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災害の多様性「猛暑災害と豪雨災害」2

全国で豪雨災害が頻発。過去10年の間に97%の市区町村で水害が発生しています。毎年どこかで台風や大雨、ゲリラ豪雨による河川の氾濫などにより、住宅・資産・公共施設などに損害を与え、時には人命を奪う「水害」が起こっています。全国にある1,741市区町村(2015年末)のうち、2006年から2015年までの10年間に一度も水害が起きてないのは、 驚くことにわずか49市区町村(2.8%)に過ぎないのです。いざという時の為に、平常時から具体的な対応方法を策定し、防災行動計画を作成しておくことが大事です。

ミドリ安全通販サイトミドリ安全.com+プラスより

猛暑には豪雨災害がつきものです。猛暑は海水温に影響し、海水温が高くなると台風が発生します。それは今回の台風でも理解できるかと思います。

自然災害というのは時代が進むにつれて被害を大きくするものです。理由は簡単です。はじめは木造平屋建てというシンプルな構造で、しかも堅牢だった日本家屋では、火災には非常に脆弱なものの、所謂、建造物の下敷きになる圧死は少なかったのです。建造物というのはシンプルな方が災害被害が少なくて済むのです。

時代が進み、西洋文化を取り込むと、多層階住宅や高層ビルに進化していきます。

道路も舗装されて都会では公園以外で土を見る機会もなくなりました。そうなると地表はコーティング(人工被覆といいます)されて、放熱の場所がなくなります。さらにその上に超高層ビルが建てられます。しかも近年にはベイエリアと称して海側に超高層ビルがたくさん建てられました。超高層ビルの壁は、海風を遮断し内陸の熱も溜まっていく一方です。

これらが、夏期には都市部の高温現象「ヒートアイランド現象」を生むのです。

「ヒートアイランド現象」

気象庁のサイトには、「ヒートアイランド現象の要因」に関して解説されているので以下に引用します。

①土地利用の変化の影響(植生域の縮小と人工被覆域の拡大)
 草地、森林、水田、水面等の植生域は、アスファルトやコンクリート等による人工被覆域と比べて保水力が高いことから、水分の蒸発による熱の消費が多く、地表面から大気へ与えられる熱が少なくなるため、主に日中の気温の上昇が抑えられます。
 人工被覆域は、植生域と比べて日射による熱の蓄積が多く、また、暖まりにくく冷えにくい性質がある(熱容量が大きい)ことから、日中に蓄積した熱を夜間になっても保持し、大気へ放出することになるため、夜間の気温の低下を妨げることになります。
 都市で建築物の高層化及び高密度化が進むと、天空率が低下し地表面からの放射冷却が弱まること、また、風通しが悪くなり地表面に熱がこもりやすくなることにより、さらに気温の低下を妨げることになります。
②人工排熱(人間活動で生じる熱)の影響
 都市部の局所的な高温の要因と考えられます。都市の多様な産業活動や社会活動に伴って熱が排出され、特に都心部で人口が集中する地域では、昼間の排熱量は局所的に 100W/m2 (中緯度での真夏の太陽南中時における全天日射量の約 10%) を超えると見積もられています。
    
 気象庁では、これらヒートアイランド現象の要因(言い換えれば、都市化の影響)による都市での気温上昇量を見積もるために、「都市気候モデル」と呼ばれる数値モデルを利用しています。下の図2のように、都市の地表面状態や人工排熱を考慮した場合のシミュレーションを「都市あり実験」、また、都市の影響を除去した場合(都市域の地表面状態を草地に置き換え、かつ、人工排熱をゼロにすることで、仮想的に人間が都市を建設する以前の状態に戻す)のシミュレーションを「都市なし実験」として、二つの実験を行い、「都市あり実験」の気温から「都市なし実験」の気温を引いたものを都市化の影響とみなしています。

気象庁サイトより引用

近年は「大気が不安定」という言葉を欲耳にするようになりました。僕が知らなかっただけかもしれませんが、昔は、大気が不安定になるという表現を耳にしなかったように思います。

冷たい空気は密度が大きく重いので下方に、暖かい空気は逆に軽いので上方に位置します。上空に冷たい空気が入ったり、南方から暖かい空気が入ってきたら「大気は不安定」になります。

大気の状態が不安定になると、「冷たい空気は下へ」「暖かい空気は上へ」移動しようとします。それが要因となって積乱雲が発生して、集中豪雨や落雷、突風、竜巻、降雹といった気象現象が発生するのです。

首都圏での大気の不安定は、ヒートアイランド現象によって起こるといわれます。ヒートアイランド現象によって首都圏の上空が不安定となって、先ほどまで腫れていたのに、突然として雷が発生して大雨やあられやひょうが降るのです。

「ヒートアイランド現象による熱中症の多発」

ヒートアイランド現象は、夏期には冷房(エアコン)負荷によってエネルギー消費率も高くなります(気温1℃上昇 → 最大電力166万kW増加 → CO2排出量593t増加  東京電力管内)。当然、首都圏における熱中症発生の大きな要因ともなっています。近年は熱中症による死亡者も増大しています。


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