賃貸と持ち家どちらが良い?に結論は出るのか ~住宅ローン、老後、リスク
こんにちは、くみょんです。
「賃貸vs持ち家どっちがお得?」という議論は尽きることがありません。
総費用で言えば、基本的には買ったほうが安くなる
お金の面で計算を試みることもできますが、結局設定条件によっていくらでも試算結果は変えられることは先にお伝えしておきます。
大体の目安としては、同じ場所に長く住むのであれば、買ったほうが総費用は安くなります。家を買って貸し出した時の利回りを4%程度と考えると、自分で買って自分で住んだ場合も賃貸と比べて4%程度安くなるというイメージです。3,000万円の家を借りるよりも、買ったほうが120万円ほど安くなる感覚です。
それでも今後外部状況がどう変わるかわからず、また立地やグレード、住宅ローン金利などの要素で変わりますので、どっちがお得かの答えは試算した期間が過ぎた後にしかはっきりとは分からないのが現実です。
では、賃貸、持ち家議論についてどのように考えたらいいのでしょうか。
メリット、リスク、自分事で考える
月並みな答えですが、賃貸と購入のメリット、デメリット(リスク)を把握したうえで、「自分の場合はどうか」をしっかり考えることが必要です。
賃貸のメリットとリスクは?
賃貸のメリットはなんと言ってもいつでも引っ越しができる身軽さでしょう。ライフスタイルが変わったときや隣人トラブル、事故や災害などがあった場合にも転居すれば済みます。また、賃貸の場合は設備エアコンや給湯器が壊れても貸主が修理や交換をしてくれます。
フリーランスや個人事業主の人は、住宅の一部を仕事場として利用している場合、そのスペースに概算される賃料を経費として計上することができることも頭に入れておきましょう。
一方賃貸のデメリットは、住宅のグレードが落ちてしまうことです。特に都内だと利便性と広さ、設備の良さを兼ね備えた賃貸住宅を見つけることはなかなか難しいものです。特におひとりさまの場合は、ちょっと広さに余裕のある35㎡~40㎡くらいの部屋を探したいと思っても、20~30㎡の1Kが多くなかなか見当たりません。
また、「賃貸の場合は老後が心配」という声もよく聞きます。これは、年金があり、住まいにそこまでこだわらなければ借りることは可能だと思います。
ただ、自分の希望している物件に住むことができるかは何とも言えません。今後は高齢者が増えていきますので、オーナー側からしても「高齢者には貸さない」と言ってられなくなるとは思いますが、実際、賃貸の入居審査を見ていると、65歳以上の方を敬遠するケースにも出会います。入居者が亡くなってしまい、相続人もおらず荷物の処分に相当な労力がかかった、という話も聞きます。
この辺りが、「ずっと賃貸は不安」と思う要因です。この不安を、家を購入することで安心に変えられるのであれば、購入を考えても良いと私は思います。
購入のメリットとリスクは?
