【実践報告】トライアルレッスンで学習者のニーズをつかむ方法
オンライン言語学習プラットフォームitalki(アイトーキ)では、コロナ中に先生の数が激増し(新規の教師登録を制限するほど)、競争が激しくなっています。以前は、新規学生のレッスン予約をオープンにしていると1週間以内に何かしらコンタクトがあったものですが、ここ数ヶ月音沙汰なし。
ずっと寝かせていたLinkedInのアカウントを活用してマーケティングしようかと思っていたところへ、久しぶりにターゲットどんぴしゃの方からコンタクトがありました。
トライアルから継続的なレッスンにつなげるためにどんなことをしているか、自分のノウハウを棚卸してみたいと思います。
■トライアルの前
来てほしいターゲットに選ばれ、それ以外の方に選ばれないように、「プロフィール」と「コース説明」を超重視。どんな人に、どんな価値を提供するのか、期待値設定する文章をしっかり書きます。英訳の際は、私のネイティブ先生にニュアンスも含めてチェックしてもらってます。ここは、まだChatGPTに頼りきれないところ。
italkiでは、トライアルレッスンの際にいくつか自動的に質問ができるようになっています。加えて、本人とのメッセージのやりとりで、簡単に目標やレッスンスタイルなどを確認します(英語)。聞かずとも自らゴールを語ってくれる方が理想です。
今回は、日本国内のゲーム会社で勤務中の英語話者で、ゼロ初心者ではないとのこと、私のターゲットにドンピシャでした。
ニーズ調査のための確認事項と、それを踏まえてのレッスン方針案(叩き台)を、あらかじめGoogle Docで作成しておきました。今回、初めてテンプレート化しました。
トライアルの前は、たいていみなさん緊張するものです。開始直前に、「緊張する必要ないですからね」というメッセージを送ります。
■トライアルの前半: ニーズ確認と目標設定
こんにちは。連絡をありがとう。という感謝の気持ちをこめたあいさつの後、30分の流れを説明。自己紹介、ニーズヒアリング、レッスン方針の提案・相談、で進めます。
まずは、先方も事前準備しているであろう自己紹介から。
話すスピード、発音、語彙、文法など、Q&Aも加えながら確認します。
※今回の学習者さんは、自己申告はN4レベルでしたが、非常になめらかにしゃべり続けられる方でした。文法ミス多々ありましたが、一旦止めずに話を聞きました。ニーズヒアリングでは、過去の学習歴や、学習スタイル、日本語を勉強する動機、現在の仕事・生活環境、いまの課題感、今後の目標などを、本人の話の流れに逆らわないように話してもらいます。
初級者で日本語で説明しきれない場合は、英語で話してもらってもOKとしています。ここは、日本語で無理にがんばってもらうより、正確に伝えてもらうほうが優先。ご本人が語る「今後の目標」は、たいてい漠然として大きいものです。これを、達成可能と感じられる小さな目標にブレイクダウンできるかどうかが、1つの鍵だと思います。そのためには、前項のニーズヒアリングが重要です。
理想は「達成できたかどうか」判断できる目標ですが、難しいことも多いので、できるだけ本人が成長を感じられる具体的な「Can-Do」を、話し合いながら文面化します。
例えば・・・
■トライアルの後半:レッスン方針の提案
本人の学習スタイルがわかり、目標が具体化したら、あとはそれほど難しくありません。いよいよレッスン方針の提案です。
60分のレッスンを想定して、コンテンツを2−3つまでに絞ります。
それが正解かどうかはやってみなければわかりませんが、本人がその時点で納得し、やってみたいと思えれば、いったんよしとします。
基本から学び直したい、JLPTを勉強したけど復習したい、という場合には教科書を選ぶこともあります。(教科書通りがきらいな人には、使いません)これも話を聞きながら、納得の行く教科書選びをします。
例えばN4を持っているので・・・・
①N4を復習したい、今は、新しく覚えることを増やしたくない
②N3に向けて準備したい
どちらが本人の望みに近いのか確認する必要があります。
自己学習(宿題、その他)とレッスン内容をセットで、方針を決めます。自己学習したものをレッスンでアウトプットしてもらうためです。
例)自己学習:教科書のP.xx-xxを読んで練習問題をとき、作文を書く
レッスン:教科書について質問、作文を読み上げる、作文に関して会話するetc.
そしてトライアルレッスンの最後に、5分ぐらい時間があまった時は、ミニレッスン。本人の口癖などから文法ポイントや単語を拾い、説明&プチ練習します。これで、トライアルレッスンにおいても何か「学んだ」ことになります。
■トライアルレッスンの後
お礼と共に、トライアルレッスン中のメモを書き込んだGoogle Docを直ちに共有します。次回のレッスンまでにやってきてほしいことなども、忘れずに連絡します。
昨日の場合は、教科書について学習者から「私も調べてみます」とのことだったので、教科書候補のリストと特徴、メリデメを表にして送り、ご自身でも見てもらっています。学校の先生だったら、教科書を決められないのはダメなことかもしれませんが、私は本人の納得感も大事にしたいです。
ここ数年、トライアルから次のレッスンにほとんどつながっていますが、今回はどうなるか・・・ほんのり期待して待つことにします。