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~小学校の先生はプログラミングを教えられるの?~【子どものプログラミング教育特集⑤―どう教える?保護者の疑問を専門家に聞いてみた】

プログラミング教育が始まっているけれど、実際どんなことをしているのか分からない。親はどう対応したらいいか不安…。
そんな声にお応えして、プログラミング教育の第一線で活躍されている松田孝さんにアドバイスいただく本企画。親として、「プログラミング教育にどう向き合っていけばいいか」のヒントが満載です。ぜひご家庭でも参考にしてみてください。

【特集の目次】

① プログラミングってなに?と聞かれたときの答え方
② 子どもに楽しんでもらう秘訣とは?
③ プログラミングの授業で一体どんな力がつくの?
④ 親ができるプログラミング教育とは?
⑤ 小学校の先生は教えられるの?
⑥ プログラミングを学ぶ上で知っておきたいリスクとは?

【プログラミング教育における先生・保護者の役割とは?】

Q. ほとんどの小学校の先生は、学生時代にしっかりプログラミングを履修していないのではないでしょうか。どれほど知識があるのか気になります。現場ではどう対応されているのでしょう?

A. ご指摘の通り、学生時代にプログラミングを学び、教壇に立っている先生は、ほぼいないと思います。ただ、だからと言って小学校の先生がプログラミングを学ぶ場を開けないとは考えていません。
「学ぶ場を開く」といいましたが、確かに持っている知識や技能がなければ、それを教えることはできません。しかし、“学ぶきっかけを作る”ことに関しては、小学校の先生方はプロだと思っています。

これからの学びは、先生が持つ知識や技能をそのままの形で子どもに定着させるのではなく、きっかけを与えて、子どもがその世界に興味・関心を持って取り組んでいく動機を、いかに醸成するかが先生の大事な役割だと考えています。

学校の先生は「“子どものよりよい成長に関わりたい”という願いを持っているから、その職に就いた」と、私は思っています。
ですから、先生は、子どものすばらしい学びの姿を実現したいと考え、その一生懸命な姿を応援しようとします。たとえ、先生自身が、ある時点でプログラミングを十分学習されていなくても、これからの時代に子どもたちに必要な力であるということを理解し、しっかり準備されると思います。
子どもに共感し、「すごいね」「どうやったの?」「もう1回見せて」という先生からのその言葉が、子どものやる気を促していくと考えています。

子どもは本気で学びたいと思ったとき、自分で次に向かっていきます。
小学校の段階では、プログラミングを通して自分の思いをダイナミックに表現する楽しさを体験することで、次に向かう意欲を育むことが大事だと考えています。
そういった意味で、先生が専門的な知識や技能を完全に持ち合わせていなくても、子どもを育てる気持ちさえあれば、その力を育成する方向に、学ぶ場を堂々と開いていけるのです。
先生方に期待する部分も含め、改めて私たち保護者や関係者が、学びについて考え直す必要もあります。子どもは意欲さえあれば、主体的に学びます。主体的に学ぶ場を開いていくことが何より重要なことではないでしょうか。



これからの子どもたちに必須のプログラミング教育。くもん出版では、保護者の皆さまの不安が解消されるような情報発信を続けていきます。お見逃しなく!

松田孝さん
1959年東京都生まれ。東京学芸大学卒。上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭、東京都狛江市教育委員会主任指導主事(指導室長)をはじめ、東京都の小学校校長を3校歴任。小金井市立前原小学校では、全国の公立小学校にさきがけ児童一人一台の端末を配備。プログラミング授業を積極的に推進して、IchigoJamBASICを用いたプログラミング授業体系を確立。2019年4月より合同会社MAZDA Incredible Labを立ち上げ、代表に就任。総務省地域情報化アドバイザー、金沢市プログラミング教育ディレクター、群馬県先進プログラミング教育アドバイザー、小金井市教育CIO補佐官も務める。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』(くもん出版)。

★松田孝さんの著書はこちら
『学校を変えた最強のプログラミング教育 普通の公立小学校から見えたAI時代の学び』

くもん出版のプログラミング
『くもんのプログラミングワーク① はじめる!IchigoJam』