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コロナ禍で髪の毛を75cm寄付できた話 / ヘアドネーションの記録

先日、6年ほど伸ばした髪の毛をヘアドネーションのために切りました。
東京在住のグラフィックデザイナー / 30代 / 女です。

ヘアドネーションの詳しい方法や "やってみた" のレポートは、noteでもたくさん読めるでぜひそちらを。ここでは、私がヘアドネーションをしようと思ったキッカケや、なぜコロナ禍だと伸ばしやすかったのか、そして記録をまとめたzineについて、書いてみます。

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ヘアドネーションって?

ヘアドネーションとは、長く伸ばした髪の毛をウィッグ製作のために寄付すること。30年以上前にアメリカで始まった活動で、日本では2009年にNPO法人Japan Hair Donation & Charity (JHD&C / ジャーダック) が設立。現在は複数の非営利団体が、小児がんや先天性の脱毛症、事故などで頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛で医療用ウィッグを作り無償で提供している。

日本の主なヘアドネーションの団体
NPO法人Japan Hair Donation & Charity (JHD&C)(株式会社アデランス)
つな髪プロジェクト(株式会社グローウィング)
NPO法人HERO (医療用ウィッグメーカー)
スマイルプロジェクト(日本かつら協会, マスターズプランナー株式会社)
女子高生ヘアドネーション同好会(株式会社アートネイチャー)

*カッコ内は、ウィッグ製作の協力企業/メーカー
*コロナの影響で条件が変わっている団体もあるので、寄付する前に要確認

私のはなし

ちょうど7年ほど前、紫外線大国オーストラリアから上京。東京の水質も合ったのか、見違えるように健康的に伸びていく髪の毛がおもしろくて、気がついたら学生時代ぶりのロングヘアに。枝毛対策にときどき2-3cm毛先を切りつつ、大したこだわりもなくロングヘアをキープしていた。

2018年ごろ。仕事でお付き合いのあった女性が、トレードマーク(だと思っていた)のポニーテールをばっさり。理由が「ヘアドネーション」だと聞いた時、頭の中がビリッとした。

私はなぜだか幼い頃から環境保護への関心が強く、ロングヘアを維持する負担に少なからず(いや、かなり多く)葛藤を抱えていたタイミングだった。髪を洗う水の量、シャンプーやトリートメントのコスト、乾かす時間や電気代。どれを取ってもエコじゃないのに、なんで伸ばしているんだっけ?
黒髪ロングって、なんだかこだわりありそうに見えるし、人並みに男ウケの良さなんかも感じた。でも、私ってこんなにも人の目を気にしていたっけ?

こういう葛藤がもやもやと溜まっていたタイミングだったから「ロングヘアの行方」と「ヘアドネーション」とが一本の線で繋がった時、ものすごくすっきりしたのを覚えている。


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なぜコロナ禍は伸ばしやすい?

記事のタイトルに戻りまして。
ここ1-2年でnoteでもヘアドネーションに関する記事が激増したと感じるけど、日本やアメリカでは、ドネーションの数が平年の2倍にまで増えた団体もあるとか。美容院の休業とリモートワークが主な要因で、海外ではロックダウン終了と共にドネーションされるケースが多く、男性のドナーも増えたそう。(やろうかなと思った人は、最低31cmの長さが必要とだけ覚えておいてくださいね。)

このあたりのニュース参照しました
・ コロナで外出自粛中に伸びた髪を役立てませんか 寄付殺到「ヘアドネーション」
・ コロナ禍で一時危機 子供たちへの髪の寄付
・ Our long pandemic hair is finally getting cut — and hair donation charities are overwhelmed
・ Hair donations up more than 135% amid pandemic, nonprofit says


私が「そろそろ切ろう」と決めたのは、2019年の年末あたり。その後新型コロナウイルスが慢延し、先月(2021年7月)やっと、当初より10cm以上長くなった75cmを切ることができた。スーパーロングヘアの維持は本当に大変で、なんとかがんばれた理由は下記。

①外に出ない日が多くなった
リモートワークと外出自粛で外に出ない日&人に会わない日が多くなり、毎晩髪の毛を洗う必要がなくなった。オーストラリアでは、乾燥していることもあり毎晩洗わなかったけど(周りでは夏も洗髪は週1の人もいた)、日本では毎晩洗うことを推奨されるし、蒸れるのでそうしている。もし出社して毎日人に会う生活をしていたら、この長さまではがんばれなかったと思う。

時間に余裕ができた
リモートワークになり通勤時間がなくなったことで、お風呂に入る時間やケアをする時間が増えた。この長さになると洗って乾かすまで1時間ほど必要で、毎日出社していた時は帰宅後の1時間のお風呂のハードルが高かった。睡眠時間を優先するべく、きっともっと早い段階で切ってしまってたと思う。

美容院に行きづらかった
去年はまだ"未知のウイルス"だったコロナが慢延してる中、休業していた美容院も多かったし、行くのも怖かった。もともと前髪のカットのために2-3ヶ月に一度のペースだったけど、それさえも長い間行かなかった。自然と「ドネーションカットも不要不急」というマインドになった。

ヘアドネーションの団体が受け入れを中止していた
感染対策のため事務局を閉鎖もしくは人数を減らしていたため、髪の仕分けの作業が難航し、ドネーションの受け入れを一時中止する必要があったそう。ウィッグ製作の工場もストップしたり、ウィッグを受け取る人の対面での採寸もできなかったそう。なので、受け入れが再開されるまで伸ばし続けることにした。

撮影を延期した
世間が落ち着いてきた2020年の冬くらいに撮影を決行して切っちゃうつもりだったが、仕事がバタついたり、一時感染者が増えたこともあったりで2度撮影を延期した。その度に「2月まではがんばろう」「5月まではがんばろう」とずるずると(文字通り)伸ばせたのも大きい。

撮影とzineについて

「撮影って?」と、ここで思ってくださった方。
私にとってヘアドネーションは実験の要素が強く(むしろ慈善活動よりもこっちがメインとも言える)、その延長で長い髪の様子を記録に残したいと、友人のフォトグラファーに撮影をお願いしたのだ。すごくカッコよく撮ってくれて恥ずかしくなりつつも… 伸ばす過程や長い髪との日常を20ページのzineにまとめました。

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Before Before After
2021年7月に6年ほど伸ばした髪の毛をヘアドネーションのために切りました。ドネーションカットの「ビフォーアフター」の写真は目にするかもしれませんが、その前の、伸ばす過程や長い髪での日常の記録。
*ヘアドネーションの方法をまとめたものではないです

東京・駒沢のMOUNT ZINEにて、本日8月25日から来年1月末まで展示販売されます。いろんなzineが見られて楽しい空間なので無理ない範囲でぜひ行ってみてほしいのですが、オンラインショップでも購入可能です。利益はヘアドネーション団体に寄付するので、もしよかったら募金も兼ねて手に取ってもらえると嬉しいです。

さいごに

ヘアドネーションはどうしても慈善活動と捉えられがちだけど、個人的には伸ばしていく中で気づいたことや伸ばしていたからこその学びが多かった。周りの反応もそれぞれですごく興味深かったので、このあたりはまた別の機会にまとめてみたいと思う。こんなご時世なので、みなさんもこれを機に実験 & 同時に社会貢献するのもいいかも?

ひとまず、おしまい。

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