購入のメリットとして、住宅ローンを払い終われば、その後の住居費の負担が減るということが一番に挙げられると思います。
また、先ほども述べたように、特におひとりさま女性にとって「とりあえず住むところがある」という安心感は何物にも代えがたいものです。
「グレードの良い家に住める」「自分で好きなようにDIYできる」などもメリットとして挙げられるでしょう。
もちろんデメリットもあります。
賃貸のメリットの裏返しで何かトラブルがあってもそう簡単に転居することはできません。災害に遭って修復コストがかかったり、地価が下がる可能性もあります。
また、収入の変化があったときに対応できるか、というリスクがあります。特に高額の住宅ローンを組んでいるとそれが足かせになりチャレンジができなかったり、職場で環境の変化等があっても転職ができないという事態に陥ってしまいます。
「いざとなったら貸せばいい」「手狭になったら住み替えればいい」こんなトークも販売現場ではよく聞かれます。顧客が熱心に「リセール」について尋ねている場面にも遭遇します。
賃貸に出す場合でも、マンションなら修繕積立金や管理費、固定資産税等はオーナー負担ですし、経年劣化などで設備に不具合が出た場合もオーナーが対応しなければなりません。もちろん空室リスクもあります。これらを理解しているか疑問ですし、そもそも、住宅ローンを組んでいる場合ほとんどの金融機関で賃貸に出すことは禁止されています。
住宅ローンを借り入れる際に「賃貸に出した場合は一括完済します」という「念書」を差し入れることも多くあります。
また、売ると言っても労力は相当必要ですし、希望の価格で売れるとは限りません。仲介手数料がかかることも考慮しなけれなばりません。
「貸せばいい」「売ればいい」と言うのは、購入に踏み切るための「言い訳」「免罪符」のように聞こえるのは私だけでしょうか。
大切なのは無理のない金額で住宅ローンを組むこと
「住宅なんて結局は衝動買いだからね」とディベロッパーや住宅会社時代の同僚に言われたことがあります。確かにそういう面はあるのです。モデルルームに行けばテンションが上がり、「購入したい」という気持ちになります。
この気持ち自体は否定する必要はないはずなのに、「この物件なら賃貸に出しても需要があるから」とか「リセールの事例があるから」などを購入理由に挙げて高額の住宅ローンを組んでしまったりするのです。
「住宅を購入する」には多かれ少なかれこれからの生活への夢があります。購入することに私は否定的ではありませんが、「高額の(身の丈以上の)住宅ローンを組むこと」には「NO!」と断言します。
数千万円の借金を抱える住宅ローンはやはり重いのです。私も自分が住宅ローンを組む際はなんどもなんども自問自答しました。「この金額を払い続けられるか」「繰り上げ返済をどのタイミングでいくら行えば何歳で完済できるか」・・・
一般的に住宅ローンの審査は、年収(額面)の35%程度に住宅ローンの返済額が収まっているかを見ています。年収600万円の人なら月々175,000円まで返済できるとして借入金額を見るのです。これって現実的な数字でしょうか。
手取りの2割で返済できる金額を目安にする
私個人としては、月々の返済額は手取り給与の2割程度に収めるべきだと考えています。手取りの2割に収められれば、収入の増減や金利の上昇にもある程度耐えられると思います。
月収が手取りで30万円の人であれば月々返済は60,000円まで。0.5%の変動金利(35年・元利均等)で借り入れるなら、借入金額は2,300万円程度に抑えることになります。これに自己資金を加えた「予算」で物件を探してみることをお勧めします。
なんだか長くなってしまいましたが、賃貸か持家かを考えることは結局のところ「自分を知る」ことになるのだと思います。「自分はどういう暮らしをしたいのか」「自分はどんな点を不安に思うのか」「自分の収入で無理なく返せる住宅ローンはいくらか」「購入するなら予算はどのくらいか」etc
このプロセスを抜きにモデルルームや住宅展示場に行ってしまうと、マンションの場合は「資産になる」「設備がいい」、戸建て住宅の場合は「性能のいい家に住める」「メンテナンスコストが安い」などのトークを浴びて、「どの物件がいいか」「どのハウスメーカーがいいか」という考えににはまっていってしまうのです。
(ちなみに、新築マンションのモデルルームなどでは繰り返し「購入すれば資産になる」と言われますが、「資産になるのは住宅ローンを払い終わってから」であると認識しておいたほうが良いかと思います。)
持ち家の場合は老後の出口戦略も考えておきたい
住宅を購入した方、特におひとりさま女性には「老後の出口戦略も考えておきましょう」と最後にお伝えしておきたいと思います。
これから年を取って身体が不自由になったら高齢者施設に入ることもあるでしょう。その時持ち家はどうするのでしょうか。役目を終えたとして処分するのか、相続人に相続させるのか、いずれにしても事前によく考えて手配をしておくべきです。何もせずに自分に何かあったとき、思い入れのある家が「負動産」になってしまいます。
おひとりさま女性と一緒にこの問題は考えていきたいと思います。
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