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日本映画「サイレント・トーキョー」

懐かしい大森ベルポートから映画は始まります。大森ベルポートは日立製作所さんに取材に行ったときに必ず立ち寄ってベンチに座ってボンヤリしてました。

その大森ベルポートで爆破事件が発生します。テレビクルー2人がベンチに座っている女性ヤマグチアイコ(石田ゆり子)に「爆弾犯に脅されてベンチの下に重量が軽くなると爆発する爆弾がしかけられている」と言われて1人がベンチに座らせられ、もうひとり来栖公太(井之脇海)は、女性の言われるままについていきます。結局、その爆弾は爆発しますが爆裂破片が混入していない「空砲」のようなものです。

原作はテレビドラマ「アンフェア」などで有名な秦建日子さんです。アンフェアはつまらなかったですが、こちらはまあまあの内容です。

人間が生んだ戦争という負のイベントを実体験した者が“戦争ができる国を目指そう”とする総理大臣(鶴見辰吾)と、それに危機感を感じずに傍観する国民たち…。

そんな政治家や国民に対する警告として爆弾事件が発生したのです。犯人は総理に対話を望みますが「テロリストとは取引しない」と総理は応じません。最終的には「渋谷のスクランブル交差点に爆弾を仕掛けた」と犯人の犯行声明を総理大臣は無視することになります。それを見物しようとたくさんの人たちが集まってきます。現実には爆破事件など発生しないと思っているからです。結局は爆弾が爆発してしまいます。

製作費のない日本映画界にあって、久しぶりに人がたくさん出てくる作品で、その分、視点が分散するので長時間作品に見えます(この点に関しては別の機会にご説明いたします)。

戦争ができる改憲を目指す現政権、新型コロナ禍、東京五輪強行の時節柄、国を憂うというテーマとしては良いのですが、犯人の戦争体験が、少女地雷描写だけでなく、そこに至る熾烈な戦争状況がいかようなものであったかが描かれていないので“浅く”感じるのです。特にレインボーブリッジのラストシーンなどは無駄でしかありません。

出演者は他に西島秀俊(石田ゆり子と夫婦役が多いですが、今回は夫婦ではありません)、石田ゆり子の若い頃を演じる「ガールガンレディ」の白石聖、佐藤浩市、中村倫也などです。

毎年、広島や長崎で平和記念式典が行なわれ、8月15日が近づくと、戦争ドキュメンタリーや反戦争作品が放送されるのに、国民の多くは無関心で、もしくは「戦争はかっこいい」と曲解してしまう阿呆が多いことに呆れてしまいますね。

「戦争を知らない世代(僕もそうですが)」が、戦争を奨励したり、仮想敵国を妄想して対戦準備を始めたりすることが、いかに愚かなことか?

とにかく、人間に武器を持たせてはいけません。おバカちゃんたちは、殺傷能力がない玩具で遊んでいなさいね。



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