Vegas " に集結中する中、映画の冒頭、原野で夜盗に襲われている母子を、たまたま通りかかった「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」" Buddy " がギターに仕込んだ刀でバッタバッタと斬り倒して助ける。 しかし、運悪く母親は亡くなり、残された子供は「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」の旅に同行することになる。 この男の目的地はもちろん" Last Vegas "。 この映画に意味やストーリーはない。全編に50年代のアメリカンロックが流れ、超キレにの良いチャンバラとカンフーアクションが交錯する活劇映像を楽しんでいればそれでよい。 主役の「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」を演じているジェフリー・ファルコン、小汚いくせしてなぜか超カッコいい。 すかっと爽快、頭ウニウニの隠れたB級迷作、必見。

エッセー 「伝説のカルトカーアクションムービー " マッハ'78 "」

 日米スタントマンのガチンコ勝負を描いたカーアクションムービー、それが1978年に公開された「マッハ'78」である。 「 西部警察」で長年に渡りスタントを務めた日米ハーフのイケメンスタントドライバー・大友千秋(主役)を筆頭に、日本スタント界の名門クロス・レーシングチームが総出演のこの作品、上映時間のおよそ80%以上が豪快なカースタントシーンという、前代未聞・超弩級のカルトムービーである。  圧巻はなんと言ってもラスト。  一進一退を繰り返すスタント合戦に決着をつけるべく

エッセー「R.I.P ロイ・シャイダー、"重犯罪特捜班/ザ・セブン・アップス"」

 1973年に製作されたアクション映画「THE SEVEN-UPS(邦題/重犯罪特捜班 ザ・セブン・アップス)は、大好きな俳優の一人だった故ロイ・シャイダーの初主演映画である。  ' 暴力には暴力 ' をモットーに、兇悪な重犯罪(刑期7年以上の重犯罪、原題はここから来ている)のみを手がける非公式捜査班 " ザ・セブン・アップス " の活躍を描くこの作品、製作・監督は「ブリット」「フレンチ・コネクション」のプロデューサー、フィリップ・ダントニが手掛けている。  物語後半の見

エッセー 「70年代を代表するディストピアSF大作 "未来惑星ザルドス"」

 ショーン・コネリーが赤フン一丁で頑張っている幻のSF大作、それが1974年製作のイギリス映画「未来惑星ザルドス」である。  当時、赤絨毯のテアトル東京(京橋)に観に行った。  2293年、人類は不老不死の「エターナル(Eternals)」と有限の生命時間(要は普通の人間)の「獣人(Brutals)」が存在していた。  「獣人」は荒廃した土地に住み、理想郷「ボルテックス」に住むエターナルのために食料を生産する奴隷であった。  ふたつのグループ間の接点は「ザルドス」とい

エッセー「映画 "ブリット" '68フォード・マスタング VS '68ダッジ・チャージャー」

 1968年に製作された刑事アクション映画の最高峰「Bullitt(ブリット)」。  スティーブ・マックイーンの代表作とも言えるこの作品のもう一人の主役はディープグリーンの1968年型フォード・マスタングである。  坂の街・サンフランシスコで繰り広げられる壮絶なカーチェイスは、その後のアクション映画に多大なる影響を与え、未だその迫力を凌ぐ物は皆無と言えるほどの名シーンだ。  殺し屋の乗る1968年型ダッジ・チャージャーを発見し、2点式シートベルトを締めてカーチェイスに臨

エッセー 「”男達の挽歌Ⅱ”に見る殴りこみの美学」

 「義」と「信念」を貫くため、そしてなによりも「けじめ」をつけるために男たちは再びその身を激闘の中へと投ずる。  1986年、香港フィルムノワールの傑作としてハリウッドをも驚愕させた「男たちの挽歌」。その完結編として87年に製作されたのが「男達の挽歌Ⅱ」である。  京劇出身の演技派ティ・ロン、熱血漢を演じさせたら右に出る者はいない亜細亜巨星チョウ・ユンファ、そして繊細なマスクの内面に鋼のような強さを秘めたレスリー・チャン。  男達が熱い! 美しい! 神々しい!  巨悪

