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住宅ローンの「返済期間」を慎重に検討したほうがいい理由

以前の記事でも少し触れましたが、今回は住宅ローンの返済期間について考えてみたいと思います。

返済期間はいつ決めるのか

住宅ローンを選択するときには、いくつかのことを決めていかなければなりません。「借入金額」「金利商品の選択」「返済期間」などがそれです。

もちろんこの要素を選択するには、対象となる ”購入物件の価格” にもよりますし、住宅ローン審査における個人の ”能力等属性” によっても「選択肢」は限られてきます。

残念なのは、この物件価格や個人の年収等によって、「私の住宅ローン」が決められるのは、購入するその瞬間だということです。
更に問題は、その後何十年と続く住宅ローンの返済が、「購入するその瞬間の状況」と変わっていったとしても、(転職、転勤、配属転換、家族構成の変化、家計の支出の増減等)していっても容赦なくただ続いていくことなのです。
(一部金融機関除く)

住宅ローンの返済期間はどの程度なのか?

住宅金融支援機構が調査した資料では、30~35年返済を利用している人は全体の63.1%にもなることがわかります。
そもそも住宅ローンの条件として完済時年齢はおおむね80歳としている金融機関がほとんどのため、35年を組む場合には融資実行時の年齢は44歳以下である必要があります。

借入金額や金利の選択をしっかり考えていたとしても、「返済期間」については無条件に「35年」と考えている方が多いように思います。
購入時には、目先の「月々返済額」にとらわれて、65歳以降の返済については目を瞑っている状態の人が多いのではないでしょうか。

n=239 住宅ローンの貸出期間2018年度中の新規貸出期間 (資料) 住宅金融支援機構

「退職金で完済する」は現実的か

もしも「定年退職」の年齢を65歳とした場合、35年返済を組まれる方は30歳までに計画を実行しなければ無職の状態で返済することになってしまいます。

44歳の方が35年返済を計画した場合、定年退職を迎えて残り10年以上の返済期間が残されてしまします。つまり定年退職を迎えた後も収入が必要であるために働き続けることが必要になるのです。退職金や預貯金があることで繰り上げ返済を計画できればいいのですが・・・年金額の減少が取りざたされる中で老後の生活を考えると、思いきれない場合も多いのではないでしょうか。

最近は今までの退職金制度を精算し、前払い退職金として賞与等に上乗せして支払っている企業も多くなってきています。また、私もそうですが、転職を何度かしているとまとまった退職金を受け取ることが普通ではなくなっていきます。

銀行が行う住宅ローンの審査とは誰のためなのか

全国にある銀行は、一体何を基準に判断や審査を行っているのでしょうか。

無理な計画をさせて私たちを困らせようとしているわけではないのは当然ですが、融資をする側からすれば事業として「リスク」を判断しているため、土地や建物の担保も確保するわえで、先ほど述べたような定年後の返済について回答を持っているとは言えません。

これから始まるであろう問題とは

おそらく今後定年を迎えても住宅ローンの返済が残っている方が社会問題になるのではないかと懸念しています。
定年前であっても、役職定年等で、「55歳頃から給料が下がり始めたけれど子供の教育費負担はピークで毎日の生活が苦しい」という方は少なからずいらっしゃいます。

リバースモーゲージなどの商品もありますが、自分が死亡した場合には担保物件の処分が基本となっています。
一体なんのために「所有」したのか、振り返って「購入なんてしなければよかった」とならないよう、くれぐれも住宅ローンを組む際には借入額だけではなく、返済期間の検討を慎重にしたほうが良いと思います。
最終的には「身の丈に合った住宅を購入する」という点に行きつきますよね。

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