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#小説
夏 2015/08/20
「──お陰さんで、禁煙続いてるわ。あの日以来やし、咳のひとつも出るわな」
さわさわと草を揺らした熱風へ応えるように片山は呟き、深い呼吸と共に暮石へ手を合わせる。あれから八年目の夏──亡き相方・中本栄の七度目の周忌にして片山は、初めて墓参りを前倒した。理由は実に明快で、当日は東京で仕事を入れてしまったからだ。
表舞台に復帰してからこちら、作家業と芸人業との二足わらじで忙しくなる──と思ってい
「──お陰さんで、禁煙続いてるわ。あの日以来やし、咳のひとつも出るわな」
さわさわと草を揺らした熱風へ応えるように片山は呟き、深い呼吸と共に暮石へ手を合わせる。あれから八年目の夏──亡き相方・中本栄の七度目の周忌にして片山は、初めて墓参りを前倒した。理由は実に明快で、当日は東京で仕事を入れてしまったからだ。
表舞台に復帰してからこちら、作家業と芸人業との二足わらじで忙しくなる──と思ってい