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作品としてのコーヒーを楽しむ

「作品に空間を合わせるのが、本来あるべき展示の姿だ」

とある芸術家に言われたことば。

会って話を聞いたのは一度きりだったが、今でも記憶に残ることば。

商品(売れなければならないもの)ではなく、作品という観点からすると、なるほど確かにそこには一切の妥協がないことが伺える。


コーヒーにおいても、同様のことが言える。

コーヒー(液体)が作品であるとすれば、コーヒーカップ(食器)を合わせる、といった具合だ。


陶器や磁器といったカップの材質。

まるみを帯びたものや角ばった形状。

赤や黒といった色に、淡い濃いといったコントラスト。

どのコーヒーにどういう器を合わせるのがいいのか…。


ところで。

食に関する研究分野に、ガストロフィジクスというものがある。

ざっくりいうと、食事に関わる、食事そのもの以外の味覚に影響を及ぼす「そのほかの要素」に関するものだ。

たとえば、食事中のBGMとか、食事のネーミングとか、部屋の照明とか、カトラリーの材質と重量といったもの。(もっとたくさんあるが書ききれない)


お店で僕が勝手にやっていることだが、実はコーヒーによって器を変えている。

いくつかある理由のひとつが、コーヒーに器を合わせるため。

フルーティーな風味や甘さ、口当たりの柔らかさを感じてもらいたいコーヒーなら淡いピンクの入ったまるい形状のもの。

ビターなもの(深煎り)なら黒の入ったものとか。


他にも、取手の握りやすさだったり、重さだったり、常連さんなら概ねいつも同じようなカップにしたりしている。

※この記事を読んでくれているお客さんにおいては、もし変更希望なら事前に仰ってください(笑)

洗い物がまわらず、残念ながらそうならない現実問題との葛藤もあるが。


もちろん、これらのことは僕が勝手にやっているだけの話なので、こうでないといけないというわけではない。

あくまでもオプションのひとつでしかないし、コーヒーやケーキといった食事を楽しむことにおいては、やはり環境が最も大切だと考えている。(誰と?どういう気分で?といったこと)

ただ、美術における作品と空間について考えてみたとき、コーヒーを作品と捉えて、そこにそのほかの要素を合わせていくという楽しみ方もあるなと思う。


久々に行った美術館で、冒頭の芸術家の作品が偶然見られたので、当時うまく書けなかったことをまとめてみた回。


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