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湯島の夜「謗法」

1.

いまだに悪魔祓いなんてアナクロテーマとしたホラー映画とかドラマは、たくさんあるけれど、「半地下の家族」に特別出演したパク・ソジュン主演の「ディヴァインフューリー」は、力作でしたね。宿敵ウド・ファンとの戦いは見ものでした。

それより少し前に観た「メタモルフォーゼ/変身」は、観るのが辛かった。「救いようのない結末を迎える」映画やドラマが多い韓国作品としては、そのものズバリの救いようのない映画でした。

悪魔祓いは洋物ですが、それよりも民俗学的に面白い「謗法(ぼうほう)という韓国ドラマが放送されています。変身で父親を演じたソン・ドンイルさんが悪霊が憑いた悪人を演じています。

そのドンイルさんに挑むのが「半地下の家族」で、イ・ソンギュンの娘(女子高生)を好演したチョン・ジソです。この子がいいんですよ。殺したい人間の持ち物に呪念をかけて呪い殺すんです。母を殺されたドンイルの復讐心に燃えているわけです。

好きなのはドンイルを守る悪の巫女チョ・ミンスを地下鉄内で呪詛でねじり殺してしまうシーンです。ねじり殺されちゃうチョ・ミンスは、大好きな作品「嘆きのピエタ」(昨年亡くなった奇人監督キム・ギドクの大傑作)や、韓国アクション映画の大名作「The Witch魔女」(これは続編も作られる傑作です。面白いモノに飢えている方は必見です)にも出演している個性派女優です。

https://www.netflix.com/jp/title/81071892

2.

「オールド・ボーイ」などの“復讐”3部作や、イ・ビョンホン、ソン・ガンホが出演した名作「JSA」で知られるパク・チャヌク監督がiPhone(確か4だったと思う)の動画カメラだけで撮影した、30分強の短編「ナイト・フィッシング」(ベルリン国際映画祭で短編金熊賞)が好きなんです。そこで釣り人の霊を娘から引き離すための呪法をかけている、その東洋民族音楽的な歌と舞が素晴らしかったりするんです。このような呪法も、ドラマ謗法ではチョン・ジソの母親が舞っています。これが怪しくていいんです。

ちなみに、謗法(ぼうほう)とは、仏法をけなすことを言い、五逆罪にまさる罪という。語逆罪とは…。

(1)母を殺すこと

(2)父を殺すこと

(3)悟りを開いた聖者(阿羅漢(あらかん))を殺すこと

(4)仏の身体を傷つけて出血させること

(5)仏教教団を破壊し分裂させること

の五つだそうです。

仏教で説く5種の重罪のことで、五逆罪とも言います。この五つの重罪を犯すと、無間地獄(むけんじごく)に落ちるので、五無間業(ごむけんごう)ともいうようです。

もっと調べると、Wikipediaでは、謗法(ほうぼう、ぼうほう)は、誹謗正法(ひぼうしょうぼう)の略で、日本の仏教、あるいは一部の宗派間で使われる用語。その“誹謗正法”とは、仏教の正しい教え(正法)を軽んじる言動や物品の所持等の行為を指す。誹・謗とは“そしる”、つまり貶(けな)す、腐(くさ)す、非難するなど、悪く罵(ののし)ることであり、成仏しない、つまり謗法ということになる…。

よくわかりませんが、コロナ禍でも無為無策で多くの人が死に、多くの中小企業が倒産した挙げ句に、金儲け主義の外圧に弱っちくて、オリンピックを強行せよと言われりゃ強行しちゃう我が国の政府と、税金に寄生しなくては生きられない政治家というのは、謗法ということになり、まあ、成仏できないのでしょうね。地獄で苦しめばいいと思うのです。


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