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映画「明日の食卓」

僕は幸福な話が好きです。人が死んで救いようのない不幸な話は嫌いです。特攻死のような無駄死に悲劇で泣くようではおしまいです。そこは無駄死にを強いた者たちに対して怒るべきなのです。

しかし、世の中には人が死んで(殺して)泣かそうとする映画やドラマが多いのです。さらに虐待や虐殺、動機なき殺人などを軽々しく扱うのことに対してもどうかと思います。

さて、「明日の食卓」です。

石橋ユウという10歳の男の子が母親に殺されるという事件が発生します。

菅野美穂、尾野真千子、高畑充希の主役3人は、それぞれが石橋家であり、10歳の男の子ユウ君を育てています。物語は「この中の誰かが息子のユウ君を殺してしまうのでは?」と考えてしまいます。イヤな演出ですね。

菅野美穂(留美子)の石橋家は主婦がライターという仕事をしているがために子育てだけでなく夫婦間にも亀裂が入ります。尾野真千子(あすみ)は、一見何不自由ない裕福そうな家庭ですが、一人息子のユウ君に問題があります。高畑充希(加奈)は、シングルマザーで、コンビニとクリーニング工場でふたつの仕事を掛け持ちで借金を返済している。しかし、ユウ君はいじめられており、加奈の弟にも問題があります。それぞれの石橋家は、それぞれに問題を抱えているのです。

しかし、よく考えれば…「留美子はほどほどに仕事をすればよかった」、「あすみは、これはどうしようもない」、「加奈も、これもどうしようもない」ということで、あすみと加奈の問題は本人だけでは解決できないのですが、菅野美穂演じる留美子の辛さはよくわからないのです。仕事を選ぶ女性(しかも同業。彼女は優秀らしいですがw)の苦行というのはこういうものなのでしょうかね?

うーん、三者三様で女優さんたちは頑張っておられるのですが、それぞれの問題の描き方が軽いのです。唐突にドタバタと始まる不幸劇には共感できないのです。冒頭に述べたように僕の嫌いなタイプのお話です。

監督は瀬々敬久。小松菜奈、菅田将暉の「糸」は良かったんですがね。

作品中、僕が住んでいる街のよく知っているコンビニが高畑充希が働くコンビニとしてロケされているのですね。千葉県鎌ケ谷市なのに大阪という設定です。そこだけが見所です。千葉県フィルムコミッションさんは頑張っておられます。

フィルムコミッションさんに関しては別途触れたいと思います。



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