見出し画像

災害の多様性「異常気温の危険」

気候変動への対策が進まず、気温の上昇が続くと、2040年には、東京都や大阪府などで夏に熱中症のため救急搬送される人の数が倍増するというシミュレーション結果を名古屋工業大学などのグループがまとめました。以下に記事を転載します。

グループでは、国際的な気候変動の予測を元に気候変動への対策が進まなかった場合、2040年に世界の平均気温が産業革命前に比べて2度上昇すると想定し、その際の東京都と大阪府、それに愛知県の詳細な気温を推定しました。
そして、高齢化率などの条件を考慮して2040年の熱中症の患者数をシミュレーションしたところ、7月と8月の夏場に熱中症で救急搬送される人の数はいずれも一日当たりで、東京都が132.9人、大阪府が105.3人、愛知県が105.4人という結果になったということです。
2019年までの7年間の平均と比べると、東京都がおよそ2倍、大阪府がおよそ1.8倍、愛知県がおよそ1.9倍となりました。

NHK NEWS WEB(4月14日)「気温上昇続くと 2040年 熱中症で救急搬送される人の数が倍増も」より

世界中が、現在のように気候変動への対応を疎かにした場合には以上のように熱中症症患者が倍増するということです。

「寒暖の差が激しく高まる熱中症の危険性」

まだ4月のなのに30度近くの気温・・・異常気温を記録しています。といっても異常気候に異常気温が当たり前になってしまった現在では少しも不思議はないのです。暑ければエアコンを入れるなりすれば良いのですが、「まだ早い」と我慢したり「エアコン嫌い」の方々も多くいらっしゃると思うのです。すると何が起きるかというと「熱中症」ですね。熱中症は冬でも起きるし、年中ので意外ではないですが、一応、熱中症のシーズンは夏ですからね。4月に発生するのは季節外れの熱中症と言えます。つまり想定外ということです。災害は想定外によって発生するのです。


気温上昇により食中毒発生も増加

「気温が上昇すると食中毒も増加」

夏に向かって湿度や気温が高まるこれからの季節は、食中毒全体のうち90%を占める「細菌性食中毒」が、年間で最も多く発生する時期にあたります。細菌性食中毒は、食中毒細菌が食品と共に口に入り、腸管内において食中毒細菌が様々な毒素を産生したり、腸粘膜細胞内に侵入したりして、下痢、腹痛、嘔吐、発熱、頭痛、倦怠感などの症状を引き起こします。(一般財団法人 東京顕微鏡院サイトを参照)

食中毒菌の多くは、中温菌と言われ、最も増殖しやすい温度は 30~38℃程度です。 これより低い温度帯でも増殖しますが、温度が下がるにつれて発育速度は遅くなります。ですから今月のように気温が30度近くになると、食中毒菌が活発化するのです。

ただし、例外はウエルシュ菌で、至適温度(増殖する速さが最も大きい温度)は40~45℃と高く、また、鶏の腸内を棲家にしているカンピロバクターも42~43℃となっています。リステリアの至適温度は37℃ですが、-0.4℃でも発育可能となっており冷蔵庫内氷温でも増殖することになります。 ほとんどの食品は水分も多く含んでいるので気温の上昇が細菌を増殖させる大きな要因になります。 ただし、最近の食中毒発生の傾向は少量で感染するカンピロバクターや腸管出血性大腸菌O157など多くの菌を必要としない(少量発症菌)食中毒が多く発生しています。これらはあまり気候に左右されず年間を通して発生します。

「リステリア」

リステリアは、他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅しますが、4℃以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。一般に、食品を冷蔵庫で保存したり、塩漬けしていると、食中毒菌が増えないと思いがちですが、このような条件でもリステリアは増殖し、食中毒の原因になる恐れがあります。しかし、健康な成人では非常に多くのリステリアを摂取しなければ発症しないため、賞味期限や保存方法を守っていれば、食中毒が発生するほどの菌数にはなりません。また、発症しても軽症で自然に治るとされていますが、リステリアに感染したときの症状の重篤度には個人差があります。悪寒、発熱、筋肉痛などインフルエンザなどの他の感染症と区別が難しい場合や、敗血症、髄膜炎、中枢神経系症状などを引き起こす場合(リステリア症)もあります。

