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【佐藤亮子さんに聞きました①】なぜ読解力が必要なの?

豊かな教育実践で注目される「佐藤ママ」こと佐藤亮子さんが、これからの子どもたちに一番大切な力だという「読解力」。

2021年3月には、「読解力」を育む育児、幼児教育とは……という視点で、子どもたちへの働きかけや学習を振り返り、その実践方法を子育て中の保護者の方々へのエールとして執筆した『我が家はこうして読解力をつけました』を出版しました。

そんな佐藤さんにさまざまな観点でインタビューを行いました。ぜひご覧ください!(本企画は佐藤ママスペシャルインタビュー動画をもとに再編集し、記事化したものです。)


―佐藤さんは『我が家はこうして読解力をつけました』の中で、読解力の重要性について述べられています。あらめて「なぜ今の子どもたちに必要なのか」について教えてください。

佐藤:
今の時代は膨大な情報が飛び交っています。その情報を子どもたちが整理し、自分が必要な情報を即座に選んで使い、自分の意見を述べるということが大事な能力になっています。
その能力の根元にあるのが「読解力」です。そして、読解力の根元には基礎学力が必要です。

「基礎学力をいかに育てるか」
そして
「基礎学力を使っていかに読解力をつけるか」

このような視点が大切です。
しかし、読解力は一朝一夕ではつきません。毎日じわじわと、少しずつ育てることで、読解力がある人間に成長していきます。
だからこそ、お子さんが小さなときから少しずつ育て上げ、鉄壁の読解力をつけることが重要なのです。

―子どもが読解力をつけるためには、わたしたち保護者は、子どもが小さいときからどのようなことを意識すればいいのでしょうか。

佐藤:
まず、読解力とはなにか?を今一度振り返る必要があると思います。読解力というのは、本を読むことと解釈してしまいがちですが、それだけではありません。

「人の意見を聞く」
「自分の意見を言う」
「言葉で思考する」
「人の気持ちを想像する」

といったことすべてを含めて読解力なのです。

さきほど述べたとおり、現代では「情報を処理しながら整理していく」という能力が必要です。これは情報処理能力とよばれますが、実は、情報と情報の間に挟まっている、人間の考えや行間を読む、「人間に対する想像力」が非常に大切になり、読解力が大きくかかわってきます。

この読解力をどのように育てていくか。たとえば基礎学力を押さえつつ、絵本や童謡を使いながら、それらを1つのツールとしてお子さんとコミュニケーションをとっていくと、真の読解力がつくと思います。

お父さんお母さんも一緒になって考えながら、ぜひ楽しくお子さんを育てていってほしいと思います。子育ては楽しくないとできません。『我が家はこうして読解力をつけました』ではその方法をたくさん掲載していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

―ありがとうございます。「絵本と童謡を使いながら」という部分、読解力と絵本や童謡の関係性について、詳しくお聞きしたいです。

佐藤:
まず、子育てというのは、「子どもを一人前の大人に育てる」ということが大きな目標になります。これからの未来を生きていく子どもをいかに育てるかという点で、親としての責任は重大です。

そのような観点で子育てをするにあたり、私は「きれいな日本語を子どもの体の中にたくさん入れて、きれいな日本語で思考していく力をつけさせたい」と思っていました。

そういった力を小さな子どもにつけさせるには実際にはどうしたらいいか、と私なりに考えたとき「絵本と童謡」という発想にいたりました。
普段から童謡や絵本を読んだり歌ったりすることで、子どもにきれいな日本語にたくさん触れさせて、少しずつ読解力を養うことへ導いていこうとしたのです。

童謡や絵本はなかなかの優れものです。なぜなら、日本の四季や日本人の気持ち、また世界の人々の生活などが表現されているので、自然と子どもたちの視野が広がるのです。
このように、小さな子どもにとって楽しく、分かりやすい教材を使いながら育てていくということを心がけました。

―先ほどの「お父さんもお母さんも一緒になって楽しく」ということばも印象的でした。

佐藤:
子どもの笑顔が見たくて仕方ない! といった気持ちで子育てをしたら、それは間違いないでしょう。
子どもが笑顔のときには、子どもも必ず楽しい時間を過ごしています。そのため、必要に応じて子どもが楽しめるものを与え、楽しく実力をつけていくということが大切なポイントになってきます。
今、子どもが何を気に入っているのか、何が好きなのかということを親が常に意識しながら生活していくと、親も子どもも楽しく前に進むことができます。

親子で気楽に楽しく、気構えず、少しゆるいくらいの気持ちで生活していれば、きっと子ども自身も、そして子育ても楽しくなるはずです。
楽しい子育てをしていたら、子どもは必ず伸びるのです。のちに子育て期間を振り返ってみたときに、大変だったけどなんだか楽しかったな、と思えるような子育てをしていただきたいと思っています。
子どもを教育するとき一番大事なことは、子どもの笑顔なのです。

佐藤亮子さん

大分県生まれ。大分県内の私立高校で英語教師として2年間教壇に立った後、結婚。その後は専業主婦として3男1女の子育てをし、お子さんたちが揃って東京大学理科三類に進学したことで、メディアを通じ「佐藤ママ」として注目を集める。その子育てにまつわる著作物の刊行や、中学受験を中心に子どもの勉強に悩むご両親を対象にした講演会に多数登壇している。くもん出版から『我が家はこうして読解力をつけました』を出版した。

『我が家はこうして読解力をつけました』詳細はこちら