いい人ってなんだろう
(2020年2月17日の過去記事です)
積ん読の私がすぐに読んでしまった大嶋信頼著
【「ひとりで頑張る自分」を休ませる本】を紹介します。
二度目の挑戦です。
前回、紹介ともいえない感想文を勢いでぶちまけて収拾のつかないまま公開してしまいました。
つくづく情けないとぼやいたところ励ましやアドバイスをいただきまして再挑戦です。
この本はとある書店員さん激推しの心理カウンセラー大嶋信頼(おおしま のぶより)さんの一冊。MENSAの会員でもありお茶目でぶっ飛んだところが魅力の方です。
『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』
このタイトルからだと、ひとりで頑張ってヘトヘトになり休むこともできない、そんな人向けに書かれた本だと勘違いしちゃいそうですね。
実は「いい人」の恐ろしさ満載の身につまされる本なのです。
「いい人」は恐ろしくなさそうですが「いい人」を演じてしまっていることがこわいのです。
♢♢♢
「いい人」には「悪い人」
カウンセリングに訪れた夫婦のお話。
夫が怒りっぽくなかなか収まらないと相談に来た奥さん。隣に座るヤンキーのような態度の夫に、ちゃんとしてよと終始注意をしている様子。このときの奥さんはストレス刺激でストレスホルモンが分泌されていたけど旦那さんはちゃんと分泌されていないことが判明。
このストレスホルモンって分泌されるとイラッとして心拍数が上がり、戦ったり筋肉を収縮させたり、思いっきり走ったりする準備ができるホルモンなんです。一方とっさの時にストレスホルモンが分泌されないと時間が経過して後悔が襲ってきたり怒りがなかなか収まらない。それが繰り返されることによりストレスが溜まっていく。前出の旦那さんはこの状態でした。
結果を受けて大嶋先生は旦那さんだけを治療します。数ヶ月後、そのご夫婦がカウンセリングに来られ検査をすると数値も立場も逆になっていたのです。
えっ?
旦那さんのストレスホルモンが分泌されたら今度は奥さんがイライラして以前の旦那さんのようになっている...
なぜなんでしょう。
そもそも人間には真ん中に戻す力「恒常性」が備わっていて心に関してもこの恒常性が働くとあります。
そしてカウンセリングしていくうちに人間関係でもこの「恒常性」が働くことに気付いたそうです。相手のためにと「いい人」になれば、その相手はそのバランスを取るために足を引っ張るような「悪い人」になってしまう。
いい人と悪い人の恒常性です。
いい人は「いい人」を演じていると著者は語ります。そして演じれば演じるほど相手は「意図はわかるけど素直に受け取れない」という感じで逆の態度になってしまう。何となくわかりますよね。うん。あなたのためと押し付けてくるいい人仮面。結局いい人は相手の態度に傷つき報われず苦しむことになるんですね。
ここでの「いい人」は相手がやることをいい方向に解釈して、なんでも善意に捉える事ができるから、「相手も自分と同じようにわたしのことをわかってくれるだろう」と思ってしまそうなんです。
そこから本のタイトルが生まれたのでしょう。
次はよく聞くセリフについて。
♢♢♢
「良かれと思って」がうまくいかない理由
なにか口論になった時に聞く言い訳。
人が横暴になる流れのひとつにこれがあると感じます。
「私は相手のことを思ってやっている」
しかし相手からはなんのリアクションもない。
あれ?なんでだろう。
勝手に慮り先回りして良かれと思ってやったことが、誰の目にもとまらず当たり前になってしまうこと、誰しも経験があることでしょう。
勝手にしたのだから感謝されなくても当然なのに気付いてもらえたりするとすごく嬉しくて自己肯定感が生まれたりします。
良かれと思ってには承認欲求が潜んでいて、それはひとつ間違えると万能感に繋がるのかもしれません。
「自分はなんでも知っているし、変えられる」これが万能感の正体です。
僕の、私の、言うとおりにすれば大丈夫。
家庭、学校、会社。地域。
どんな関係性にも忍び寄る万能感の恐怖。
私も思い当たることがありました。
夫に対して、こうすればいいのにとよく口走っているのです。ガビーン...
この本を読み終わったあと、夫に万能感の話をしてみました。それからは○○すればいいのにと口走ったあと "万能感万能感" と戒めるため唱えることにしています。
※と最初に書いてから2週間経ちますがもう忘れています。ひとは悲しいほど忘れる生き物ですね。
♢♢♢
それで「いい人」ってなんなのでしょうか。
驚きますよ。
実は、
「いい人」というのは、ただの暗示なんです。
・相手の気持ちを考える
・緊張している
・すみません、申し訳ないの言葉が頻発する
・視線が定まらない
このサインが出たときはいい人をやっている!と気がついてあげるだけでいい人から解放されて自分が自由になっていきます。暗示にかかってるサインだと気付くことが必要です。
さて、ここまでが第1章です。
私は読み始めてすぐにがっちりと心をつかまれました。いい人を演じていた覚えがあるからです。
断ることが苦手で、嫌われるのが怖くて、それなら無理をして我慢していた方が楽だと勘違いをしていた時期が...
だけれど意を決して断ると意外にもあっさり認めてもらえたし、頼んでくれた人の気持ちを勝手に察していただけで、そんなものかと拍子抜けしました。
ただし、大切な案件は暴力的な空気や圧を感じないことも共通しています。
いい人で忘れられないこともあります
超個人的な話。
昔、離婚の申し出があったとき「いい旦那さんを演じていた」と手紙で告げられたのです。
他にも理由があったと思うのですが、あまりにもその言葉は衝撃的でした。
そうさせてしまった自分をしばらく責めて過ごしました。
時はながれますね。
いろいろ失敗しながら生きてきました。
捨てるものあれば拾うものありです。
ありがたや。
♢♢♢
ああ、自分語りをしてしまいました。
一枚の紙に書いていたら最後はスペースがなくなり字が小さくなるタイプです。
いい人の正体のこと、大嶋先生の言いたいことが少しでも伝わると嬉しいです。
さわりだけなので興味のある方は是非、読んでみてくださいね。
遠い昔のことを懐かしく振り返ったり、驚いたりしながら読了した一冊です。
あらためて本の紹介に挑戦しました。
前回より読みやすいと思ったあなたはいい人です!気を付けてくださいね。
お読みいただきありがとうございます。
最後に、
”人の幸せを願いすぎるあなたへ
自分を中心にする
これだけで嫌な人が離れて行く”
いま実感しています。
読んでくださりありがとうございます。