エッセー 「ダーティーハリー2 (MAGNUM FORCE)の思い出」

 マカロニ・ウェスタンでスターダムにのし上がったクリント・イーストウッドが、職務遂行のためなら非合法すれすれの捜査も厭わない一匹狼のタフな刑事を演じて世界的大ヒットとなった「ダーティー・ハリー」。  正義と法の番人として、スミス&ウェッソンM29 44マグナムを容赦無くブッ放すサンフランシスコ市警察殺人課のハリー・キャラハン刑事というキャラクターは、それまでの刑事映画の主人公とは全く異なるヒーロー像として後のポリスアクション映画に多大なる影響を与えた。  アメリカでは劇場

エッセー 「日活唯一の怪獣映画 " 大巨獣ガッパ "」

 日活が製作した唯一無二の怪獣映画、それが1967年(昭和42年)公開の「大巨獣ガッパ」である。  小学校2年生の時、現在はイトーヨーカドーとなってしまった大井町日活でリアルタイムに鑑賞した。  これがまた、怪獣映画のくせに泣かせるストーリーなのだ。  キャサリン諸島オベリスク島という南方の島( ”南方の島 ” というのは当時の怪獣映画の定番)で発見された巨大な卵を発見した雑誌社の探検隊が、偶然見つけた洞窟の中で謎の巨大卵を発見した。その卵から伝説の怪獣ガッパの子供が孵

エッセー 「SHAFT IN AFRICA(黒いジャガー アフリカ作戦)」

 1970年代、全米にBlaxploitation(ブラックムービー)の嵐が吹き荒れた。  その端尾となったのが1970年に製作されたゴードン・パークス監督作品「SHAFT(邦題・黒いジャガー)」である。  リチャード・ラウドトゥリー演じるNYハーレムの黒人探偵ジョン・シャフトを主人公としたこの作品は、激しい人種差別に苦しむ当時の被差別階級層(当時はアフリカ系アメリカ人がメイン)から圧倒的な支持を得た。  それに気を良くした(というか初めから狙っていた)配給元のMGMは

エッセー「ジョン・ボン・ジョヴィ主演の異色ヴァンパイア映画 "ヴァンパイア/黒の十字架"」

 「ヴァンパイア/黒の十字架」(原題:Vampires: Los Muertos)は、かのジョン・ボン・ジョヴィ主演の異色ヴァンパイアムービーである。  ジョン・カーペンターの下で美術監督を努めたトミー・リー・ウォーレスが監督したこの作品は、1998年に公開されたジョン・カーペンター監督作品「ヴァンパイア/最期の聖戦(原題:Vampires)の続編であり、バチカンに雇われたヴァンパイア・ハンターをジョン・ボン・ジョビが好演している。  自らの作品の続編ということもあり、ジ

エッセー「映画 "バギーチェイス "とビリー・プレストン " Nothing From Nothing "」

 1976年日本公開の映画「バギーチェイス(原題:Flash and the Firecat)は、名作「明日に向かって撃て」をモチーフとしたB級アクション映画である。  ハリウッドのインディペンデント系プロダクションの作品は、低予算でいかに面白い映画を作るという事に知恵を絞るので、非常にユニーク且つ楽しい映画が多い。この作品もその一つ。  サンドバギーに乗ったフラッシュとファイアーキャットというの男女二人組の銀行強盗が、アメリカのド田舎の銀行でスマートな手口で現金を強奪し

エッセイー「ニヒルなゲッタウェイドライバーをライアン・オニールが好演 " ザ・ドライバー "」

 1978年公開の映画「ザ・ドライバー」は、凄腕のゲッタウェイドライバー(逃走専門の運転手)と、警察特捜部の刑事との対決を描いたハードボイルドアクションである。  全編の7割が夜間のシーンというダークな色調の中、特撮やCGを一切使わない(というかこの時代には存在しない)リアルなカーチェイスが展開する。  永遠のラブストーリー「ある愛の歌」でアリ・マックグローの恋人役として一世を風靡したライアン・オニールが、クールでプロフェッショナリズムに徹したドライバー役を見事に演じてい

エッセー「ヌーベルガンアクションの金字塔 ”リベリオン ”」

 ガン=カタとは、コンバットシューティングとマーシャルアーツ、それに東洋武術のすべての要素を統合して創られた究極の格闘技術である。  その動きは、まるで武術の演武のように優雅で、流水が流れるが如く一瞬の停滞もない。  ガン=カタは「統計的に命中率の低い位置へ動くことで敵の射線を避け、逆にこちらの弾丸を効果的に撃ちこむ」というコンセプトから生まれ、その動き、動作は、すべて統計学的をその基盤にしている。  ガン=カタにおいては、拳銃は射撃のみならず、近接格闘における重要な武