恐怖!殺人ハムスター!

「チカちゃあああああん!」
ペットショップで金魚を眺めていた僕が金切り声に驚き振り返ると、上半身がクマのように肥大したゴールデンハムスターが半狂乱の女を叩き潰しているところだった。人の形に膨らんだほお袋からは、はみでた子供の足がぶらんぶらん。

蜘蛛の子を散らすように客が逃げ出す。当然僕も逃げる。
割れる水槽、飛び散る金魚。
ペシュッと妙な音と共に頬を何かが掠める。何だ?タネだ!ヒマワリのタネ!
直撃を受けたらしい不運な男が穴だらけのトマトみたいになってあたりに飛び散る。
「ジャンガリアンだ!」
異常に肥大したほお袋を持つ灰色の毛玉の群れが機関銃のようにタネを乱射し始める。
周囲はたちまちトマト祭りだ。タネの雨をかいくぐりつつ出口へ急ぐ。
血!タネ!血!内臓!タネ!もう少し!タネ!やった!!!脱出成功!!!

なんとか扉から転がり出た僕の目にうつったのは、家ほどもある巨大モルモットの姿だった。

(カピバラ編に続く)
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みかん