玩具開発チームリーダーに聞いてみた(前編)~くるくるチャイム誕生のヒントは●●だった~
子どもは、ときどきものすごい集中力を発揮します。
そんな場面に会うと、子どもの可能性がぐんぐん広がっている気がします。
くもん出版の知育玩具は、「集中して遊べる」をコンセプトにつくられたものが多いのですが、SNSなどでとくに話題となっている商品があります。
くもん出版のロングセラー商品「くるくるチャイム」。
よく、子どもが夢中でボールを入れている姿がアップロードされています。小さな動物が楽しむようすも視聴されていますね。
「くるくるチャイムを使うと、なぜ子どもは夢中になるんだろう?」
と思ったので、今日はこの「くるくるチャイム」の秘密について、企画開発部 玩具開発リーダー 星野さんに聞いてみました。(インタビューアー マーケティング部 小宮)
【くるくるチャイム誕生のヒントになったものは…】
小宮:子どもがくるくるチャイムにボールを入れて遊ぶ動画を、SNS上でよく見かけます。くるくるチャイムはどのように開発されたのですか?
星野:くるくるチャイムが誕生したのは、もう32年前のことですが、開発のヒントは「砂時計」だったと聞いています。砂時計ってつい見入りってしまいませんか?
上から下に砂が落ちる感じ、だんだん減ってきて下まで落ち切るとまたひっくり返してやりたくなる…
「集中して見る」「くり返しやりたくなる」という要素が砂時計につまっている!そんなところがスタートで、こんなおもちゃがつくられないかと考えたのが発想の原点です。
小宮:砂時計ですか!確かにじっと見てしまいますね…
星野:ただ、おもちゃに砂をつかうのは難しいので…ボールを使おうと考えたそうです。
また、子どもたちは1歳前後になると、だんだん粗大運動から微細運動にうつっていくので、ボールをにぎって、決められたところではなすという動きをくみあわせたら面白いのではないかと考えました。
小宮:使うお子さまにとって、ちょうどいい運動も取り入れたんですね。
星野:さらに、砂時計のような、ろうと型でもいいけれど、らせんを通るボールの動きに、「注視させる」、「集中させる」という魅力がかくれているのではないか、と考えました。
最初は、高さ15㎝ほどのコンパクトな円柱にらせんの道があり、なかにビー玉をいれてそれをひっくり返すことを試しました。それがうまくいったので、安全基準をみたす大きさのボールにして、出し入れできるおもちゃができるかも…というステップがあったと聞いています。
砂時計→ビー玉を使ったらせんのおもちゃ→くるくるチャイムというステップです。
この試行錯誤がこの商品の核だと思います。大きくなったり、ちょっと変えた部分があっても、この核の部分はのこっています。
小宮:形も特徴的な気がしていて、今は下に行くほど広くなっている形になっていますが、今お話をきいて、砂時計が原点なのかなと思ったのですがいかがですか。
星野:それは、子どもの安全に配慮してボールの大きさが変わったことにより、スリムではなくなっていった、寸胴になっていったことが原因ですね。ボールが大きくなると、それがきちんとくるくる回転するだけのピッチが必要です。すると寸胴になり、高さも高くなっていったんですね。
そうなると、下に安定性を持たせないと、お子さまがボールを入れるときにおもちゃごと転倒してしまうため、こんなどっしりタイプになりました。
小宮:そういう構造上の理由だったんですね!
星野:実は今発売されている、くるくるチャイムは5代目なんですが…
小宮:えっ、5代目なんですか!?
くるくるチャイムの発想の原点は砂時計だったということがわかりましたが、そこから4回もリニューアルされていました。リニューアルされてどのように商品が洗練されていったのか、インタビュー後編につづきます。