不登校はかんたんに騙せる。だから...
「不登校なんてかんたんに騙せるけぇ」
「なんであいつを学校に返したんだ?まだあと半年は引き伸ばせたはずだ。しっかりせぇ!」
「今、うちにこないと娘さん死にますよ?何を躊躇してるんですか?」
──
仕事柄、学校以外の教育機関の人と接することも多い。
たいていの人は高い理想と清廉な心で子どもたちやその親御さんと向き合ってる。その方々はとても素敵。尊敬。
一方で「不登校」は騙しやすい。
今まで普通に学校に行ってた子が、突如学校に行かないと言い始めた。恥ずかしいやら情けないやらで周りには言えない。どうすればいいのかわからない。
そんな気持ちのときに、専門家のような人に出会い、その人のアドバイスが
「うちにきたら、お子さんを学校に戻すことができますよ!」
だったとき、それにすがりたくなるのを責めるのはちょっと酷。
それが本当かどうか。本当だったとしてそれが良いかどうか。そういうことは突如として訪れた「不安」の前で改めて検討するのはとても難しい。
つまり、「不登校」は騙しやすい。
そういうもの。
無花果もえぎフリースクール
ちょっとだけ自己紹介を。
ぼくたちは「無花果もえぎ」という名前でフリースクールを運営しています。
フリースクールの定義も人によってバラバラなんですが、まぁ「学校に行かないことを決めた子たちが集まる場所」くらいで思っておいてもらえるとイメージ湧くかなって思います。
そしてぼくたちは、「不登校」が問題だと全く思ってません。
ただ、「不登校」を問題だって感じている人がいることは理解しているので、その人たちみんな「あ、不登校って問題じゃなかったんだ」って気付いていく、そんな場所を創ってます。
あ、あとこういう写真とかみて「遊んでるだけでしょ?」という声もいただくのですが、割とガッツリ教育の本質を体現しているつもりです。
何をするかばかりに注目が集まるのですが、どうあるのか?そしてそうあるためには先生たちはどんな自分として生徒と接するのか。問いと悩みと葛藤と挑戦は終わらないですが、<自由>と<自由の相互承認>の教養を通じた実質化を現場で本気で目指してます。
(詳しく知りたい方いたら別途書きます)
不登校/フリースクールの構造
「不登校」が騙しやすいのは前述の通り。
言い方はあれですが、精神的に不安定になっている人ほど騙しやすい。
また、フリースクールのビジネスモデルは、シンプルに塾と同じようなもの。
売上 = 月額orコマ数 × 単価
で、あればですよ?
売上を増やすためには、
①継続期間を伸ばす
②コマ数を増やす
③単価を上げる
になります。
それはつまり
①「今学校に戻ると、娘さん死にますよ?」
②「復帰のために今頑張りどきです、通う日を増やしましょう!」
③「精神状態が不安定なので、カウンセリングも追加しましょう」
これを
「うちにきたら、お子さんを学校に戻すことができますよ!」
と生徒を獲得したあとやるわけです。
売上増えてはっぴはっぴです。
──
高い理想と清廉な心で始めた教育者が、上記の言葉を投げかけて生徒を獲得し、継続させてるのをみるととてもつらいです(ちなみに、岡山での事例ではありません。あしからず)。
ただこれ、教育者が汚れてるとか人間としてしょうもないとかそういうことじゃないと思っています。
僕だって経営者として事業を行う中で売上が思うように上がらず、明日のメンバーへの給与が払えないってときに、ちょっと強い言葉を使えば獲得できる売上が目の前にあったら言ってしまうかもしれません。「まぁ結果として幸せにしてやるから」と言い訳をしながら。
経営者、教育者の倫理観だけでどうにかするのは限界があるんじゃないでしょうか?
循環しながら支え合う仕組み
だからこそ「売上を増やすんだ!」というインセンティブが起こりえない「フリースクール」の仕組みが必要なんじゃないかなって思ってます。
その1つの形として、月額サポーターモデル。
僕たちの場合だと、だいたい300人くらいの人が月に1000〜3000円の月額サポーターになっていただくことで、生徒やその親御さんからお金をいただかないモデルが実現できそうです。
「なんだ、結局寄付か...」
と思われるかもしれませんが、(そしてそのとおりなんですが)これ中々バカにできないなーと。
岡山市は、「不登校」の小中学生が約1,000人います。
(不登校にあたらなくても学校に行っていない子を入れるともっとですが)
ぼくたちがフリースクールをはじめてから1年半。
平均で2日に1件そうした「不登校」の子や親御さんから相談があります。
最近では勢いが加速して、ほぼ毎日相談があります。
おそらくあと1年もすれば、この1,000人の子たち全員にリーチする日が来るんだろうと思います。
そして今はそのうち半分以上の人が、金銭的理由でうちに来るのが難しく
「すっごく通わせたいんだけど...」
とあきらめていらっしゃいます。
とても歯がゆいです。
一方でちょっと考えてみてほしいのですが、岡山市の人口って72万人ですよ?
そのくらいの都市の「不登校」で苦しんでる人全員に無償でサービスをとどけることができるのってシンプルに上がりません?
それも月額1000円とかで。
言い方は適切じゃないかもしれないですが、月に1回ランチを我慢することで、岡山市の「不登校」が問題じゃなくなるのってすごくないですか?
これ僕たちがサービス提供者だからちょっとポジショントークみたいになるんですが、このモデルうまくいったら
「行政が動いてくれない」
「ボランティアでやるしかない」
「協力者がいなくてできない...」
そんな不平不満なんて軽く超えて、必要な人に、必要な形で「教育をとどける」ことができるんじゃないかなってわくわくしてます。
うまくいくのがわかったら、他のフリースクールを運営されてる方にもそのやり方や考え方などどんどん広めていきたいと思っています。
ぼくたちにはその未来への道が見えてます。
──
「不登校なんてかんたんに騙せるけぇ」
だからこそわざわざ騙す必要なんてない仕組みをつくって、教育をとどけて行けたらと思います。
まずは僕たちが実現します。
1年以内に。
よかったらここで実現までの過程を見届けてもらえたら嬉しいです。
ぼくたち「無花果」に共感いただけた方は、一緒に完全無償のフリースクールをつくりましょう!