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歌詞解説:サウンドスリープ

はじめに

 QLIPというバンドが大きく音楽性を変えることになった一曲、"サウンドスリープ"について書いていく。
 基本的には歌詞について細かく言及するつもりだが、それだけでは味気ない気もするので制作に関するエピソードにも触れておきたい。
 できれば、全曲についてこんな風に書いていきたいとも思っているので温かく見守って頂けるとありがたい。

制作に至るまで

 この曲を作るに至ったのは、好きなことをやりたい、好きな音楽をやりたいという単純な思いが強くなったからである。
 それまではあわよくばバンドでお金を稼げたら良いなという甘ったれた考えがあったので、好きな音楽というよりは話題になるだろうという音楽を必死に作っていたのだ。
 なので、普段聴いている音楽とは違ったし、演奏しながら不安や焦りを感じたりもしていた。
 そんな中、Phoenixのライブを観て衝撃を受け、やっぱり好きな音楽をやりたい、しかし今自分がやっている音楽はそれとは違う、という思いがより強くなった。
 そこからは早かった。
 すぐさま好きな音楽を作り、演奏しようという考えに至った。
 そんなときにまず出来上がったのがこの曲である。
 それまではメロディやコード進行をメインに作っていたが、ここから初めてリズムをメインに作曲するようになった。
 シンセのアルペジエータを使ったり、ギターで明示的にリズムを刻むという手法を取ったのもこの曲が初めてである。
 この曲が完成するまでにも上記のような作曲方法は何度も挑戦していたが、ようやくこの曲で形になった。
 その後、新曲を数曲作り上げ、セットリストの全てが新曲というライブをやったりもした。
 本当に今のQLIPの始まりの曲である。

歌詞解説

 歌詞を一行ずつ解説していく。
 自分としてはどの曲もはっきりと端的に書いているつもりなのだが、題材のせいかあまり理解してもらえることが少ない気がするので、詳しく書いておく。
 この曲は曲名がサウンドスリープ、熟睡という意味である。
 とにかく何も気にせずに眠りたいということを言いたい。

憂鬱な気分さ いつものことだけど

 そのまま。
 ああ、憂鬱な気分だな、でもいつもそうだし、大して気にすることでもない。
 そんな気持ち。

何をやろうにも気力が足りない

 これもそのまま。
 何をするにしても気力が必要だが、今の自分にはそんな気力はない。
 何もしたくないのだ。

作り笑顔で今日もやり過ごす

 やる気も何もないが、とりあえず笑ってやり過ごす。
 いちいち真正面から向き合うのは面倒臭いのだ。

僕は一体何がしたいんだ わからなくなった

 気力もやる気もないし、結局自分は何がしたいのか、それすらも分からなくなってしまったということである。

なんともない振りをして 僕はどこへ行くの

 平気な素振りを見せつつも、自分は一体どうやって生きていくというのだろうか。
 勿論それも分からない。

誰か言っていた気もするが 思い出したくはない

 誰か……親、友人、先生、またはテレビに出ていた人、誰だっただろうか、誰かが生き方について言っていたような気もするが、面倒臭いし従いたくもない。
 思い出す気も起きないのだ。

ここから向こうまで 何キロあるんだ

 今いる地点から目標としている地点までの距離が遠過ぎてうんざりする。
 勿論物理的な距離ではないし、物理的な地点の話ではない。
 生きている地点、生きたいと思っている地点。

途方もない距離だろう やる気が削がれていく

 現実と理想の乖離を目の当たりにしてやる気を失っていく。

見えてはいるのに どうしても遠いな

 理想は見えてはいる、想起もできるけど、とにかく遠い。

もう歩みを止めたいな どうでもいいんだ

 理想に向かって歩くのはもう止めたい。
 疲れてしまった。
 もう理想も現実もどうでもいい。

なんでもない夢を見て 僕はここで眠る

 だからなんでもない夢でも見てただ眠る。
 理想からも現実からも逃げて夢の世界にいよう。

誰にも邪魔されないように 固く固く鍵をして

 そう、誰にも邪魔されないように、何があってもこの世界に居座るのだと決意して、鍵をかけるのだ。
 誰も要らない。

そうでもない僕がいて 永遠にここで眠る

 取るに足らないような存在である自分が夢の世界にいる。
 永遠にここにいるのだ。

誰にも邪魔されないように 固く固く鍵をして

 そう、誰にも邪魔されないように永遠にこの世界にいよう。
 現実も理想もない、全く干渉のないこの世界にいよう。

音源

 この曲を聴きたい方は以下から聴いてみてください!

 サブスクでも聴けます!
 https://big-up.style/79WnzEcbft


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