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【#一日一題 木曜更新】 まだいたのかオマエ

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。ほらいつか岡山在住ライターとして一日一題から依頼が来るかもしれないし……し…? 

大人というものになってから約30年経ちました。若い世代には引き継ぎたくない、終わりにしたいなあと思う自分の経験があります。

「女の子は○○するもんじゃない」
見たまんまの言葉ですが、この言葉には、「家の中の女は男性に仕えるもの」とされていた時代の呪いが込められています。男性が眉をひそめるような行動をする女の子は、お嫁にいけなくなるからねという呪い。具体的な応用バージョンとして「女の子が○○学なんて勉強したって」という呪いもありますね。進学呪い。やれやれ。

遠い遠い昔、私が新妻だった20年前。ある一定の層に「旦那さんのお仕事は?」と嬉々として聞いてくる人たちがいました。単なる「話題」であることも間違いないんですが、明らかに夫側の職種で何かを測る人たちです。ちょっと便利な町から東京都下へ越してからは、知り合う女性の夫は大半がサラリーマンだったのでそんな話題は皆無になりました。「夫の職業」そんな質問が出るのも地域性なんだなあと感じたものです。一部にはいたような気もしますが、私は何やら面倒なにおいがするものからはすり抜けて、うまいこと面白く暮らしました。東京のベッドタウンは、色んな人がいてとても気楽で楽しい生活で、近所も職場も、夫の何やらではなく、対自分と向き合ってくれる人が多かったのです。

それがね。住まいを地方都市に移していっちょアルバイトでもするかと入社した会社にいたんです。「旦那さん何してる人?」と根掘り葉掘り聞く人が。しかも男性。会社員ですと返すほかないわけですが、あれやこれやと聞かれても職種等はお茶を濁し「管理職ですね」とだけを答えたら、ある日彼は脈絡なく私の夫を褒めだしました。「クニさんのご主人は東京の会社のマネージャーさんだもんなあ」。マネージャーだなんて言った覚えはないし、なぜ彼が私の夫を褒めるのか意図がさっぱりわからなかったんですが、この土地で過ごすうちに気が付きました。冒頭の「夫の職業で何かを測る人たち」と同類で、この男には「夫を褒めると妻が喜ぶ」すなわち「妻は夫の付属品」という図式があるのだと。結局その男(経営者だったのだ)とそりが合わないまま、私はアルバイト先を3カ月ほどで後にしました。

10年かかって振り払ってきたものに再び遭遇し、もやもやしたり傷ついたり。生きるって忙しいですよね。




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