厚生労働サイト「リステリアによ食中毒」より

「腸炎ビブリオ」

腸炎ビブリオは栄養分の高い汽水(河川などの淡水と海水とが混合した、塩分濃度が中間程度の水体)や、近海の海水や海泥に生息する海洋細菌です。強い「好塩性」をもち、2~8%の食塩濃度で温度が20℃以上になると、魚介類の中で旺盛に増殖し始めます。
海水温の低い冬季の魚介類には腸炎ビブリオ汚染はありません。夏季の捕獲直後の魚介類にいても少量菌であり、問題とはなりません。危険なのは、魚が室温に2時間以上放置されると、腸炎ビブリオが1,000個以上に増殖すると食中毒の原因食品になります。
腸炎ビブリオ食中毒は、以前は発生頻度の最も高い代表的な食中毒でしたが、魚市場の衛生管理が厳しくなったことと、生食用魚介類の保存温度を10℃以下にするなどの法規制もあり、最近では著しく減少してきました。
原因食品としてよく挙げられるのは刺身や寿司ですが、魚貝類以外に「きゅうりの塩もみ」や「野菜の一夜漬け」が挙げられます。これは、魚を調理したまな板上で「きゅうりの塩もみ」を作った際に、魚にいた腸炎ビブリオがまな板を汚染し、次いで「きゅうり」に移り、食塩を加えることで腸炎ビブリオが増殖します。真水に弱いので、水道水で調理器具などをしっかり洗浄しましょう。

東京顕微鏡院「腸炎ビブリオ」より

腸炎ビブリオ食中毒の予防法

  • 主な原因食品は刺身、寿司、一夜漬けなど。

  • 魚介類や刺身は必ず10℃以下で保存し、室温に放置しない。

  • 魚料理だけでなく、きゅうりなどの塩もみや一夜漬を作る際には、熱湯消毒した包丁、まな板を使用する。

「サルモネラ」

サルモネラは、牛、豚などの家畜やニワトリ、七面鳥などの家禽の腸管に生息する細菌です。そのために、家畜やニワトリを解体する際、と体がサルモネラに汚染されるケースが一般的です。ただし、と場の衛生管理と食肉衛生管理が高まると共に、食肉製品のサルモネラ汚染はほとんどなくなってきました。
しかし一方で、昭和62年頃から米国や欧州で飼育されている産卵用のニワトリにサルモネラが侵入したため、卵がサルモネラに汚染され、結果として卵料理によるサルモネラ食中毒が激増してきました。

東京顕微鏡院「サルモネラ」

サルモネラ食中毒の予防法

  • 主な原因食品は、生卵、卵焼き、親子丼、洋生ケーキ、食肉、レバーなど。

  • サルモネラの増殖を防ぐため、卵の購入後は必ず冷蔵庫に入れ、10℃以下で保存。

  • 卵を生食する場合は、必ず賞味期限を守る。

  • 調理時には卵黄が固まるまでよく加熱する(70℃、1分に以上)。

  • 肉類も褐色になるまでよく加熱する(75℃、1分以上)。

  • 調理に使用した容器、包丁、まな板などは熱湯消毒を徹底する。

  • 牛レバーはサルモネラやO157汚染があることから生食は禁止されてきました。豚や鳥レバーあるいはササミなどの場合、乳幼児など低年齢層は、少しのサルモネラでも食中毒を起こすことからしっかり加熱をすること。

「カンピロバクター」


カンピロバクターは、酸素が5~12%程度の環境でしか増殖できず、大気中では急速に死滅します。その生息場所は酸素濃度が低い家畜や家禽などの動物の腸管内です。
牛肉や豚肉のカンピロバクター汚染は低いのですが、生の鶏肉の汚染はきわめて高いことが特徴です。100個程度の少量菌でも食中毒を起こしますの で、注意が必要です。調理の際、鶏肉に付着しているカンピロバクターが他の食品、特にサラダなどに触れるとたちまち汚染してしまう恐れがあります。
鶏さしやササミなどの生食は絶対に避けてください。

東京顕微鏡院「カンピロバクター」

カンピロバクター食中毒の予防法

  • 主な原因食品は鶏肉料理、ササミ、レバー、サラダなど

  • サルモネラと同様、肉を75℃以上褐色になるまで加熱する。

  • サラダなどの生食料理を先に作ってから、その後に鶏肉料理を作る。

  • 鶏肉に使用した容器、包丁、まな板などを熱湯で消毒、鶏肉に触れた手指は石鹸で30秒以上もみ洗いし、アルコール消毒しましょう。

今年の夏は、平年以上に暑くなるそうです。異常な暑さを記録した昨年以上に暑くなると、熱中症に食中毒だけでは済みません。森林火災も増加するでしょうし、集中豪雨による水害も多発するでしょう。

できる限り想定外な状況に陥らないように、多様な災害を想定して、少しでも事前に対策しておきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?