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エレクトロニカ(IDM)名盤 Boards Of Canada『The Campfire Headphase』レビュー

(レビューというよりは少しエッセイ寄りの文章ですがご了承ください。)

僕は歌入りの音楽を聴く元気が湧いてこない時は、よくエレクトロニカ(IDM)を聴きます。単純に、肉体的に疲れてる時は歌の主張が激しい音楽を聴くのがしんどい時があるんですよね。

僕がBoards Of Canadaを知ったのは中学生の頃。Radioheadが影響を受けたエレクトロニカという音楽があるらしいと知って、Aphex TwinやAutechreと共に聴いていました。こんな経歴でエレクトロニカを聴き始めたロック好きの方、多いのでは?

とはいえ、今になって思い返してみれば、こういう音楽を聴くのがクールでカッコいいと思って無理して聴いていた節はありますけれど。IDM(Intelligent Dance Music)を聴いてれば自分もインテリジェントな人間になれるかな…なんて(笑)。

ただ、それでもBoards Of CanadaはさすがにAutechreよりは聴きやすかったですね。Boards Of Canadaの温かみのあるメロディとヒップホップ的な力強いリズムは、ロックばかり聴いてた頃の自分にとっては新鮮でした。

あれから10年以上経ってから今作を聴くと、色々と発見があります。なんと言っても、彼らの音楽で凄い点は「音色」だなあと再認識。僕は一流の電子音楽家の作品に共通するのはシンプルに「音の綺麗さ」だと思っています。Boards Of Canadaに関しては特に一音一音が命賭けと言っても過言では無いくらい磨き上げられており、自然と心が捕まれますね。色んな多種多様の音楽を聴いて比較対象が増えたからこそ、「やっぱり一流の人達は違うなあ」と強く感じるようになりました。

また、メロディは単に穏やかなだけでなくどこかサイケデリックな不穏さが潜んでるような側面があり…、単なる「癒し系音楽」とは一線を画している印象を受けます。この辺りの、聴き手を一元的な解釈に留まらせない深みもまた、一流の音楽家に共通してる点と言えるのでは無いでしょうか(これに関してはいずれ単独の記事で触れようかと思います)。

今作は名盤と名高い1stと比べると、良くも悪くもアルバム全体の流れが平坦かもしれません。曲の尺やインタールードの有無によってアルバム全体の印象って大きく変わるものですね。それでも、半分BGM代わりに聴いたりするぶんには1stよりも今作のほうが適してる印象を受けます。よりサイケデリックな作風の2ndが一番好きという方も居ますし、この辺りは好みの問題かと。

何はともあれ、今作が万人にお勧めしたい大傑作なのは間違いありません。電子音楽好きはもちろん、ゲーム音楽等が好きな方も是非。


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