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名作SFの続編を読んでモヤったこと

 いつからかミステリ作品中心に読むようになってちょっと遠ざかってたSF作品を最近またよむようになった。
 久しぶりだからこそトレンドの違いが目に付くのかもしれないが、女性が活躍するようになってて嬉しい。
 だけど、まだまだだな、と思うのが、身体性の扱われ方。生身の人間であることをすっ飛ばされたら、フィクション上の薄っぺらいキャラに過ぎなくなってしまうじゃないか。
 何の話かというと、トイレと生理のことだ。

 緊急事態発生で急遽専門家チームが過酷な現場へ赴くことになる、という設定はわりとよくある。そのチームに女性が複数人、入るようになったのは良いことだ。昔はお飾り的に1人いればましなほうで、どうかすると「足手まとい」役になりがちだったことを思えば、そのチームにいるべき専門家として扱われるようになってきたのはたいへん喜ばしい。
 しかも、若くして見出された「〇〇の天才」としてマスコット的な若年女性というよりも、きちんとキャリアを積み重ねてきた、しかし過酷なサバイバルが難しいような高齢でもない年ごろの女性が採用されるのは現実的で好ましい。
 が、突発的な事態に際して急遽集められたのに、どの女性も生理が始まる心配をしないのはなぜなのか。たまたま終わったばかりであと2~3週間は大丈夫、という幸運なケースばかりではないはず。
 別に事細かに描写する必要はまったくないが、例えば装備品を並べ立てるときに生理用品も入ってる、というだけで安心できる気がする。
 同様に、男女混成チームなら簡易トイレ/更衣室として使える小さいテントなんかもあってほしい。赴く先の環境によっては排泄物処理キットみたいなものもあるといい。それがあるだけで、「え、トイレどうしてるの?」というどーでもいいことに邪魔されずに読み進められるのに。
 それともみんな、そんなこと気にしないの? でもそういうとこをないがしろにしてる専門家チームなんて、危機管理が不十分に見えない?
 こういうシチュエーションでは途中で装備品をいくつか放棄しなくちゃいけなくなったりもするから、食糧を諦めるかどうかで悩んだりするでしょ? 食べるのは我慢できても排泄はコントロールできないでしょ、普通は。だからこそ、必需品として言及してあるかどうかで臨場感や緊迫感が違ってくると思うのだけど。

 ここ数年でSF界にジェンダーの波が来てるようでうれしい。いまはまだ、SFの体裁の中で「もしもこうだったら……」という仮定でしか女性が存分に活躍している世界を描けないのはもどかしいけれど、ここから現実のほうも動かしていって、どんなジャンルでもこういう世界が見られるようになるといいなぁ。

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