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タイガー立石の漫画

タイガー立石展で購入した「カタログ」を参照しました。

立石さんは昭和42年(1967)、25歳の時に、油彩画家であることに縛られたくないと、何と週刊朝日の漫画新人賞に応募して佳作入賞。それがきっかけになったのかはわかりませんが、漫画家の園山俊二さんの紹介で毎日中学生新聞に「コンニャロ商会」というナンセンス前衛漫画を連載します。漫画中で「ニャロメ」という言葉が連発されたことで、後年、赤塚不二夫さんのニャロメが生まれたそうです。ボーイズライフに「コミック天国」を連載します。その他、平凡パンチ、ヤングコミック、少年サンデーなどで活躍します。

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立石さんは子どもの頃、漫画少年にも投稿したことがあるという漫画少年でした。長じて本格的に漫画を描き出したのは昭和40年(1965)の頃だったといいます。翌年には「3人の日本人展」(日本画廊)以降は漫画制作が主体となります。68年には漫画集「Tiger Tteishi」を自費出版します。

ところが昭和44年(1969)にはイタリアに移住。漫画で習得した「コマ割り」を絵画に応用して、油彩やシルクスクリーンによる独自の「コマ割絵画」を発表します。僕は、その中でも「Green Monster グリーンモンスター」が好きです。これはH・G・ウエルズの宇宙戦争に着想を得たと思われます。展示会場でこの作品を見て、ユーモラスな雰囲気の中に、トム・クルーズとダコタ・ファニング主演のリメイク映画「宇宙戦争」の一場面を思い出して、一瞬凍りつくほどの恐怖感に襲われました。

漫画よりもコマ割り絵画の方が漫画雑誌「ガロ」的であることが特徴です。「約束の時間」や「輪のミステリー」なんかは鴨沢祐仁や佐々木マキに逆柱いみりのような異空間世界です。立石さんが日本に帰国してから制作する絵本の多くもそのようなイメージです。

もうひとつは独特な色感でしょうね。これは前回の記事を参照して下さい。

僕はモノクロが好きなんです。何故かというと、要は色感がないのです(笑)。立石さんの色感は、どうなんでしょう? 派手なくせに趣味の悪い東洋的なケバさにはならないのです。上品なケバさというか、その独特な色感にヤラレちゃいます。

千葉市美術館のタイガー立石展は、7月4日に終了しますが、今回、機会に恵まれなくても、その後、全国を行脚(下記参照)して、11月に埼玉県立近代美術館&うらわ美術館に戻ってくるので、興味のある方は作品をご覧になって下さい。


青森県
2021年7月20日(火)〜9月5日(日)
青森県立美術館

香川県
2021年9月18日(土)〜11月3日(水)
高松市美術館

埼玉県
2021年11月16日(火)〜2022年1月16日(日)
埼玉県立近代美術館

埼玉県
2021年11月16日(火)〜2022年1月16日(日)
うらわ美術館





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大・タイガー立石展カタログより

発行:千葉市美術館、青森県立美術館、高松市美術館、埼玉県立近代美術館、うらわ美術館





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