見出し画像

父のプライドを改めて感じた日


昔から、私の父に会った友だちは「お父さん優しそうね」と。
少し距離が近くなったら「お父さん、面白い」とよく言われます。
孫がいくら騒いでも「うるさい!」など1回も言ったことはありません。「今日も元気やな~」と笑顔で言う穏やかな人です。
以前、「お父さんって嫌いな人いる?」と聞いたことがありますが「嫌いな人なんていないよ~」という感じ。
私はちょっとセンシティブな悩みは、父に話すというか聞いてもらうことが多いです。アドバイスなんてせずに、ただただ聞いてくれるのでありがたいです。
認知もあり、うまくかみ合わないことが多いですが、学ぶことも多いです。

父のプライド

以前の記事にもありますが、2か月前から父は将棋を始めました。

父は時間が少しでも空くと将棋に行きました。週2、3回程度です。
将棋から帰ってくると
父「楽しかったよ」
私「楽しくてよかったね!勝った?」
父「今日は1勝2敗」
私「そうだったんだ!でも1勝できてよかったね」
という感じで、だいたい1日1勝はしていました。
父は、図書館で借りた子どもにも分かりやすいイラスト付き、全分ルビ付きの将棋の本をずっと見たり、将棋の番組を欠かさず観ていて熱心さが伝わっていました。

衝撃な事実

私は2人姉妹で、妹は県外に住んでいます。
遠方からでも私のサポートを全力でしてくれています。
そんな妹は父へ頻繁に電話をしてくれています。

そんなある日
「お父さんさ、今日はじめて将棋で勝ったらしいよ?!」
と妹もビックリしながらの連絡が入りました。
えーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

そうです。
父はどうやら2か月間ずっと負けていたようです。
でも、誰にもその事実は言っておらず、将棋に初めて勝った日に妹から電話が入り、あまりのうれしさに口をすべらせ、不覚にも初めての勝利を伝えてしまったようです。
その話を聞いて、私はなんだか涙が出てきました。

2か月間、負け続けても将棋に行っていたこと。
家族には「勝つこともあるよ!」と勝ったフリをしていたこと。
でも、勝ちたくて勉強していたこと。
父のプライドを感じました。かっこいいじゃん?って思いました。

介護は先が見えないものです。
でも先が見えないからこそ、見えるものもある。
認知も出てきて何が何だか分からないことばかり。
正直、この話もどうだか分からない。
でも、それでもいいんじゃない?と最近の私は思います。

先程も言いましたが、父はアドバイスはしません。
でも、父は話をただただ聞いてくれる。
悩んでいる時のアドバイスは、私の場合「こうしなさい!」に聞こえます。
悩みは解決しなくとも、ただ聞いてくれるだけでありがたい。

もちろん綺麗ごとばかりではありません。
仕事を終えてクタクタな状態からの父の家のトイレ掃除は、何とも言えない気持ちになることもある。
映画「PERFECT DAYS」を観ながら、私は父の家のトイレを思い出した。
でも綺麗になると、やはり気持ちがいいものです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
介護福祉の職員の皆さんいつもありがとうございます。
素敵な週末をお過ごしください♪












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?