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カルチャースクール覚書

木曜日は、カルチャースクールの日でした。今回で4回目です。前日まで受講生さんたちに喜んでもらおうと考えていくつも資料を作っていきました。

ところが受講生さんというのは気まぐれで、今日は、お一人が休みでした。「真剣に文章を勉強したい」というおふたりを相手に1時間半の講座を行ないました。

おひとりがいないと、大変なんですね。次回、その欠席された方のために、今回と同じ話をしなければいけませんよね。すると今回出席されたおふたりも再び同じ話を聞かなければならないので、時間の無駄になってしまうので申し訳ないのですね。

さて、まずはいつものように受講生さんの近況報告です。

Aさん

公民館で行なわれている体操に参加している。公民館の中でも90名入るところで大勢で体操を行なっている。子どもの頃から何十年間も何気なくやっていた体操だけれど、ひとつひとつの動きに意味があることを体操の講師から聞いて、初めて理解した。改めて体操で身体を動かす意味と狙い所がわかって嬉しかった。

Bさん

新型コロナワクチンの2回目を打ったが、副反応がなかった。
改めて新型コロナウイルスとは何なのかを考えた。ウイルスの感染力が半端ない。デルタ株による感染は大丈夫なのか?

それにしてもニュージーランドは素晴らしい。感染者一人だけでもロックダウンしてしまう潔さと決断力に国民と自分の言葉で対話も行なっているのをニュースで観ると、我が国のコロナ対策は何なのだろう…と腹が立つ。

お話を伺うと、おふたりともテレビニュースだけでなく、映画や本などから多様な情報を取り入れているようでした。それだけ好奇心が旺盛なのですね。それからまた同じ話をしちゃいました。

「話すということは、相手に通じるようにわかりやすく話そうと頭の中で整理して話すんですね。だから話が上手な人は文章を書いても上手なんですよ…。話す力と文章を書く力は比例しないという人もいますが、僕はそう思いません。皆さんにはお話も文章を上手になっていただきたいんですね」

おふたりとも僕より年上で、情報力に疎いような気がしていたのですが、それは僕の勝手な決めつけでした。僕の方が好奇心は衰えて情報収集力も弱っているような気がしました。

続けて前回の課題文章の解説です。課題テーマは「七夕」でした。文章は修正してあります。

Aさんの文章

「コロナ禍が早く終息しますように…」と書いた短冊のことを頭に浮かべた今年の七夕でした。

 例年ならば子供や高齢者サークルでの「七夕祭り」へ参加する機会があり、仲間同士で、昔手がけた七夕飾りを思い出しながら、色紙に挑戦するのですが、今年はそれも叶いません。

 私は三十代で北海道から千葉に引っ越してきて、保育園でのアルバイトとして働き始めました。その保育園での初めての行事が七夕でした。短冊を飾る数本の竹を切りながら、「内地の七夕飾りは竹を使うんだなぁ」と改めて確認したのを思い出します。

 私の故郷は北海道の十勝地方ですが、内地の七夕とはだいぶ違います。北海道の七夕は8月7日に行なわれるし、願い事を書いた短冊をつるす木は「柳」なんです。

 柳は水辺に多く生えているので、川の多い十勝では、柳がふんだんに生えていました。七夕近くになると、いつも近所の大人が柳の木を切って持ってきてくれました。飾りが多過ぎて重すぎるのか、いつも枝葉がダラリとしていたイメージがあります。

 千葉の保育園では各部屋に小さな笹を飾り、玄関前には大きな竹が用意されて、それぞれの思いを書いた短冊と飾りがつるされます、風が舞い笹葉が揺れる度、「サラサラ」という音が聞こえてきました。その時、七夕のうた「笹の葉サラサラ・・・」の情景にぴったりだと感じたのを思い出します。

 北海道の「柳」では「サラサラ」音は出ないのです。季節の行事が生活の中から消えている私の日常生活、時には立ち止まって、天の川を眺めながら「笹の葉サラサラ…」を口ずさんでみるのもいいですね。

………

 「文章中に“北海道では七夕飾りを柳に飾る”とありましたが、なぜ柳の木を使うのか?について解説がなかったですね。文章は、いつ、何処で、誰が、何をしたか…が書かれていなければなりませんが、最も重要なのは、「なぜ柳の木を使うのか?」という理由が書かれていなければ、読む者がモヤモヤしていましますね。それを調べて文章に追加すれば良いと思います。少し調べてみました。

 七夕と言えば7月7日の行事ですが、それは旧暦の7月7日なんですね。新暦では8月中旬なんです。北海道では8月7日に七夕を行なうんですね。実は北海道だけのことではないんですよ。有名な仙台の七夕祭りは8月7日ですね。僕が生まれた東北地方でも8月7日に行なうんです。

 もうひとつ、新暦では8月中旬です。その頃は何がありますか?」

 「お盆です」

 「そうなんです。七夕は、盆期間の行事として催されていたそうです。先祖を迎えるための準備期間だったのではないでしょうか?」

 「なるほど」

 「それに北海道では気候的に竹が生えないので、葉の形が笹に似ている柳を使うのだそうですよ」

 「初めて知りました」

 「僕も初めて知りました。おかげで僕も勉強できました。ありがとうございます」

以上のような感じでアドバイスしました。アドバイスになってるかな?

Bさんの文章

 私には、あまり七夕の記憶が残っていない。
 小学生の頃に七夕飾りをしたくらい。
 何か願い事をしたのかも覚えていない。

 織姫と彦星が一年に一度、
 七夕の日に会えるという。
 何で一年に一回なの?
 何でずっといっしょにいられないの?
 それってかわいそう。

 そのくらいにしか思っていなかったような気がする。
 七夕の夜雨が上がって
 夜空を眺めた。

 天の川ってどれだろう?どこにあるのだろう?
 あいにく星は見えない。

 私は夜空を眺めるのが好きだ。
 空にはたくさんの星が輝いてくれている。
 私たちが暮らしている地球という星も輝いているのだろうか?

………

Bさんの文章は、文章というか詩です。僕より高齢なのに少女のような感覚です。これは無理して長い文章を書かせることなく「詩でいいじゃん」と思いました。

「無理して文章にせずに、このまま詩でいきましょう」と言うと、「あ、今回書いてきた文章は、文章になっていますよ」と言います。

次回のテーマは「写真を見て文章にする文章スケッチ」です。写真というのは、栃木県真岡駅頭の風景です。この風景を文章にしていただきました。次回に講評する課題は回収しておりますので、文章をちらっと見てみると「あ、文章になってるじゃん」ってな感じです。面白いのは「誘拐」というタイトルです。「横溝正史が好きなんです」と言うBさん、やっと文章を書く気になってくれました。

「物語を書いてみました」

「おお、そうですか。これは面白そうですね。そうか…ほんじゃ、次回に文章の方向性を確認してみましょうね」

「はい」

次回、3人が揃えばいいんですが…ね。


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