見出し画像

斜めの写真は治らない

 SNSの普及もあって、今では、日常的に写真を目にすることは多い。何だ
か変だなと感じる写真も多いのだが、それは被写体が斜めの写真。

なぜ斜めに撮るのか

 テーブルに並べられた料理の数々があったとする。それらを画面全体に収
めようとし、画面の対角線を寝かせることが考えられる。ひし形のような形
に切り取るので長方形より部分的に横幅をかせげる。
 また、斜めに撮ればおしゃれという思い込みがあるのかもしれない。

 思い返せば自分も斜めの写真を撮っていた。普通に撮っていても面白くな
く、奇をてらって斜めに撮っていた時期がある。
 カメラを被写体に向け、すぐにシャッターを切っていたこともある。水平
垂直を意識していなかったので建物や人物などは傾いて写っている。

今では感じる違和感

 皿が傾いているのにこぼれない料理。そんな写真には不自然さを感じてし
まう。そして、すんなりどんな料理か頭に入ってこない。頭のなかで皿を水
平に修正しているからか。

 昔の写真に水平線を斜めにして撮った写真がある。今見返してみると何だ
か奇妙な風景だと感じる。やはり不自然だからだ。
 意図的に斜めにしていないが、斜めになった被写体にも同様なことが言え
る。不自然だし、不安定さを感じる。

 斜めの写真に違和感を感じるようになったのは、写真教室で学んでからだ
。自分自身の記録のための写真であれば、斜めでもかまわないと思うが、他
人に公開するのであれば、不自然さや違和感を感じさせない写真の方が「伝
わりやすい」だろう。自分が何を表現したいのかを。

治らない斜めの写真

 SNSの写真で、斜めで違和感を感じる写真だが、多くの「いいね」がつい
ているものがある。投稿者からすれば、「いいね」が多いので、おかしな写
真だとは思わないだろう。
 脱線するが、なぜ多くの「いいね」がつくか考えた。結論は、単にフォロ
ワーが多いから。投稿された写真が「いいね」ではなく、投稿者が投稿した
ことが「いいね」なんだろうと思う。

 写真の大量消費の時代だ。メディアを通じて大量の写真が流れてくる。自
然と一枚一枚をじっくりと観る状況にはならない。
 スマホの小さな画面ではぱっと見の印象で判断しがちだが、これも同様な
ことをまねく。「観る」機会が少なく、写真を見る目を磨けないのが今なの
かもしれない。

 投稿者も投稿された写真を見る人も違和感に気付けない環境。これがため
に斜めの写真は斜めのままだと思う。

斜めが全てダメなわけではない


 写真を学ぶ中で、被写体を斜めにすることで例えば「動き」を表現できる
ことを知った。ただ深く考えずにやると、小手先の演出になり、おかしなも
のになる。水平垂直が取れていない写真が違和感を与えることを理解するの
が先決だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?