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食人キノコの恐怖

「どうして、なんで、どうして」
体育倉庫の裏で見つけた真っ白なかたまりが私のミカの成れの果てだと気づいた瞬間、全身が凍りつくような感覚におそわれた。
昨日食事したときはまだ元気であたたかくてやわらかくて甘い匂いときれいな顔をしていたのに、今は白い綿毛のような菌糸に全身を覆われていてちぎれた肉の間からはたくさんのシメジみたいなキノコの傘が突き出ている。
胸から下はすでに原型を留めていなくて、キノコまみれのボロくずのようだ。
「これ、まさか例の食人キノコ?」
「わ、わかんない、どうしよう」
涙目のさっちゃんと顔を見合わせる。急に体内の全てを吐き出してしまいたくなり私はその場にうずくまった。

外空間由来菌類取締法違反と殺人の罪でさっちゃんが逮捕されたのは翌日のことだった。
なんでも裏サイトで買った胞子をこっそりミカの飲食物に混ぜ、観察日記をつけていたそうだ。
私は復讐を決意した。
(続く)

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みかん