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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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#アメリカ映画

再生

エッセー「新感覚ハイブリッドカンフーアクションムービー"Six-String Samurai(シックス-ストリングス・サムライ)"」

1957年、核戦争で敗北を喫したアメリカは、最後の楽園「Last Vegas」を除いてすべて" 赤 "一色に塗り潰されてしまった、という荒唐無稽な設定の迷作、それが 本作" Six Strings Samurai " である。 核戦争後の荒廃した近未来というと不朽の名作 ' Mad Max ' を想起するが、この作品はある意味その数万倍も過激でアナーキーである。 アナーキーと言えばカッコいいが、要はキッチュ、ビザール。簡単に言えばシッチャカメッチャカ。 最後の楽園 " Last Vegas "の支配者である「エルビス」が急逝し、その跡目を継がんとするツワモノ達が全米から" Last Vegas " に集結中する中、映画の冒頭、原野で夜盗に襲われている母子を、たまたま通りかかった「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」" Buddy " がギターに仕込んだ刀でバッタバッタと斬り倒して助ける。 しかし、運悪く母親は亡くなり、残された子供は「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」の旅に同行することになる。 この男の目的地はもちろん" Last Vegas "。 この映画に意味やストーリーはない。全編に50年代のアメリカンロックが流れ、超キレにの良いチャンバラとカンフーアクションが交錯する活劇映像を楽しんでいればそれでよい。 主役の「厚ぶちメガネに黒いスーツ、エレキギターを担いだ男」を演じているジェフリー・ファルコン、小汚いくせしてなぜか超カッコいい。 すかっと爽快、頭ウニウニの隠れたB級迷作、必見。

エッセー 「近未来の超管理社会を予見したクリスチャン・ベール主演のディストピアムービ「リベリオン 反逆者(Equilibrium)」

 ガン=カタとは、コンバットシューティングとマーシャルアーツ、それに東洋武術のすべての要素を統合して創られた究極の格闘技術である。  その動きは、まるで武術の演武のように優雅で、流水が流れるが如く一瞬の停滞もない。  ガン=カタは「統計的に命中率の低い位置へ動くことで敵の射線を避け、逆にこちらの弾丸を効果的に撃ちこむ」というコンセプトから生まれ、その動き、動作は、すべて統計学的をその基盤にしている。  ガン=カタにおいては、拳銃は射撃のみならず、近接格闘における重要な武

エッセー 「香港資本が莫大な制作費を投じて製作したハリウッドオールスターキャストの超大作 "The Cannonball Run(邦題/キャノンボール"」

 バート・レイノルズ、ロジャー・ムーア、ファラ・フォーセット、ディーン・マーチン、サミー・デイビス JRといった綺羅星の如きスターを結集し、「Smokey and the Bandit(邦題/トランザム7000)シリーズで一躍その名を馳せたカーアクションの大御所ハル・ニーダムがメガホンをとった超大作、それが1981年公開のカーアクションムービー「The Cannonball Run(邦題/キャノンボール)」である。  エグゼクティブ・プロデューサーのレイモンド・チョウは香港

エッセー 「ブリリアントなダイアン・レインの魅力炸裂 ”Streets Of Fire(ストリート・オブ・ファイアー)" Tonight Is What It Means To Be Young "」

 " ストリート・オブ・ファイアー(Streets Of Fire) " は、数あるウォルター・ヒル監督作品の中でも最高傑作と言っても決して過言ではなかろう。  かつての日活アクション映画を彷彿とさせる、流れ者の男が昔の恋人の危機を救うという単純明快且つ普遍的なストーリーはともすれば陳腐化しやすいものだが、ウォルター・ヒルはテンポの良いカット割りと、出演者の演技をギリギリまで抑制させる演出により、ダークでクールな作品に仕上げることに成功している。  マイケル・パレもクール

エッセー「痛快豪快! H・BハリッキーのH・BハリッキーによるH・Bハリッキーのためのワンマン映画 "Junkman(ジャンクマン)"」

 カーアクション映画の金字塔 ' バニシング IN 60(Gone In 60Seconds) ' の製作・監督・脚本・主演のすべてをこなしたH・Bハリッキーがカーアクションの限界に挑んだ意欲作、それが1982年公開の " Junkman(ジャンクマン) " である。  タイトルの如く、ただひたすらクルマを壊しまくる超快感型ストレス発散ムービー。ストーリーなど有って無いようなもの。  高級車からパトカーまで、上映時間約90分の間に、実に150台以上のクルマがスクラップと化

エッセー 「ランディ・クロフォード with クルセイダーズの名曲 "Street Life"とバートレイノルズ主演映画 "シャーキーズマシン"の想い出」

 アトランタ市街中心部高層ビル群からの俯瞰撮影で映画はスタートする。  冬の早朝、カメラはパンしながら町外れの貨物線の操車場とおぼしき場所を白い息を吐きながら歩くやや猫背気味の男・シャーキー刑事(バート・レイノルズ)にズームインする。  1981年に製作されたバート・レイノルズ主演の映画「シャーキーズ・マシーン」のオープニングシーンである。  このオープニングシーンのバックに流れるのがランディ・クロフォード&クルセイダーズの「ストリート・ライフ」である。  「ストリー

エッセー 「ランボルギーニ・カウンタック水面三段跳び!「キャノンボール3 新しき挑戦者たち(米国タイトル:Speed Zone!)」

 人生これまで夥しい数の映画(特にB級、C級アクション映画)を観てきたが、あのランボルギーニ・カウンタックがグラベルロードを「お前はランチャ・ストラトスか!」と思わず突っ込みを入れたくなるほど見事なカニ走りで駆け抜け、挙げ句の果てには、まるでJT150いすゞジェミニがCMで魅せた「川越ジャンブ」をも凌駕する驚異の" 三段跳び " ジャンプまで披露するという、思わず口ポカン、頭ウニウニのオープニングシークエンスから始まる映画は、後にも先にもこの映画しか知らない。文字通り空前絶後

エッセー 「伝説の男がスクリーン狭しと大活躍! " Viva Knievel ! (ビバ・クニーブル)" 」

 1970年代、不死身のバイクジャンパーとして全米を熱狂させた男 イーブル・クニーブル。彼は典型的なアメリカンヒーローである。  ハーレーでロングジャンプに挑むという単純明快な行為は、最もわかりやすく、なおかつアメリカ人のモットー「チャンレンジング・スピリッツ」を奮い起こさせるものだった。  何度ジャンプに失敗しようが、九死に一生を得るような大怪我をしようが、再びジャンプ台に戻って来るイーブル・クニーブルの姿はまさに「不死身のデアデビル(悪魔をも恐れぬ男)」の具現化そのも

エッセー 「人間と悪魔が繰り広げる異次元のギターバトル。スティーブ・ヴァイの超絶ギターテクニックが炸裂!" クロスロード "

 1987年に日本で公開された「クロスロード」は、実在したブルースミュージシャン、ロバート・ジョンソンの「クロスロード伝説」をモチーフに製作されたロードムービーである。  アメリカの南部には、夕方にクロスロード(交差点)の真ん中に立つと悪魔が現れるという伝説がある。  かつて悪魔と契約を交わした老ミュージシャンを救うため、悪魔のギタリスト(スティーブ・ヴァイの悪魔顔がいい!)とギターバトルで戦うユジーン(ラルフ・マッチオ)。  グラミー賞を受賞したスティーブ・ヴァイの超