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地方創生の光と闇

そもそも「地方創生」とか「地域活性化」とかって言葉を使うと、その分野でゴリゴリやっている人たちからちょっと嫌われます。あんまり知られてないけど、これはほんとです。ご注意ください。

今回はそれだけ伝えられたらまぁいいかなってくらいなんですが、もうちょっとだけ掘り下げます。


ここ10年でしっかりと「地方創生」って言葉が広まり、西粟倉村や海士町みたいな超小規模自治体ゆえの尖りでポジションを取り、注目を集め、お金を集め、独自の生態系を築きつつあります。すごい。

ほかにもDAOやNFT等を利用したものもあって、さらなる盛り上がりを見せていると言えると思います。

このような「地方創生」ができるのは、最低2つの要素が必要で、
①首長or行政官僚が強いリーダーシップを発揮していること
②小規模自治体であること

です。


①は言わずもがな、地方自治体内の意思決定は、それらの人の活躍なくしては起こり得ないからです。

②はあまり議論されてませんが、地方といっても、1500人のような西粟倉村から、70万人の岡山市まで、サイズが様々です。それらを同じ「地方」って言葉で語ってるので、みんなの頭の中の姿はバラバラだったりします。

その中で、①をうまくワークさせるためには、でかすぎるとやりずらく、小規模自治体がいいよねって話です。

もちろんこれらには例外があって、その一つは福岡市です。福岡市は160万人くらいの都市です。とてもでかい。 スタートアップに近い人からすると、福岡市は「地方スタートアップのエース」です。そういう風に認識している人も多いかと。

これは様々な要因がゆえに成り立ってます。 首長がすごすぎとか、周りのプレイヤーが優秀とか、海外との距離が近いとか、ご飯が旨いとか、なんか街の雰囲気がいいとか、博多男子、福岡女子がかっこいいかわいいとか、ちょっと様々すぎてこれが要因だっていいづらいですが、あるにはあります(というか、だいたいのことをこれが要因だ!っていうのは嘘ですよね。そんな単純じゃないです)。


「じゃあ、西粟倉村や海士町や福岡市みたいに尖ってポジション取って行けばいいじゃん!必要なのはMISSIONだ!パーパスだ!」

という風に思うかもしれないですが、僕はこれ基本的にはうまくいかないと思っています。

だって、考えてみてくださいよ。 まず絶対無理だと思うのが、採用です。MISSIONに共感した採用をまず諦めないといけないんですよ。街なんだから、誰でも引っ越してこれるし、どんなに邪魔な人でも追い出すことはできません(というか、正確にはやるべきではありません)。

若者が活躍できる街にしよう!
っていったら、妙齢は活躍しなくていいのか!と声が上がります。

女性が住みやすい街に!
っていったら、男は住みにくいのか!という声が上がります。

これ極端ですが、当たり前です。それこそが住むってことだと思います。居住は自由です。特定の誰かに向けるということが、地方ではやれません(正確には自治体は、ですね)。


選択と集中を奪われた場合、戦略なんてあってないようなものです。
その場合に生まれるMISSIONは、「みんなの幸せなまちづくり」くらいの抽象度に落ち着きます。これを責めるのは筋違い。構造的にそうなってるんですもん。 そんな中でも行政の人たちは工夫と配慮と熱量でどうにかしようとしてて、ホント頭が下がります。「行政まじでイケてない」っていってる人たちは何を見て言ってるんでしょうね。わかりません。


上記のことからもわかるように、移住定住の施策なども、基本的にうまくワークしません。できたとして、他の類似地方から引っ越してもらうくらいです。東京からの人に来てもらうとかはできないですね。

それは、多くは仕事。または教育。これを抽象度上げていうと「チャンス」です。そのチャンスが地方では圧倒的に不足しています。 まず望む転職はできません。
同水準の教育を担保するためには、今の何倍もお金や時間をかける必要があります。隣の席の子が芸能人になることもないし、BARで投資が決まることもありません。
そんなチャンスが減っていく地方に来てくれってのは、無理です。緩やかに死んでくれっていってるようなものです。移住したら300万円あげるよ!って言われて、代わりに死んでね?は通らないですよ。

あ、ちょっと誤解してほしくないのは、そういう価値観の人にとっては、って意味です。
そうじゃない軸で生きている人たちはいるので、全否定ってわけではないのだけわかってもらえたらと。僕も今地方にいますし。


と、ここまでなんとなく闇な感じで話してきましたが、すぽっと大きく1つのことを外してました。多分気づいてる人は気づいてて、何ならここまで読んで貰う前に「なんだよ、こいつ何もわかってねぇな」と離脱している可能性さえあります。 それが何かというと、そこに住む一人ひとりの物語です。

いや、物語とかちょっとカッコつけすぎましたが、要するに地方で活動しているプレイヤーたちですね。それは、起業家だったり、NPO代表だったり、商店街の役員だったり、ボランティアの人だったり、消防団の人だったり、学校の先生だったり、お母さんだったり、お父さんだったり、子どもだったりです。

彼ら彼女らが目の前の人を今よりちょっとだけ幸せにするっていうのが、そのまま地方を良くすることだし、日本を良くすることだし、世界を良くすることです。それこそが、真の地方創生です。


で、ですね。それだと、みんな頑張って生きていこう!みたいなことで終わっちゃうんですが、ちょっとおもしろいのは、最近特に若い人たちの中で、「地元のためになにかしたい」って人増えてる気がするんですよね。いや、まだ緩いですね言い方が。増えてます。確実に。


これは価値観自体の転換が起こってきているのかもしれないし、今まで地方で頑張ってきた先人たちの取り組みを見たからこそ、自分も地元でやりたいなって思ってからなのかもしれません。

理由はともかく、確実に増えてるんです。これはすごいことですよ。東京に行って一旗揚げるんだ!って価値観が変わってきているんだとしたら、ビビるくらいチャンスです。地方の人達はこれを逃す手はありません。


また、その場合はMISSIONをつくれるんですよ。 世界を変えるとかじゃなくてもよくて、たとえば、 「商店街の空き店舗を0にする」 ってMISSIONよくないっすか?とても素敵。達成したかしてないかもわかるし、目に見えて変化がわかるの生きてるなって感じます。


そういう一つ一つは小さいかもしれないけど、誰か1人は絶対嬉しくなるようなことを積み重ねていくのが良いなって思ってて、そしてそれが今の地方でぽこぽこ生まれていってるんですよね。

もちろん課題はたくさんあったりします。 たとえば、それが経済的なものと結びついてることが少ないこと。なので結果として疲弊することとかはありますね。ただここは無理やり経済的なものと繋げなくてもいいんじゃないかなって思ったりはしてます。お金になるかならないかだけで話したら、地方基本やめといたほうがいいので。他で稼ぐだったり、それこそお金に稼いでもらうだったりはしつつ、そのやりたいなーってことを実現できていける方がいいなと。


「地方創生」ってワードは、やれ移住者と住民の骨肉の争いだ、民間vs.行政だ、みたいな対立構造煽って、酒の肴にされたりするんですが、いやいや、ちゃんと目を向けようぜ。結構すごいぞ。(あんまり好きな言葉じゃないけど)地方創生ってしっかり実りつつあるぞ、ってのを伝えたいなって思って書きました。


いま地方に興味ある人に届くといいな...。


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