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【活動録】第一回カムクワット読書会

こんばんは。カムクワット読書会のTomsongです。約二年ぶりのオフライン読書会であり、自身が主催であるため非常に緊張しておりましたが、参加者のお二方が非常によい雰囲気を作ってくださいました。
この場で改めてお礼申し上げます。

【ミーツ・ザ・ワールド】

今回の課題図書は金原ひとみさんの『ミーツ・ザ・ワールド』でした。帯文「死にたいキャバ嬢と推したい腐女子」が示す腐女子・ユカリの変化と、その変化をもたらしたキャバ嬢・ライとその周囲の人物たちを軸に読んでいました。
ユカリが「普通」と考えていた価値観と異なる人たちによって、「普通」に対して抱いていた違和感を表明することができるようになる。その結果、婚活やオタ隠しなどを改めて堂々と振る舞うようになる。

このような感想を抱いていたところ、面白い意見が出ました。ユカリがライたち新宿の仲間と交流したことをある種のファンタジー、異世界体験である。そして異世界での経験を現実へ持ち帰ることによってユカリは変化したのではないか。
神話や童話を見るような視点が非常に興味深かったです。

小説家のユキと旦那にあった出来事と破局を、もしユカリがユキの旦那のように動いた場合のユカリとライの未来の暗示として読んでいたが、旦那の行動自体には注目していなかった。
退廃的なユキを変えるとして結婚して子供を作った彼は、幸福という地獄に陥ったユキを捨てる形で離れてしまう。
この話を起点に男女関係の変遷や偉人たちの恋愛遍歴へ話題が展開していき、当たり前なことですが人それぞれに感じ方があるのだと再認識しました。

【まとめ】

やはり同じ作品について語ることは楽しいなと感じました。自分からは出てこない意見を聞くことができることはもちろん、会話の中で自分の中から生まれてくる感想に気付くことができる。一人で読書をしていてはできない体験の重要性を改めて実感しました。

また、課題作品を設定することについて「宿題みたいで面白かった」や「普段は手を出さない作品を読む機会になる」といった声をいただけました。

次回以降の構想としては、GW中にディスコードを使い、三月に実業之日本社から刊行された百合小説アンソロジー『彼女。』を一日一作、連日感想会をやりたいなと考えております。

オフライン読書会としては、五月中に文芸誌から作品を選んで行いたいと考えております。候補作としては文學界新人賞作品(『文學界(2022年5月号)』)を読んでみたいです。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

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