石川組子

みぞおちを殴られるのがあまりにも苦手。

石川組子

みぞおちを殴られるのがあまりにも苦手。

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テツヅキ

自動車免許の更新に来ている。2年ぶりにこの街に来てまた2年間来ないのだろうと思うと感慨深い。 試験を受けて良かったことなんてひとつもない。中学受験は合格したことを算数の先生に報告したら「まさかぁ」と笑われたし、英検漢検TOEIC大学受験教員採用試験SPIその全てにひとつも良かった思い出が伴わない。中でも一番最悪なのが自動車免許の試験だ。全部が嫌だった。まず、友人と免許合宿に行ったのに私だけ延泊になった。なんの思い入れもない土地に一人きりで毎日雨で、記憶を失うほど情けなかった

    • タイケイ

      何かを体系立てて勉強するのがとても苦手だ。名古屋県に恐れと嫌気が差したのと、やる気もセンスもない人たちと働くのが嫌で会社を辞めてしまった。 マイルドヤンキー文化が合わなかった。ブランド物をぶら下げて、おしゃれをして街に出かける文化もよくわからなかった。 くっちゃくちゃのシャツとチノパンでホットドッグにかぶりついていると目線を感じる。他所から来たという負い目がそうさせているだけなんだけど、馴染んだら優しいと言われても、なぜ私がそちらに歩み寄らなきゃいけないんだと思ってしまう。

      • テイネイ

        もうどれほどのことがあってもぶっ壊れない心があるので何があっても私は大丈夫だと毎日言い聞かせているけど心の底から体を壊せる繊細な人間どもが羨ましい。 いま、隣の席の二人組に、私のメニューには「sold out」と書かれていたはずの名物プリンが運ばれてきて驚愕している。どういうことなんだろうか。全く意味がわからない。 「え、プリンあんじゃん」と対岸の二人連れも驚きを隠せない様子だ。選ばれざる客であることを暗にプリンで示してくるなんて、なんて婉曲表現豊かな世界なんだろう。大好き

        • キモクセ

          キンモクセイの樹は実家の庭にあって、さして枝葉を広げるわけでもなく、普段は目立たないのに、秋になるとちゃんとあの、秋爽の雰囲気を香らせるので小さい頃から気に入っていた。 私がなんとなく偏屈になったのは小学四年生の頃で、学級委員とリレーの選手と音楽会のピアノ奏者を恣にしていた私の、高々とした鼻がへし折られたのもその頃である。春のいじめは大人しい子が、秋のいじめは活発な子の身に降りかかるのだと、後々発達心理学の授業で習った。 元々たくさんの大人の中で育ったので、自分以外の他の

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        テツヅキ

          ヒトシオ

          私を下の名前で呼ぶ人は珍しい。中学生の頃に「組長」というあだ名をつけられてから、そのインパクトと、私という人間の説明の省略に役立ちすぎるという意味での便利さがあって、色々な人に「組長」から派生した名前を呼んでもらっている。 なんでそんな名前がついたのか実は定かではない。クラスメイトの誰かが私の不遜で偉そうで動じない、そういうところを見抜いて「番長」とつけたのがなにかの「おさ」っぽさの始まりだった気がする。番長はさすがに、ちょっと、と思ってやんわりと抵抗をした。番長にはもっと

          ヒトシオ

          ツウイン

          「追加検査の場所分かります?昔パチンコ屋だった所です」に対して「あぁ、斎場の脇ですね」と返した。 夜会巻きクール眼鏡の女性内科医の口からパチンコ屋という言葉が出たことにすこしの驚きと、普通に物語としての良さを感じる。私が相手の立場だったらチンピラみたいなアロハを着た女が地元の斎場の場所を把握していることに良さを感じただろうが、あいにく私以外の人はあんまり暇じゃない。時間もあって体調も悪い私はMRI検査を受けることになった。 噂には聞いていた。拘束されて狭いところに閉じ込め

          ツウイン

          結局それは意外と金平糖とかで解決する。

          酸っぱいものが食べたいと思った次の瞬間には酸っぱいものを食べている。なるべくそういう感じに生きてきたが、なんだか最近それにも限界が来たなという気持ちになっている。 食べたいものが分からないという話ではない。現に人と出掛けて「何が食べたい?」と聞かれれば「昨日の夜ごはんは麻婆茄子だったから中華欲は満たされている。挽き肉ばかり食べているからハンバーグ的なものは食べたくない。希望としてはお粥が食べたいけれどその辺のお粥では満足できないから今度計画して一人で食べにいく。(君も行きた

          結局それは意外と金平糖とかで解決する。