マガジンのカバー画像

Essay

321
鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

エッセー「80年代初頭 ゴールデンタイムに"パタリロ"というBLテイストなアニメがオンエアされていた」

 今でこそ、やおい系やBL(ボーイズ・ラブ)は市民権を確立しているが、80年代初頭、子供向けアニメに少年愛の世界を持ち込んだ先進的なギャグマンガがあった。1982年にフジテレビがオンエアしていた「パタリロ!」である。  「パタリロ!」はバミューダトライアングルの真ん中にある架空の島国常春マリネラ王国を舞台に、その国王パタリロが側近のタマネギ部隊(これが実は皆イケメン)や、イギリスの諜報機関MI6の少佐バンコランやその愛人マライヒ達と繰り広げるドタバタナンセンスギャグだが、作

エッセー「結果よりも走りにこだわれ」

 峠にはルールはない。もちろん公道だから、センターラインを割らない、前方車を煽らないといった一般交通常識としての最低限のルール&マナーはあるが、後はすべて自由。だから面白い。下手なら下手なりに楽しむことができるし、それをしたり顔で批判するバカもいない。ミスして事故るのもオウンリスク。すべては自分が中心、自分との戦い。  別に峠でイニシャルDみたいなバトルするのが目的ではない、クルマを意のままにコントロールして自然の産物である峠を気持ちよく駆け抜けたいだけ。峠を征服しようなん

エッセー「競い合い勝利すること、それがモーターレーシングのすべて」

 狂おうしいまでの闘争心と勝利への飽くなき欲求、それこそがモーターレーシングのすべて。  ライバルをぶち抜き前に出る、誰よりも速くチェッカーを受ける。  単純にして明快、すべては本能のおもむくまま。  勝利の美酒に酔うためなら、人生のすべてと自らの命を捧げても何ら悔いることはない。  スピードという魔物に魅入られし者だけが経験する天国と地獄。  真剣な命のやり取りは甘く官能的だ。

エッセー「養老牛丼」

 その昔(1970年代)、居酒屋チェーンの養老乃瀧が『昼は牛丼、夜は居酒屋』、題して二毛作なる奇抜な戦術でフランチャイジーのスケベ心を揺さぶった。当時、養老乃瀧は東京12チャンネルでテレビCMも流していたので、ご存知の方も多いのではなかろうか?  当時は吉野家の台頭により牛丼が一大ブームとなっていた。本来は仕込みなどにあてられる昼のリエゾンを、セントラルキッチンによる一括供給という当時としては画期的なソリューションによりビジネスタイムに変えた二毛作。  養老牛丼なる牛丼が

再生

エッセー「クルマと女性に熱き情熱を注ぐイタリアならではのCM」

ソフィアローレンを彷彿とさせる情熱的でセクシーなイタリア女性と、”山椒は小粒でピリリと辛い”軽快で俊敏なリトル・モンスター "フィアット アバルト500"のイメージをオーバーラップさせたセンス溢れるイタリアのCM。 広告代理店やその傘下のプロダクションの力量不足に加え、やたらジェンダーだの性差別だのほざく輩が多い日本ではこんなセクシーで洒落たCMはネバー・エバー作れんないだろう。 良いクルマと素敵な女性は等しく地球の財産である。

エッセー「1987年10月30日ラリーアート ギャランVR-4 RSラリーバージョンプレス発表会の想い出」

 それは1987年11月1日の第一回鈴鹿F1GPを二日後に控えた10月30日のことだった。  文京区本郷5-5-18、本郷菊坂オレガノ本社隣の山に海にお堂の堂と書いて山海堂本社5階、尾島社長の執務室隣の会議室を不法占拠したSpeed Mind仮設編集部に、某三菱自動車の某ラリーアートから、CMSC会員向けに、E38A型ギャランVR-4のラリーキットを組み込んだデモカーの試乗と説明会をオートランド千葉第二でやるので取材してほしいとの要請があった。  ちょうどその時期は、夏頃